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古代図書館

 重い扉を体で押し開けて中にはいる。開けた瞬間、人の気配など全くしないのに歓迎するように一気に中の明かりがついた。なんの原理で、どういう仕組みで明るくなっているのか全くわからないが、こちらとしては大変にありがたいので特に気にしない。

 ざっと周りを見渡してみる。吹き抜けになった建物の中央に大きな光る石があってそこから次々と本が溢れ出している。

あふれた本は、バタバタとまるで鳥のように羽ばたいて自ら迷うことなく本棚へと収まっていく。

多分新しい本だろう。

いつ来てもしんと静まりかえったここは、生き物の気配など全くない。管理人がいるとも到底思えないのに、古代語でかかれた最古の本から、最新の文学書まで揃っている。誰かが持ち込んでいるとは思えないから、きっとあの中央の石が魔法具で世界中の本を集めるためのものなんだろう。

その石を囲むように並んだ本棚はずっと奥まで続いてて終わりが見えない。外から見たときはそれほどの広さがあるようには思えなかったが、中とは空間まで違うのか。

異様な光景だが、これもいつも通りなので特に気にしない。ここはそういう場所なのだろう。

 そもそも【古代図書館】と大層な名前がついたこの場所が、人が利用するのを目的として作られているとは到底思えない。建物が立っている場所もそうだし、入るための条件もそうだ。

 閲覧を目的として立てるなら、こんな孤島の、それも雪山の頂上に立てたりしないし、扉を開けるための大事な鍵を海の底に沈めたりしない。

図書館の正確な場所を調べ、その場所に行くための手段を探し、そこから中に入るために必要な鍵の存在を知り、その鍵が海に沈められたとわかり、その鍵を見つけるための魔法具をまた探し、海に潜って鍵を取って、と大変な苦労をした。

 そんな労力をかけてまでここに入りたいと思う輩はきっと俺だけだろう。なにより、鍵がいくつあるのか知らないが、もし鍵がこれ一つだけなら他には誰も入れない。

無事にここに辿り着けたとしても、鍵を使わなければ中には絶対に入れないからだ。

元海賊の性で、最初に一応周りを見て回った。鍵なんぞ使わなくても入れるんじゃないかと、いくつか侵入経路を考えて試してみた。結果、入れなかった。壁など、そう頑丈な作りにも思えないし、明かり取りの窓もいくつかあって侵入は難しそうでもない。なのに絶対に入れない。恐らく大砲を使って壁を打ち破ろうとしても無駄だ。

ま、これもそういうもの、なんだろう。納得するしかない。

つまり、何がいいたいかというと、ここは閲覧するのを目的として作られた場所ではなく、世界中の本を保管し後世に残すための場所なのだろう。

・・・・・まあ、残していても入れなければ意味ねぇんだけどな。

大事な鍵、海に沈めるとか、頭おかしいだろ。

 毎回ここに来るたびに、ぶつぶつと文句が洩れてしまう。雪山を登って来るだけでも一苦労だ。

俺だからこれるが、普通の人間なんか絶対に無理だ。

・・・・・まあ、でもそのおかげで≪時の砂≫を手にれられたんだから、そう文句も言ってられない。

今回もなにかいい情報が見つけられればいいんだが。

 体についていた雪を適当に払い落とし、中にはいる。外はあれほどの吹雪に見舞われているのに、中は驚くほど快適だ。これもいつも通り、火攻めのあとの氷付けは勘弁願いたいのでありがたい。

ぐっしょりと濡れた外套を脱いで、荷物と一緒に入口に置き、目当ての本棚を探していく。

ちゃんと種類別に並べられているからまだ探そうと思えるが、それでもこれだけの数の中から目当ての棚を探すだけで一ヶ月程(時間の感覚がもうないから正確にはわからないが)かかった。

 調べるのは、ユグレシアの歴史。

アリアが2歳になる歳の歴史書を探しだし、しらみ潰しに読みあさっていく。

魔物が、しかも強大な魔物が関係しているなら必ずなにかしらの記述があるはずだ。

そうしてそれは、すぐに見つかった。アリアが2歳になる少し前。たった一匹の魔物により5つもの村と町が滅ぼされた、と。

ユグレシア王国はすぐに騎士団を派遣。長い激闘の末、ようやくこれを討ち果たした、とある。

細かい戦いの描写まではかかれていないが、その魔物の外見は綺麗に写生されている。

蛇のような胴。そこから生える4本の太い腕。剣のように鋭く逆立つ鬣。そして、顔らしきところには目や鼻はなく、代わりに細かい牙がびっしり生えた口がいくつも書かれている。

長く生きてきたがこんな魔物は今まで一度として見たことがない。が、あまりにも不気味で、そうして見るからに粘着質で呪ってきそうだ。

・・・・こいつ、か・・・?

一応その前後2、3年の記事も入念に調べてみたが、それらしいものは他に見当たらない。

ならば、と今度はその魔物について調べてみた。

膨大な本の中で、それらしき記述はたったの3件。とにかく恐ろしくレアな魔物らしい。

名前はワーグナー。

おおよそ300年から500年に一度くらいのペースでしか確認されていない。最初に目撃された時は、国が3つ滅んだと記載されていた。

その次は、東の大陸一帯を支配していた帝国が半壊。

次はまだ小さい固体だったのか、西の海に表れたそれは目撃と同時に討伐されている。

そうして4例目がおそらくユグレシアにあらわれた、それだ。

そんな化け物対した被害もなくよく、討伐できたな、ともはや感心すらする。

 そうして肝心なのが、討伐のあと、だ。どこかで不自然な死を遂げたものがいないか一つ一つ確認していく。

 最初にワーグナーが討伐されたとき。各国が共同戦線をはりこれを撃破とある。

・・・・・・・その中で総指揮を取っていた大国の王太子が、数年後に原因不明の病で亡くなっている。

 2例目。・・・・・東の帝国の、生まれたばかりの王子が討伐とほぼ同時期に原因不明の病で亡くなっている。

 3例目。・・・・・一人の女騎士を除き、その他討伐隊全員が、数日後に謎の病に犯され全滅。


ここまで来れば間違いない。症例が3例と数は少ないが、その全てがみんな謎の病に犯され死んでいる。

一例目とニ例目など、国の後継者が謎の病で亡くなっている。そのまんまアリアと同じではないか。

 ワーグナーが死ぬ直前に、呪いをかけた。しかも討伐相手を1番苦しませるであろう相手にむけて。

そう考えるとつじつまが合った。

 ではその呪いを解く方法は・・・?

「3例目の、唯一生き残った女騎士・・・・・?」

偶然か、それとも何かしらの要因があって生き残ったのか。もし偶然でないとすればそれこそがアリアの呪いを解く方法に繋がるはずだ。

胸が期待と興奮でドキドキと高鳴る。

もう少しだ。

もうすぐきっとお前に会える。

待っていてくれ、アリア。

もうすぐノアの目的は達成されます。

良ければそれまで懲りずにお付き合いください。

評価、ブックマーク、よろしくお願いします。

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