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女騎士セレナ

 3例目のワーグナーが現れたのは、西の海。波を裂くように、奇声をあげて現れたと記載されている。

討伐隊は、偶然その海域を回っていた海軍騎士団。

唯一生き残った女騎士は、ワーグナー討伐直後に海に落下し、戦線を離脱。一ヶ月後、遠く離れた港町で発見されている。女騎士の名は、セレナ。セレナは第3部隊長を任される程の実力者だった。そして無事に帰還後、自分以外の全ての騎士団が全滅したことを知り、騎士団を退職。

その後一人だけ生き残った罪悪感にひどく苦しみつつも、慎ましく穏やかに生涯を終えている。

・・・・・・・・何故この女騎士だけ助かったのか・・・

一人だけ呪いを受けなかったのか?けれど、乗組員は直接戦闘に関わっていなかった非戦闘員まで全員亡くなっている。

それも同時刻に、一斉に、だ。

であれば、このセレナだけ呪いを受けなかったとは考えにくい。

考えられるのは、呪いを受けつつそれを解呪した?

ドクッと心臓が高鳴った。


どうやって?なにをした?どうすれば解呪できる?


はやる気持ちを押さえて、パラパラとページをめくる。

国がセレナに聞き取りをした。その内容が、簡単に書かれている。

【海の奇跡に会った。奇跡に体を治してもらった】とある。

「・・・・・海の奇跡・・・?」

抽象的過ぎて何のことかさっぱりわからない。けれど、会った、というなら人か、それに準ずる生き物のことだろうか?そうして、体を治してもらった、とはまさに解呪のことではないのか?


・・・・・・・・・・・みつけた!!!


ドクドクと心臓の早撃ち重ね、破裂しそうだ。情けなくも震える手で、ページをめくり読み込んでいく。

けれどめくったページは、既に別の歴史が書かれている。12年後の大飢饉についてだ。

飢饉は大変だっただろうとは思うが、俺が欲しい情報と関係があるとは思えない。


もう一度前の頁に戻り、今度は一語一句見逃さないように丁寧に読みこむ。

やはりこれ以上の記述はない。

その数頁前も。念のために、その後ろのページも読み込んだが、それ以上の情報はなにもでていない。

同じ国の、違う歴史書も読んでみたが結果は同じだった。

「くそ!!」

腹立たしさに任せて、拳を床にたたき付ける。進んだかと思えば、また壁にぶち当たる。

何度も何度も、いったいどれほど回り道をさせられるのか!!

期待して多分、得られた情報の少なさに目眩がした。

「・・・くそっ・・・」

何度も何度も拳を床に打ち付けて。拳が割れ、床が血だらけになった時。カサリと乾いた音がした。

肌身離さず持っている、手紙の束。それが俺の動きによって懐で音を立てた。まるで愚かな俺の行動を非難するように。

のぼった血が一気に下がり、潮が引くように冷静さが俺の心に戻って来る。

「・・・・そうだ。わからなければ調べればいい。見つからなければ、探し出すだけだ」

ずっとそうしてきた。そうして確実に目的に近づいてきてるはずだ。

絶対に諦めたりなどしない。

 超再生を繰り返し、もはや傷一つない血だらけの拳をにぎりしめ、俺はのろのろと立ち上がった。



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