第13話 状態
ある日、村上に大家さんから連絡があった。大家さんは今までの彼女こと大まかに彼女の兄に話をした。そして、村上の家に手土産を持って乗り込んでいくと。
「はーい」
インターホンがなり村上は玄関へと歩いていく。そこには人影が三人分あった。背の高い男性と小柄な女性に高校生ぐらいの高さのある男の子だ。
「開いてますよ。どうぞお入りください」
「お邪魔します」
「はい」
彼らはぞろぞろ入ってきた。大家さんが言うとおり土産袋を持っている。
「突然、ぞろぞろとおしかけてすみません」
「いいんです。ワシも皆さんと話してみたいと思っていましたから。ここでする話でもないですし、どうぞお上がりください」
村上は出来るだけ、彼らには丁寧に話して警戒心を解こうとした。
彼らを知良と話した居間に案内して、「粗茶ですが」とお茶を出した。
「すみません」
「どうされました? 」
「大家さんから聞きました。日頃からお世話になっていて、火事で家を失くしてからも……。妹と子供を面倒を見ていただきました」
「別に、ワシは面倒なんて思ってない。ワシがしてることは同情でもない。ただそこに崖から落ちそうになっても、しがみつこうとしてる子に手を伸ばしただけや。ワシは昔、誰にも言えん苦労をした。そうしたら、どこの誰も知らん人たちが手を伸ばしてくれた。じゃあ、今度は自分もせないかんからな」
村上は丁寧なしゃべりから、いつものしゃべりに戻った。しかし、その言葉たちには重みがあった。
「ありがとうございます」
男性はその言葉たちを聞いて頭を下げた。その横で二人も頭を下げた。
「頭、上げな。ワシがそちらに謝らないかんのや」
「えっ? 」
「もっと早く妹さんを説得して、こちらから連絡をしないといけません。申し訳ありません」
村上は深々と頭を下げた。それに男性は慌てて、彼と同じく頭を上げるようにいった。
「遅そうなったけど、お互い名前を言おう。そっから本題に入ろう」
「はい、そうですね」
「言い出しっぺのワシからや。改めまして、ワシはこの家の持ち主の村上幸一」
「僕はそちらでお世話になっている妹の兄ので美島千文来です。隣にいるのが……」
「妻のひまりです。そして、隣にいるのが」
「千文来の弟の剣依都です」
「剣依都くんは、今なんぼや? 」
「えっと、今十四です」
「中学生か。反抗期か」
「うっ」
剣依都は、図星のようだ。見た目でトゲトゲして、村上を睨みつけるように目つきが悪い。
「彼女は今、貸してる部屋で寝ているんや。知り合いの医者にも見てもらっている。最近、身体壊して熱をよう出すんや」
「えっ……」
「大丈夫。寝てたら治る」
「じゃあその間、子供はどうしてるんですか? 」
「千文来くん、さっきから子供と言ってるが、子供たちや。双子の映太くんと映璃ちゃん」
「すみません。訂正します。子供たちはどうしてるんですか? 」
「子供たちは、ワシと肉屋の娘たちと過ごしている。時々、前のアパートの住人が来て手伝ってくれるんや。今は、肉屋の娘と遊びに行ってくれてるから。ゆっくりしてええ」
保育施設に登園をさせようと思ったが、子供たちがそれを望まなかった。無理やり母親である彼女から離れ離れをされるのは、双方の精神に悪影響だというの判断をした。子供たちには時々家の外に連れ出し気分転換をしていた。
「分かりました。あの、子供たちの父親のことは聞いてますか? 」
「まぁ、今までのことを話すよ。まぁ、お茶と持ってきてくれたお菓子でも食べながら」
村上は、彼女を家に連れてきた日からのことを話して聞かせたという。
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