新たなボスって……
「通してはくれない……感じですかね」
「通してほしかったら、金を置いてけ。無理なら俺に一発殴らせろ!」
スキンヘッドはつばを撒き散らしながら俺に向かって叫ぶ。
ふと、視線が俺の後ろに行った。
嫌な予感がして、咄嗟に隠す。
「可愛い女の子が二人いるじゃねえか……! いいぜ、こいつらを渡してくるなら通してやるよ」
「そうだそうだ!」
「置いてけ置いてけ!」
田舎の良さをせっかく感じていたのに、今度は田舎の悪いところを体感することになるとは。
狭いコミュニティだからこそ完成してしまう、誰かがトップの空間。
ここのギルドに来るのは間違っていたか……。
「ルイトー、どうするの?」
「引き返す……なんて言ったらアイラはどう言う?」
「隠しダンジョンの使用禁止ー」
「だよな……!」
隠しダンジョンはそれこそ、最強への一歩へと続く道。
そして、俺たちの夢を叶えるための夢の場所。
こんなところで怯んでいたら夢なんて言ってらんねえ。
「お? やる気なのか? ならやってみろよ!」
スキンヘッドが拳を振り上げる。
俺は咄嗟の判断で、相手に向かってタックルをかます。
「なっ!?」
相手がよろけた瞬間、俺も拳を構え――放つ。
もちろん、相手には当てない。
顔と拳がミリの距離で留める。
風圧で相手の顔がぶるぶると震え、その場に倒れ込んだ。
「な、なんだぁ……今のは……!?}
ギルド内に静寂が広まる。
ふう。少しやりすぎたかな。
「あ、新たなボスだ……!」
んん? 新たなボス?
そんな声が聞こえると、冒険者たちが拳を突き上げて叫ぶ。
「「「ボース! ボース! ボース!」」」
えっと……もしかして今俺がここのボスを倒したから、お前こそが真のボスだ……的な感じ?
「俺様の負けだ……この世界は強さがすべて。さぁ、我らがボスよ。依頼を自由に受けてくれ」
スキンヘッドが汗を拭いながら俺に握手を求めてきた。
「あ、ああ……」
俺はとりあえず握手を交わした。
「これが男同士の友情なんですね!」
「さすがルイトー!」
これって、男同士の友情になるのか?
多分……というか絶対違うんだけど。
「依頼、受けてくるよ」
ともあれ、依頼を受けないと始まらない。
俺はギルドカウンターまで行き、受付嬢さんに話しかけた。
何故か忙しそうにしていて、俺を見るなり困り顔を浮かべる。
「どうしたんですか?」
「あ、あははは……えっとですね。まずは私たちの冒険者がご迷惑をおかけしました」
「いえ、全然構いませんよ」
「いつもはこんなこと、あまりないんですけど。事情が事情でみなさんピリピリしておりまして……」
事情が事情? 何かあったのだろうか。
「なぜか、Bランクのランドタイガーが大量発生しておりまして……冒険者たちが対応しているのですが、まだまだ追いつかず……」
Bランクの魔物が大量発生だと?
数にもよるが、それだけで難易度はBを大きく上回る。
「それ、俺も手伝っていいですか?」
尋ねると、目をキラキラと輝かせてこちらを見てくる。
「本当ですか!? そ、それでは今すぐ処理をしますね!」
しばらく待っていると、受付嬢さんが帰ってきた。
「はい! それでは、この街から東の平原にお願いします! もちろん成功した際には報酬、はずみますよ!」
よし。それならやるしかないな。
「アイラ。ナナ。行くぞ」
「「おおー!」」
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