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六話

明日の十二時あたりに、三話ほど投稿します


 なにも言うことができない

 初めて優しくしてくれて、しかも家族にまでなってくれた

 そんな人を目の前で殺されるなんて…………

 考えただけで、生きていくことなんてできない


「それでさっき、魂が同化してるって言ったよな」

「あ、あぁ」

「つまり、俺の魂の中にあるカラス共への憎しみと、お前が抱えていた負の感情が膨れ上がって、お前自身が感情のコントロールができなかった、つまり暴走しちまったのさ。それでお前は、自我を失っているにもかかわらずすべてを破壊するために暴れまわった」


 つまりこいつが関わっているっていうのは、退魔士協会という言葉に反応したっていうことか

 退魔士協会の奴らは、悪い組織なのか?

 まて、星宮さんは、どうなったんだ? 

 殺したりなんかしてないよな……


「星宮さんは、どうなった?」

「その女なら大丈夫だ、お前と闘い終わった後に仲間が来ていたし、助かったはずだ。それと、お前の理性が少し残っていたのか、自分で何とか力の暴走を抑え込んでいたよ。まったく、自分は散々な目にあっているのに、他人の心配とは、お前は、ほんとに……だが、だからこそ、お前が好きなんだがな」

「そうか、よかった……てか、半分はお前のせいだろうが!! それに、女の子ならまだいいけど男に……しかも、怪物に言われてもうれしくねぇーよ!」


 よかった、そうか星宮さんは無事なのか、もしそれで何かあったとなったら、柚木達に合わせる顔がねぇからな

 ……あれ……あの時みたいに急に眠くなってきた……もう目覚めるのか

 ……もう少し聞きたいこともあるんだが……


 安心した途端視界が急にぼやけ始めていた

 前にも体験した、目覚める前の現象だ

 もう少しこいつと話したいことがあるのになと考えながらも

 俺は耐えることができないでいた


「あー、もう時間か、戻る前に言っておくが、お前は、一日は気絶していたからな。暴走がきっかけでお前は、あいまいな存在になっている鬼なのか、人間なのかよくわからん中間の存在だ。それと俺の力が使えるようになっているはずだ。使い方は、自分が暴れた時のことをよく思い出せ、お前の魂に意識を集中させればできるはずだ。じゃぁ、またな」


 一日気絶って、そうかじゃぁ、ちゃんと謝ってケーキでもおごってやるか

 なんで毎回そんな大事なことを最後の最後に言うんだよ

 次は、マジで埋める


 俺が目を覚ますと、そこは真っ暗な部屋だった

 どんな場所なのかが、全く分からない

 ただ動こうとした瞬間に、足と腕に違和感を感じた

 何かで縛られているような感覚があった


 どこですかい?

 動けない……なんで? 

 ちょ、なんだこれ……縄?

 あっ…………あぁ、そういえば、星宮さんが捕まえに来たって言ってたようなぁ

 この状況捕まったってことだよな

 待てなんか、力が入らないんだが……

 くそ、なんでこんな大事なことをまず言わないんだよ、あのくそ鬼は!!

 それより、ここマジでどこなんだよ、暗くてよく見えない

 あ、腹に穴が開いていたはずだが、穴は? 

 もしかして誰かが治してくれたのか? 

 そういえば最後にあいつ、あいまいな存在だとか言っていたがそれも説明してほしかったんだが

 ここはいったいどこなんだ?

 外にさえ出ることができれば、何とかなると思うんだが……多分

 そのためには、このいじめのようにギチギチに縛ってある縄をほどかないとだしな

 あいつは星宮さんが、無事だって言ったが、怪我はさせているかもしれない

 とにかく外に出て、よくわからんこの場所から出ることが優先事項だ

 よし、縄を解くか


「お目覚めかね、秋月悠真。学校を休むなんていい度胸をしているじゃないか」


 その声は、毎朝学校に行ったときに声を聴く女性の声が聞こえた

 明かりがいきなりついて、ぼやけた視界が鮮明になっていき

 目の前に現れたのは

 ニヤついたような笑みを浮かべて真っ黒なスーツに身を包み

 煙草をふかしながら、見下ろしている教師がそこには立っていた


 明かりがついたことで、部屋の全体像を確認することができた

 その部屋は、すべて鉄でできているような雰囲気を感じていた

 そして、俺には真っ黒に塗りつぶされた縄のようなもので縛られていた

 理解が追い付かない中、俺に向かってイラついたような声で話しかけた女がいた


「おい、なんか答えろよ、殴るぞ」

「え! ちょまっ! マジで先生……なんでいんの?」


 明かりがついた瞬間に目に入った女性が、さっきとは違って眉間にしわを寄せて

 高そうな革靴をコツコツと鳴らしながら、見下ろしながら睨んでいた

 俺のクラスの担任、花染朱音だ


 聞き間違えじゃなかった、最悪……

 教師が殴るなんて言っていいんでしょうか?

 教育委員会の方は、いずこですか!!

