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鋼鉄の胸筋

 ナナ第三王女は身分上バレると不味い。

 そこで、俺が持ち合わせていた外套を着てもらうことにした。

 

 一応冒険者ということもあって、こういうのは常備していたのだ。


「申し訳ないです。俺が使っていたもので」

「大丈夫です。それと、敬語じゃなくて構いませんよ。多分、そっちの方がバレないと思いますので」


「わ、分かりました。ナナ?」

「分かりましたじゃありません! 『分かった、ナナ』でしょ?」


 俺が困り顔でいうと、唇に指を当ててきた。

 むぐっとなるが、俺は言い直す。


「分かった、ナナ」

「それでよし」


 そして、俺たちは街までやってきていた。

 馬車乗り場は広場に設置されているので、そこまで移動しなければならない。


 外套をかぶっていることもあり、誰にもバレずに来れたのだが……。


「かなり混んでいるな」


 馬車乗り場には行列ができていた。

 ここに並ぶとなると時間がかかるな。


 俺の魔法で移動してもいいのだが、ナナも一緒にとなると馬車が必須だ。


「仕方がない。並ぼう」


 ナナとアイラを連れて並ぶことにしたのだが――


「ちょっと失礼させてもらうぜ!」

「ほいほいごめんねー」


 急に男二人が俺たちの前に割り込んできた。


「あの、割り込みはやめてくれませんか?」


 声をかけると、二人はこちらを睨んでくる。

 ポキポキと指を鳴らしながら、ニヤニヤと笑っている。


「おお? もしかして、この街一番と言われている俺様に喧嘩を売っているのか?」

「よっ! 兄さんかっこいい!」


 ……どうやらかなり面倒な相手に絡まれたらしい。

 そして、周囲の反応からしてこの人が街で一番強いのも間違いなさそうだ。


「可哀想に……」

「見ないようにしよ」

「あれは終わったね……」


 そんな声が聞こえてくる。


「こ、怖いです……」


 ナナも怯えているようだ。


「やっちゃえ! ルイト!」


 アイラは全然怯えていないようだけど。

 まあ精霊は少し現実の上下関係に疎いのかもしれない。


「よーし。それじゃあ、俺様が現実を見せてやるよ!」

「兄さんかっちょいい!」


 男が拳を構え、そして殴ってきた。

 俺はもろに受けるが、何故か痛くも痒くもなかった。


 というか……


「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

「兄さんんんんんんんんんんんん!?!?」


 男が拳を抑えて蹲っていた。

 え? 俺なにかした?


「えっと……大丈夫ですか?」


「ひっ!? すみませんでした! どうぞどうぞ!」

「兄さん……!」


 え……本当に俺今なにかしたか?

 まあいいか。譲ってくれるならそれでありがたい。


「ルイト様……胸を触ってもいいでしょうか?」

「え? ナナもどうした。別にいいけど」


 そう言って、ナナが俺の胸に触れる。

 すると、目を見開いてさすさすし始めた。


 ええ? どういうこと?


「まるで鋼鉄のよう……! この筋肉を殴ったらそれはもう痛いでしょうに……」


 鋼鉄って、さすがにそれはいいすぎだろ。

 というかいつまでさすさすしているんだ。


「あ、馬車の順番来たぞ」

「あの……馬車でも筋肉を触ってもよろしいでしょうか?


「いいけど……」

「ルイトってモテモテだね!」


「そうなのか……?」


 ただ彼女が筋肉フェチなだけな気がするけど。

胸筋で相手の拳を粉砕した男



ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。そして、評価を入れてくださった方へ、最大級の感謝を。


さて、皆様にお願いです。




少しでも面白い、続きが読みたいと思ってくださった方はぜひ広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に染めていただけると嬉しいです。



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