プロローグ
プロローグ
―― 俺は、間違ってなどいない!! ――
極は自信をもってリーナ星を見据えている。
その傍らには目尻を下げた鳥の獣人がいる。
ラステリア星軍閃光部隊所属の煌極少佐は、幕僚会議の末に決まったリーナ星破壊のため、巨大な閃光を放った。
その瞬間、ビームアンカーで繋がれていた宇宙船は超高速で後退した。
そうしないと、星の崩壊に巻き込まれるからだ。
後退して二秒後に、星は無言の叫びとともに大きな火の玉となり、一気に終息した。
そして今回もまたブラックホールが現れた。
「リーナ星破壊を確認」と極は乾いた声で言った。
「ご苦労」と極の上官であるキリル・マルカス大将が苦笑いを浮かべて言って、極の肩を軽く叩いた。
『あなたは間違っています!』
極は昨日も見た夢を思い出した。
確かに、夢で言った女の言い分もよくわかっている。
だが極は軍人で、大恩ある軍の指示を守る義務がある。
もちろん、大量殺戮者の想いはあり、後ろめたさもある。
しかし今更、女が言うような芸当などできるわけがない。
「もう中佐ですね」と仲間たちは少しおだてるように、遥か年下の上官に言った。
極は苦笑いを浮かべて、同僚たちに頭を下げて、薄暗くなってしまった廊下を歩きだし、シャワールームに行った。