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Second life (仮)  作者: 壱弥
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第16話:猫の次は…?

商店街。といっていいものか、露店だらけではあるけれど。

先日マオとジャックで出かけた時に、面白い店を見つけた、とか。教えてくれるとのことだったので、今日は俺とマオで買い物に出ている。


「しかしここは相変わらず活気があるよなぁ」


朝市や、魚の競りに似た雰囲気といえるかもしれない。日本ではもう見ることのほとんどない(というかそもそも俺は見た事もない)たたき売りが多いせいだろうか。棒や手で台を叩き、注目させて商品の題目をとなえる寅さんで有名なあの商法である。


「ここが一番活気があるんだってジャックが言ってたよ」


何より目を引くのがこの世界特有のもの。例えば果物の店なら桃っぽい果物から犬っぽい果物、果ては牙が生えてて鎖でぐるぐる巻きにされてるおいそれ果物じゃなくて擬態してる動物だろってものまで。あ、買っていった奴がいる。信じられねぇ。


「しかし歩きづらいなオイ。ほらマオ、手つなごう。はぐれるとまずい」


大きな通りとは言え、露店で左右のスペースをただでさえとられているのにそこに群がる大量の客。いや俺もその一因ではあるのだが。

すっとマオに手を出し―――


「なにやってんだてめぇっす!!」


「ればにらっ!?」


どごがっ! っという冗談みたいな音を立て、謎の飛来物に顔面を蹴り飛ばされたのでした。


「―――!? ―――――!!」


ああ、マオが何か言って――やばいもう意識が持たな



「ごめんなさいっす」


「…………」


目の前で頭を下げてるのは、マオを拾った時のような格好をしたガキだった。で、特徴といえば。


「今度は犬かよ」


犬耳少年だった。

何だろう。求めてないのに世界が変な方向に走り始めている気がする。具体的にはジャックが喜びそうな方向に。


「で、あれか。てっきりマオを誘拐しようとしてる変な奴だと思ったから、飛び蹴りをかましたと。そういうこと?」


「そうっす……」


ついでに言えばプレゼントしたチョーカーを首輪だと思ったらしい。マオといいこいつといい、ちょっと思い込みが激しくないだろうか。こいつも風呂に入れたらあんなリアクションしそうな気がする。


「ごめんなさい、こいつアタシの知り合いで! ちょっと、いやかなり馬鹿だからこんなことして、ごめんなさい!」


「いや、しょうがないって。そこまでにしといてやれ、こいつすげー落ち込んでるから」


わかるよ、マオの言葉はぐさっとくるよね。なまじ本気で言ってるから心に痛い。


「大体マオがいきなりいなくなるから悪いんっす! ガラの悪い奴と一緒に居るの見たって子がいたから売られたんじゃないかってみんな心配してたんっすよ!?」


「うるさい! だいたいアタシがいつ心配してくれって頼んだんだよ! アタシはあんたのチームに入った覚えはないよ!」


「なっ……むぐぐ」


あ、大体関係が読めた。しかしわかりやすいなこの犬耳。顔真っ赤にしてるし。


「ほらほら、そこまでそこまで。もう気にしなくていいぞ」


もう泣きそうだしこの犬耳。マオと同じような境遇なら、これで泣きやむだろうか?


「ほら、これ食べな」


カロリーメイト(チョコ味)。ちなみにマオにいつもあげてたのはポテト味だったので、


「アタシは!? アタシには!?」


まだありますよ、お嬢様。



「申し訳ないっす……」


カロリーメイトをもしゃもしゃ二人で食い散らかして、あげくにまだ要求するから何かと思ったら自分と同じような子に分けてあげたい、とけなげなことを言ったので、ねぐらとやらについていってみることにした。しかしこいつもあれだ、カロリーメイト大好きだな。カロリー君の称号をあげよう。


「俺はいいからマオに謝ってやってくれ。買い物中断してるんだしな」


「アタシは別に……! ううん。こっちこそ悪かったね。自分だけ助かって、あんたらの事都合よく忘れてた」


そうマオは言うが、それこそ仕方ないことだと思う。あのチンピラに捕まって嬲られ、路地裏で死ぬところだったところをたまたま、本当にたまたま俺が見つけただけだ。ましてそこから不自由なく過ごせたのなら、浮かれてもしょうがないだろう。

犬耳もそこらをうすうすわかっているのか、気にしてないっすよと言ってそのまま黙る。そのまま黙々と俺たちは迷路のような路地裏を歩いて行った。


「ここっす」


そういって犬耳が指さしたのは、


「ここって……ここか?」


路地裏のさらに裏、通路は崩れ道もぼこぼこ、もはや路地裏としてすらその役目を果たせそうもない、そんな場所だった。


「20人くらいいるっすから……このくらい奥じゃないと変な奴らに捕まるんっす」


「そうか……」


かける言葉が、ない。一人で生き抜くのも大変だろうが、大人数で生き延びるのもまた一人とは違った大変さがあるはずだ。マオがさっきあんたのチームとか言ってたから、きっとこいつがリーダーで、俺なんかではわからない苦労をしてきたんだろう。


「みんなー。出てくるっすよー。おいしいものがもらえるっす」


「あー! マオ姉ちゃんだ!」


「マオ姉ちゃーん!」


わらわらわら、出てくるわ出てくるわ。崩れた瓦礫の下から、捨ててある布の下から、わきゃわきゃと集まってきた。

でも俺、こいつらどっかで見たような……?


「あ、お薬のお兄ちゃんだ!」


「ホントだ!お薬ありがとー!」


思い出した。少し前、回復薬の調整のための実験た……もとい、協力者の子たちだ。そういえば、マオが連れてきてたんだからある程度のつながりはあってしかるべきだろう。


「え、そうだったんすか!? みんなにあの薬をくれたのもあんただったんすか!? 俺、なんてことを……」


「いやいやいいから。……あれ? でもお前、いなかったよな?」


いたら絶対覚えてる。犬耳少年なんてどうやって忘れろと言うのか。


「置いていかれたっす……」


「……まあ、頑張れ」


どよよん、とまた落ち込む。犬耳。


なんだか、他人の気がしなかった。


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