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魔物の侵攻

「魔物がこちらに攻めてきている……?」

「ああ。それも大群だ。何が起きているのか……全くと言って分からないが事実だよ」


 報告は突然だった。

 いつものように目が覚めると、カイトさんが神妙な表情を浮かべて伝えられた。


 地図を見ながら、バツ印を付けている。


「ここの拠点が壊滅という報告を受けた。一番ここに近い拠点がここ。距離としてはまだ離れているが、進行方向は俄然ここだ」

「なるほど。つまり……戦闘ですね?」

「戦闘……いや、帝国らしく言ったら殲滅かな。まあ、そんな冗談を言える余裕はあまりないけど」


 カイトさんは指を打ち付けながら、考えている様子だ。

 それもそうだ。下手すれば国家の危機なのである。


 しかし、だからこそだ。

 そこが問題なのである。


「君を出撃させたら、間違いなく皇帝にバレる」

「ですよね……」


 こんな大事、俺が出撃したら間違いなく把握される。

 殲滅することはできるかもしれないが、今度はナナが危ない。


「……でも、君の力がないと帝国の軍事力では不可能だろう」


 けれど、どうしようもない。

 俺も手助けをしたいが、こちらにもこちらの考えがある。


 カイトさんは理解してくれているようだが……俺も正直言えば戦いたい。

 今、俺が持っている力は旅をする力ではあるが、人を助けるための力でもある。


「貴様か。ルイトとやらは」


 突然、背後から声が聞こえてきた。

 振り返ってみると、どこか威厳のある人が立っていた。


 ちらりとカイトさんを一瞥すると、顔が真っ青になっていた。


「こ、皇帝様……!」


 こ、皇帝!?

 ナナは今、アイラと別行動中だからここにはいないが、とにかく不味い。


 なんせ、俺の存在が認知されていたのだ。

 となると、ナナの存在も間違いなく認知されている。


「あ、あ……えっと」

「安心しろ。貴様らには何もしない。これは国家の危機なのだ。帝国側としてはそっちを優先したいと思っている」


 皇帝は淡々と喋り、そして頭を下げる。


「ルイトとやら。国家のために力を貸してくれぬか。旅人にお願いするのもおかしいが……頼まれてくれるか」

「……ナナを見逃してくれるなら」


「もちろんだ。どうやら貴様らはナナを危険視していたらしいが、我としては興味はない。安心しろ」


 皇帝はそう言って、カイトさんにも指示を送る。


「カイト。貴様はルイトとともに進軍しろ。最大限バックアップするのだ」

「わ、分かりました!」


「それでは、期待しておる」


 皇帝は踵を返し、帰っていった。

 心臓はバクバクで、今にも爆発しそうになっていた。


「あはは……よかったよ。皇帝が君に対して何も思っていなくて」

「そうですね……怖かったのには違いないですけど」


「ともあれ指示が出た。僕たちはそれに従うまでだ。君も一応は帝国軍人の身。全力で任務にあたってくれ」

「もちろんです。もう、自由に動いてもいい感じですしね」


 俺はアイラと離れていても、ある程度意思疎通ができるため、呼び戻すことにした。

 戻ってきたアイラたちに事情を説明して、魔物討伐に駆り出すことにする。


「君たち! 今すぐに銃を持て! 準備はいいな!」


「「「「「はい!!」」」」」


 さすがは軍人だ。統率力がある。


「それじゃあルイトさん。進軍だよ」

「了解。隊長さん」

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