爆速のレベルアップ
「それじゃあ、ステータスオープン!」
「え、ちょっと――」
アイラがそんなことを言うと、独りでに俺のステータスが映し出された。
―――――――――――――
ルイト LV55 職業 剣士
攻撃 2032
防御 1432
特攻 453
特防 214
運 35
―――――――――――――
え……? 嘘だろ?
俺の力とは関係なくステータスが開いたんだけど。
アイラはステータスを見ながら唸る。
「うーん。なるほど。君、才能あるって言われない?」
「ああもう、いいや……才能は無いってよく言われてるよ」
状況が一切飲み込めないが、飲み込めない事実を飲み込むことにした。
俺は言われるがまま答える。
そう。俺は生まれてから一度として才能があるだなんて言われたことがない。
レベルも低いし、そもそもなかなか上がらないし。
「嘘ぉ!? 運は確かに低いけど……他の数値は伸びしろがありまくりだよ?」
「嘘言え。まあ、運が悪いのは認めるけど」
そう言うと、アイラはケラケラと笑う。
「でも幸運だね。隠しダンジョンに来られたのは本当に幸運だわ」
「えっと、その隠しダンジョンってのはなんなんだ? それにSSSランクなんて聞いたことがないぞ?」
尋ねると、アイラが胸を張って答える。
……胸があるから視線に困る。
「その名の通り、人類にはなかなか発見されないようになっている場所。簡単に言えばすごーく貴重なダンジョンなの」
なるほど。まあ、貴重な場所ってのは分かる。
そもそも上の階層。多分こことは別なんだろうけど、Sランクダンジョンは勇者以外立ち入ってはいけない場所だ。
その更に最下層となると当然だろう。
「それじゃあレベルアッププログラムってのは?」
「君に最適な方法で最速でレベリングをする場所を提供するの」
なるほど。そんなのがあるなら、そりゃSSSランク。隠しダンジョンと言っても過言ではない。
でも――正直なところレベルを上げたって意味がない。
なんせ、こんな場所から脱出するなんて不可能だからだ。
「あ、ちなみに地上へは出入り自由だよ」
「マジで!?」
「うん。私に言ってくれればいつでも地上に戻すよ。それで、またレベリングしたいなぁって思ったらここに戻ってくれば――」
「すごいじゃないか!」
「わわ!」
俺は思わず叫んでしまった。
地上に出入り可能でレベリングし放題!?
いや……待て待て。地上に戻れたとしてもレベルアッププログラムを実際に体験していない。
まだそんなラッキーなことが確定したわけではないのだ。
「と、とりあえずレベルアッププログラムやってみる?」
だが――もしこれが本当なら俺は最高にラッキーだ。
「おう! ここまで来たらとことん付き合うよ!」
返事をすると、アイラがニヤリと笑う。
「それじゃあ、レベルアッププログラム――起動!」
そう言うと、室内が真っ白い空間に切り替わる。
気がつく頃には俺の手には剣が握られていて、隣にはアイラがいた。
目の前にはスライム――だが、見たこともない形をしていた。
「あれはメタルスライム。知らない人も多いけど、倒せば大量に経験値をゲットできる魔物だよ」
「聞いたこともないな……とりあえず倒せばいいんだね?」
「うん! それじゃあやってみて!」
俺は剣を構え、メタルスライムの方に駆けていく。
それに反応して、メタルスライムは形状変化。
弓のような形となって、矢を放ってくる。
こんな攻撃をされたら、普段の俺は避けることなんてできなかった。
「アシスト機能、オン!」
そんなアイラの声が聞こえると同時に、矢の速度がガクッと落ちる。
まるで、世界の速度が俺以外落ちたかのようだ。
けど、これなら倒せる!
俺は剣を振るい、メタルスライムを切り倒す。
『おめでとうございます。試練、達成です』
コアから声が聞こえた瞬間、俺の体が一気に変化した。
――――――――
経験値35215取得
ルイト LV1242
攻撃 14241
防御 12234
特攻 1223
特防 1112
運 321
――――――――
「な、なんだこれ!?」
レベルが、今まで見たこともない速度で上がった。
というか、すでにリイドとベレアのレベルを凌駕していた。
俺がちらりとアイラを一瞥すると、
「ね、これが隠しダンジョンだよ?」
なんだよ、これ。
隠しダンジョン……やばくねえか?
『設定補完』
隠しダンジョン
隠しダンジョン内では、レベルアップのしやすさが現実世界とは格段に変わっている。個人の適正を見抜き、とことん一人に尽くす。二人以上のレベリングは対応していない。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます!とっても嬉しいです!
さて、皆様にお願いです。
上の方にあるブックマークと、広告下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に染めていただけると大変励みになります!
数秒の動作が作者を救います(これはマジです)ので、何卒よろしくお願いいたします。