完全勝利!
戦場に向かうと、そこには数多くの冒険者が負傷して倒れていた。
まだ立って戦っている者もいるが、傷だらけである。
俺は急ぎで、倒れている人に近づく。
「大丈夫ですか? 意識をしっかり持ってください」
「……あなたは?」
「名も無い冒険者です。はい、これをどうぞ」
俺はリュックから回復薬を取り出す。
それを見た女性は目を見開いて驚いた。
「こ、これはエリクサーじゃないですか!? どうしてこんなものをあなたが?」
実のところ、勇者パーティに入っていた時に持たされていたものだ。
緊急時に使う時用に持っていたのだが、使うことはなくずっと持っていた。
眠らせておくにはもったいない。
使うなら今しかないだろう。
「他の皆さんも!」
そう言って、冒険者たちにエリクサーを渡していく。
「おいおい……マジかよ」
「エリクサーって……お前は一体……」
「とにかく、今は俺に任せてください!」
俺は大きなミミズの前に立つ。
こんな生物、やはり見たことがない。
ナナの時もそうだったが、この世界に何か起こっているのは間違いないだろう。
大事にならないと言いが……。
「ともあれ今は今だ!」
俺は《飛翔》魔法を使う。
空中に浮かび上がり、ミミズと同じ高さまで飛躍した。
まだ魔法はある。
機能のレベルアッププログラムで手に入れた魔法。
「《斬撃波》ッッ!」
虚空に剣を振るうと、虚空が歪んで一直線にミミズへと突き進んでいく。
波動が当たった瞬間、ミミズが爆散した。
よし。これで討伐完了っと――あれ?
足元に何か、見知らぬ石……いや、宝石が落ちていた。
真っ赤な色に、黒字で何か紋章が刻まれている。
「なんだこれ?」
よく分からないが、何か魔物の発生と関係があるかもしれない。
一応持っておくか。
「ルイト様ぁぁぁぁ!!」
「うおお!?」
ナナが抱きついてきたもので、バランスを崩してしまう。
というか……また当たっている。
「さすがです! 絶対勝つと思っていましたよ!」
「ありがとう。どうにか勝てたよ」
「さすがだね! ルイトつっよーい!」
アイラに言われるのは何か違う気がするが。
ともあれ良かった。これで国境は超えられるな。
「あの……今の魔物を一発で倒しましたよね?」
「あ、はい。そうですが……」
先程助けた女性冒険者が話しかけてきた。
「えっと……今のSランクのデスワームなんですけど……何者なんですか?」
あれ、またSランクだったのか?
「あー……あはは。たまたまですよ」
「信じられない……」
女性冒険者は言葉を失っているようだった。
ま、まあ危険は回避できたんだしオーケーだ。多分。
馬車に戻っていると、先程話をした男冒険者が声をかけてくる。
「……ありがとう。助かった。まさか本当に倒すとは思わなかったよ」
「いえいえ」
しかし……と冒険者は険しい顔をする。
「国王様に報告はさせていただく。すまないが、仕事なんだ。許してくれ……」
「もちろんです。ですが、俺たちも夢があるんです。抗いますよ」
そう言うと、男はふむと頷く。
「ちなみに……夢とは?」
「世界を見ることです」
◆
その後、俺たちは無事解放されて国境を目指していた。
「あ、あの……お隣いいですか?」
ふと、ナナが隣に座ってきた。
いい香りがして、ドキリとする。
「……すやぁ」
「!?」
なんか肩に頭を乗せて寝始めたのだが!?
俺は混乱しながらアイラを見ると、
「モテモテだねぇ……!」
なんて言われた。
んー、本当にこの王女様は距離感がおかしい。
これにて、一章完結になります!次章は遂に新たな国へ!
世界を見る冒険はまだまだ続きます!そして、勇者のざまぁも……。
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