 なんでまず、先生がいるんだよ……

 まさか先生も退魔士協会の関係者なのか?


「お前が今考えていることをこと当ててやろうか、私も退魔士協会のものなのかって今考えているところか、どうだ? 当たっているんじゃないか?」


 なんでこの鬼教師は、俺が考えていることがわかったんだ

 退魔士協会っていったいなんなんだよ

 わざわざ俺を捕まえて、何がしたいんだ

 俺は普段通り生きているだけなのに、ここまでされる覚えわないんだけどな

 聞きたいことはあるが、まずは何から聞けばいいのか


「はぁ、私は、日本退魔士協会八咫烏、東京支部の人間だ。星宮の上司みたいなもんだ。まぁ、お前のことは私が全権を持っている。私がお前を殺したほうがいいと思ったら殺すし、生かしていいと思ったら生かす。生かすも殺すも私次第ってことだ」


 ま、まじですか……

 なんで俺の生死をこの人に決められないといけないんだよ

 俺が大嶽丸の力を持っていることがいけないのか?

 でも、俺自身が何かアクションを起こしたわけではない

 これじゃぁ、存在していること自体を否定しているようなもんだろ

 ん?

 今星宮さんの上官とか言っていなかったか?

 無事なのか?


「先生、星宮さんは……無事なんですか?」

「あぁ、無事だよ、あばらの骨が何本か折れていたがさっき治療した。もう元気になっているよ。それよりもまずは自分のことなんじゃないか? お前は、自分が置かれている状況がまだわかっていないようだな」


 あ、そうだったわ……

 いや、状況は分かりたくても分かりたくはないけどね

 まぁ、ひとまずは星宮の無事も確認したし

 怪我をしたって言ってはいたけど…………

 と、とにかくまずは、なんでここに連れてこられたかだ


「なんで俺はここに連れてこようとしたんだ、どうして、俺は……」

「お前も薄々気付いているんじゃないか? まぁいいだろう。理由は、お前の魂の中にいる大嶽丸だよ。私たち日本の退魔士にとって、手を出してはならない存在が複数いる。

 その中でも別格の存在とされているのが大嶽丸。やつは、千年前にある戦いで四万人の死者をたった一晩で出しているような怪物だ。とにかく上からの命令でね、大嶽丸が目覚めた場合は、即刻殺せと命じられている。どうやって目覚めたかはわからんが。まっ、つまり私たち協会にとって大嶽丸はそれほど脅威の存在ってわけだ。わかったか?」


 たった一晩で四万人を、殺したって……

 そういえばあいつもたくさん殺したって言っていたような

 だが解せないな、すぐ殺せと命じられているなら、なんで俺を捕まえたんだ?

 今だって殺そうと思えばすぐ殺すことができるのに。

 それに、大嶽丸は、一日気絶していたとも言っていた

 はぁやばい、人間不信になりそう

 何が狙いなんだ?

 くそ、なんかムカついてきた

 もういい、ごちゃごちゃ考えても埒が明かない


「だったらどうしておれをすぐ殺さないんだ?」

「そう、カリカリするな。まったく……安心しろお前は、殺さないし、大嶽丸が目覚めたことは、私が何とかして隠してやる。だが、大事なものを守りたいのであればお前も協力しろ。そして強くなれ」


 まぁこんなことが立て続けに起こったら

 さすがの俺でもわかる

 確かに、強くならなきゃ守れない

 だけど、本当に信用していいのか?

 俺さっきまで拘束されてたし、なんだったら腹貫かれたんだが

 先生がいい人なのは知っているが…………


「どうしてだよ…………敵なんじゃないのか?」

「そうだなぁ。お前がどうしても殺していいような人間に私は感じないんだよ。一年半お前をずっと見てきた。情が移ったとかって言ったら退魔士失格かもしれんが。お前は、今ここで死んでいい人間じゃないと私はそう思っている。だがさすがに、今まで通りに生活はできんぞ? 今日からは、お前に監視をつける。それとまた、暴走されては敵わんからな、星宮に力の使い方でも教わるといい。じゃぁほら、後ろを向け縄を外してやる」


 後ろを向くとほんとに、拘束していた縄を外してくれた

 自分の体が、自由になったことを確認した後

 先生を見ると、優しそうな眼をしながら微笑んでくれていた

 そして、縄を外してくれた瞬間体に一気に疲労が出始めたのか

 もう座っていることさえ億劫になっていた


 なぜか、助かった

 そうかまた、柚木と会えるのか……はは……そうか……

 なんか一気に力が抜けた気がする

 でも監視かぁ、んーちょっといやだけど、生かしてもらえるんだ贅沢は言えないか

 それに、先生が言った通りまた暴走するのは、俺も嫌だしな

 星宮さんにも後でちゃんと謝らないとな 


「先生ほんとにありがとう。感謝するよ」

「なんか気持ち悪いな、そういう感じはやめろ」

「気持ち悪いって、あなた教師ですよね?」

「いいからとっとと帰れ。妹さんにしっかり連絡しろよ、すごく心配していたから」




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