ただ幸せを願ったはずなのに
それから俺の毎日はずっと灰色のままだ。仲間たちと合流し、いつもと同じ生活に戻った。
数日ぶりに戻った俺の表情がそれでも随分と柔らかくなっていることに気がついたのか、何度もなにがあったのか聞かれたが、そのたびに俺は笑って話を反らした。正直その話にはもうふれてほしくなかった。
性懲りもなく、何度もアリアと過ごした日々を夢みた。朝起きる度に虚しくなり、やるせない気持ちになったがなんとか自分を奮い立たせた。どこかで幸せになってくれればいい。そう何度も自分に言い聞かせた。
ある朝。突然に目が覚めた。何かの夢を見ていたことは覚えているが、内容がはっきりしない。頭がひどくぼんやりしてズキズキと痛んだ。風邪でもひいたかと思いながら体を起こして。そこで自分の頬がびしょびしょに濡れていることにきがついた。左手を添えれば、まだ目からボタボタととめどなく水分があふれて来る。
泣いてる・・・?・・・・なんで・・・。
訳もわからず。俺は迫り来る頭痛t止まることのない涙にその場にうずくまることしかできなかった。
それから数日。イアンが用意した朝食のパンをかじりながら新聞を見ていた俺は。ピタリと動きを止めた。多分俺の心臓も数秒は止まっていたと思う。息を吸うことも吐くことも忘れて。ただただその記事を食い入るように見つめた。
「・・・うそ・・・・だ」
呟いた言葉が自分の耳に届いて現実味を帯びる。瞬間背筋が震え上がった。
腹の底から凄まじい衝動が沸き上がり、それが何かもわからないまま俺は叫び声をあげた。
【ユグレシア王国第一王女エリーシア殿下死去される】
そこにはそう書かれていた。




