無自覚にSランクの魔物倒してた
ナナ第三王女の前には、なにやら見たこともない魔物がいる。
角が生えた……真っ黒いドラゴン……いや、古竜だ。
リイドすらも苦戦していた古竜がどうしてこんなところに……。
と、とにかくだ。
「ナナ第三王女! 今助けに行きます!」
俺はそう言って、一気に地面を蹴り飛ばす。
《速度加速》の魔法が付与されているため、一瞬にして追いついた。
距離を詰め、剣を引き抜く。
抜刀――とともに一閃。
「グオォォォォォォォ!?」
一瞬にして、決着はついた。
ふう。古竜のようにも見えたが、これだけ弱かったら多分違ったのだろう。
古竜はランクにすればS。もっと苦戦するはずだ。
「大丈夫ですか。ナナ第三王女?」
「ほえ!? ええ……大丈夫です」
しかし、どうして第三王女が護衛もなしにこんな平原にいるのだろうか。
普通なら護衛が何十人いてもおかしくはないんだけど……。
俺が疑問に思っていると、ナナ第三王女が口を開く。
「あなたは……勇者パーティのルイト様ですよね?」
「あ、ご存知でしたか。はい、俺は……『元』勇者パーティのルイトです」
俺のことを知っているなんて珍しいな。
お荷物だから、カウントされないことがほとんどなんだけど。
「元……? もしかして何かあったのかしら?」
「はい。実は追放されてしまいまして……」
そう言うと、彼女は目を見開いて驚いた。
「え、嘘ですよね!? あの魔物を一瞬で倒すお人が追放されるだなんて!?」
「あの魔物……? さっきの古龍モドキみたいなのですか?」
古竜モドキ……といっても、あの弱さならDランク程度だとは思うけど。
それほど驚くものなのだろうか。
考え込んでいると、アイラが肩を突いてくる。
「もしかして忘れてない? 今の君のレベル……」
「え? あ、えーと」
俺の答えが出る前にナナ第三王女が声に出した。
「今の魔物は……古竜。Sランクの魔物です」
……は?
「Sランク!?」
Sランクって前までいたダンジョンにしか出ないレベルのランクだぞ!?
そんな魔物を俺は倒したのか!? しかも古竜ってことは、リイドたち勇者も苦戦していた魔物だぞ!?
っていうか、どうしてこんなところにSランクが……。
「ルイト様は一体、何者なんですか?」
何者、と言われてもなぁ。
なんて答えればいいのか全く分からない。
「えっと、ただの剣士です」
「お隣の方は?」
「精霊です」
「いぇーい!」
「あなたたちは何者なんですか!?」
まあ……そうなるよね。
精霊なんて、普通は人間の前には現れないからなぁ。
「と、ともあれ……何者でも構いません。ルイト様のお力を信じて、お願いがあるのです」
「お願いですか?」
第三王女のお願いとはなんだろうか。
少なくとも、護衛なしでここにいるのと関係があるとうは思うが。
「私に、世界を見せてください! あなたこそが、真の私の英雄です!」
そう言って、ナナ第三王女は頭を下げた。
世界を見たい?
「私、ずっと宮廷に閉じ込められていて……だから逃げ出したんです。憧れだった、世界を見るために!」
世界を見たい……か。
俺と同じじゃないか。
俺と同じで、何か理由があって、世界を見ることができなかった。
そんな彼女を、ここで放置することができるか?
答えはノーだ。
身分なんて関係ない。
夢は誰だって等しく見ていいものだ。
多少のリスクもあるが、同じ夢を持つ同士乗り越えて見せる。
「奇遇ですね。俺も世界を見てみたかったんです」
「そ、それじゃあ……!」
俺は手を差し出し、微笑む。
「一緒に世界を見ましょう!」
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