第15話:帰還、そして挨拶
主人公ステータス
名前:カエデ=アキノ
能力
・言語理解Lv.2
言葉が理解できる。文字の読み書きができる。
・物質創造【防具】Lv.2
防具が作り出せる。特殊能力を付与できる。
・物質創造【武器】Lv.2
武器が作り出せる。特殊能力を付与できる。
・物質創造【道具】Lv.2
道具が作り出せる。特殊能力を付与できる。
・物質創造【地形】Lv.2
地形を作り出せる。特殊能力を付与できる←new!
「外道」
……チンピラを潰して帰った俺にいきなりこの発言。イラッときた。
「卑怯もへぶぁ」
ごっ、という鈍い音をたてて椅子から転がり落ちるジャック。ええ、殴りました。殴りましたとも。
「うるさい。だいたい部屋でマオの寝顔見てただけのくせに、偉そうなんだよ。この変態め」
「そうするように言ったのは兄ちゃんだろっ!?」
「誰が寝顔を見ていろと言ったか」
ガスガスガスッ!
高速で足蹴にする。帰ってきて最初に俺が見たのは、無防備に寝ているマオとそのあどけない寝顔を覗き込んでいるジャック。まごうことなき変態の所業である。
「痛い痛い! やめて、俺にそっちの趣味はないんだって!」
「俺にもないわ!!」
覗き込んでいるジャックに一撃いれて(全く気づいてなかった。どんだけ寝顔に集中してたんだ)、壊滅させたことを説明、腹立つ一言を言われて、現在に至る。
「ほら、さっさとこの部屋から出てけ。ここは俺の部屋だっての」
正確には俺とマオの部屋だが……って
「なんだその目は」
ニヤニヤ、あるいはニマニマという表現がピッタリな笑顔でこっちを見てくるジャック。いやマジキモい。
「いやいや、兄ちゃんも男だな、と」
?
「マオちゃんと早く二人っきりになりたいと! 寝顔を愛でたいと! いやあ気が利かなかった、ごめんね兄ちゃん!」
!?
ごゆっくり〜と捨て台詞を吐いて、こっちが何か言う間もなく逃げる超・変態。とりあえず明日覚えてろ。
※
「……ふう」
風呂から上がり、がしがしと頭をタオルで拭く。結局チンピラいじめが予想外に時間をくっていたので、寝るのは諦めた。空がうっすら明らんできてるし。
こんな時間まで起きてたあたり、ジャックもまあ信用が置ける。……あれで、変態じゃなけりゃなあ。
「しっかし……自分のことながら急展開し過ぎだよな」
こっち来てから、まだ一週間も立ってねーよ。どんだけ濃いんだと言いたい。マンガとか小説の中だけだろ、ここまでイベント満載な一週間。
「まあ、現実にマンガとか小説みたいなことになってやがるんだがな」
思い出したら腹立ってきた。あの白ヒゲ爺め。あいつがなにか操作してんじゃないのか。
「ん、んんぅ……」
なんて、どうでもいいことを考えているうちに、もぞもぞ、とベッドでマオが身じろぎする気配が伝わってきた。
「うにゃ、にゃ〜……」
ヤバい。可愛い。ジャックのことを言えない……いや言える! 危ねぇ、変態と同類と自分で認めるとこだった!
「おは、よう……?」
内心で葛藤してる間に覚醒したマオが挨拶してきた……認めよう。可愛いと。
「おはよう。早速、朝飯でも食べようか」
障害は取り除いた。良い天気だし、今日は昨日台なしになった買い物にでも行くとしよう―――