親友
ノアと別れた日から何日たったのかな。
約束の日以外、喋ることも動くこともせず、ただぼんやりとベットの上から外を眺めるようになった僕のもとに。うれしいお客様が尋ねてきてくれた。親友のエマとミアだ。二人とはずっと文通を続けていた。
無事にノアに会えたこと。毎週二人で会う約束をしたこと。これはもう運命だと、浮かれた内容の手紙をいくつも書いた。エマはいつも、浮かれすぎないように。でもよかったわね、と彼女らしい返事をくれた。
ミアはうらやましいです、といいながら沢山のアドバイスをくれた。
そんな彼女たちに【ふられちゃった】と。ノアとの関係はたったそれだけ書き、それ以降は触れていない。
何度も遠回しに大丈夫かと聞かれたけど。僕はその質問に答えることができず、どうでもいいことばかりを書き続けた。
そのどうでもいい僕の手紙の返事がつい先日届いたばかりだった。手紙の内容は、エマが学校の先生になるためにでかけること。ミアが新しいお菓子を開発したこと。そうして僕の近況を問い掛けるものだった。
その二人がどうしてここに・・・。ここに来るなんて一言も書いてなかったのに・・。
「ちっとも状況がわからないから逢いに来てあげたわよ!」
エマが僕の顔を見てほんの少しだけ驚いたように目を見開き。やがて泣きそうなほどクシャリと顔を歪めた。
一瞬だけ顔を伏せて、けれど次に顔を上げたときにはいつもと同じ勝ち気な笑みを浮かべていた。
ミアはエマと同じように驚いたような顔をした後。ただ黙って僕の体を抱きしめてくれた。
ここでしばらくお世話になるわ、とエマが笑う。同意するようにミアも穏やかに笑う。
でも学校は・・・?
そうといかける僕に「だからこのユグレシアで学ばせてもらうのよ」と。他国の知識はとてもためになるの。
そういって笑ってたけど。たぶん、そんなのは口実で。僕を心配してわざわざ船に乗り、何日もかけて尋ねてきてくれたんだと思う。その暖かさが、僕を支えようと手を指し述べてくれる大事な存在がなによりありがたくて。僕は声を上げて泣いた。
二人と過す時間は楽しかった。体調のいい時を見計らって、ミアがお菓子を持ってきてくれる。喉越しが良く、ツルリと口の中を滑り落ちていく甘いゼリーや、果実をいくつも絞ったジュース。今の僕でも食べれるものを選んで持ってきてくれる。エマは先日読んだ本がとてもよかったと、とても楽しげに内容を語ってくれた。
時にはレオもそこにまざって、一緒になって楽しい時間を過ごした。
とても穏やかでゆっくりとした時間だった。
けれど時の流れは残酷で・・・。 呪いは確実に僕の体を蝕んでいく・・・。




