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ノアへ

【ノアへ               

   今どこを旅していますか? 航海は順調ですか? 昨日少し風が強くて海が荒れたと聞いていたので、少し心配です。 

 ノアのこと、海軍に勤めている知り合いに聞いたよ。ノア、すごく大きな海賊団の船長さんなんだってね。強くて、操舵の技術も一流で、それでも弱いものをむやみに襲ったりしない、筋が通った大悪党だって、知り合いが褒めていたよ。

皮肉屋で他人をめったに褒めないあの人が手放しで褒めるくらいだから、ノアは本当にすごい海賊なんだろうね。

商人、って言ってたけど。・・・うん、海賊のお頭さん。その方がノアっぽい気がする。

ノアすごく強いもんね。身のこなしも隙がないし、いつも周りをさりげなく警戒してるし。

ああ、今思うと、どう考えても商人には見えないね。あんなに強い商人いない。

どうして気がつかなかったんだろ、ダメだね、僕は。


きっと、ノアは・・。僕が悪党退治が仕事、なんていったから言い出せなかったんだよね。

ごめんね、嘘をつかせて。


ごめんなさい、ついでに、もう一つ。ノアに謝らなければいけないことがあります。

ノアが毎週、「今度はいつ会える?」って聞いてくれるの、すごく嬉しかった。

また来週って答える僕に、ノアが少し寂しそうな顔をするのにも、気がついてた。

仕事だ、って行ったけど。それも嘘じゃないんだけど。それでも空いてる日はいくつかあった。

でも行けなかった。

なぜだか、最近体調が良くない日が多くて。

原因がよくわからない高熱がいきなりでたり、体が思うように動かなかったり。心配した両親が、外出をあまりいい顔しなくって。

ノアにも心配かけたくなかったし、だったらもう会うのやめようっていわれるのが怖かった。

でも、やっぱり嘘はダメだね。

ノアに怒られて、今それを後悔しています。

 

 ねえ、ノア。

嘘をついてごめんなさい。

嘘をつかせてしまってごめんなさい。

 君は僕たちの関係は嘘まみれだった、何て言ったけど。

僕には本当のこともいっぱいあったよ。

君と過ごす時間が大事だった。君と何気ない会話をかわす時間が僕にとってはかけがえのないものだった。

君がくれた全てのものが僕にとっては宝物になった。


 君の中で、僕はきっとその他大勢のちっぽけな存在でしかないんだろうけど。

それでも、もし叶うなら。心の片隅にでも、どうか僕のことを覚えていてほしい。


僕のこと、忘れないで・・・・。】

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