二日酔いにはエリクサー
『二日酔いです。反省してください』
目が覚めると、隠しダンジョンの中にいた。
ベッドの上で横になって、酷い頭痛を堪えている。
「ああ……コアさんに言われるってことは相当だな……」
「精霊さんも頭痛い……お酒なんて初めて飲んだから感覚分からなかった……」
「私は食事を楽しんでいただけなので問題ありません!」
俺は重い腰を起こし、買っておいた水を飲む。
さすがに隠しダンジョン産の飲食物は怖くて未だに食べたり飲んだりはしていない。
「少しマシになったかも……」
ふらふらとよろめきながら、いると、ナナが何かを差し出してきた。
ちらりと見ると、みんな大好きエリクサーであった。
「どうぞ!」
「これ……二日酔いにも効くのか?」
「知りません!」
「だよなぁ。人類史上、二日酔いにエリクサーを使うやつなんて存在しないよな」
でも、エリクサー有り余ってんだよな。
リイドのやつ……金だけはあるから買い集めていたんだっけ。
リュックの中を見ると、まだまだエリクサーはあった。
……これだけあるならエリクサーを使ってみてもいいか。
「飲むよ。頭痛いし」
そう言って、俺はエリクサーを飲む。
「治ったわ」
さすがエリクサー、万能すぎるだろ。
「私も飲むー!」
「おい、ちょっとそれ俺の飲みかけ……!」
「関係ない! 別に気にしないもん!」
「ああ……本当に飲んだ」
すると、痛みが取れたのかアイラはピンピンとしていた。
やっぱりエリクサーって万能なんだな。
人間以外の精霊にも効くとは。
というか、見た目はほぼ人間だから構造は似ているのか?
いや……謎は増えるばかりだ。
「そうだ。せっかく帰ってきたんだしレベル上げしないか?}
「おお! いいね!」
「レベリングタイムですか!」
アイラは嬉々として、指を弾く。
「レベルアッププログラム、起動!」
世界が一瞬にして、真っ白になり、俺たちはその空間に佇む。
「今度はダンジョン形式にしようか」
「ついにか」
それこそ、隠しダンジョンと言える。
というか、それが本命だろう。
アイラがもう一度指を弾くと、世界が形成されていく。
気がつく頃には、見覚えのあるダンジョン前に立っていた。
「これは……『アルカディア』?」
Sランクダンジョン、『アルカディア』
その入り口によく似た場所に立っていた。
「ここは確かに『アルカディア』の入り口です」
「やっぱりそうだよな」
ナナが言うなら間違いない。
なんせ、この国を知り尽くしているといっても過言ではない王女様なのだ。
「で、今回はどういうプログラムなんだ?」
「それはね……『アルカディア』の難易度をSSSランクに上げたので、そこを少しずつ少しずつ攻略していくという流れになりまーす!」
「SSSランクに格上げだと!?」
なんだよそれ。俺死ぬんじゃないのか?」
「ま、たまにはこういう面白いこともしないとね!」
「一応聞くけど、ここで死ぬとどうなるんだ?」
「死ぬよ? だって仮想空間だけど、体は本物だもん」
「なるほど。ちなみにナナは大丈夫なんだよな」
「それは大丈夫。隠しダンジョンは、君以外には興味ないからね」
「ならよかった」
どこまで進めるかは分からないが……リベンジマッチと行こうか!
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