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四話

 おいおい、やる気満々だな

 おかしいだろ! 昨日会ったばっかの人間を捕まえるって

 そういや今、八咫烏って “カラス”ってこの何とか協会のことじゃないか? 

 しかもなんだよ、急に水が集まりだしたと思ったら刀出てきたぞ!?

 どう考えても、大嶽丸関連としか思えねぇ

 てか、どこから出したんだよ……

 危ないよ! そんなもの人に向けるものじゃありません!

 それに、俺自身は何もしてないし

 そんな殺気を放たれる覚えもないんだが

 でも、なんかあんまり説明してくれるような状況には感じないし……

 はぁ、荒事は嫌なんだけどなぁ

 あんな不思議な力を使っている時点で勝つことはほぼないだろうけど、せめて悪あがきはさせてもらおうか

 相手は、女だからな殴ることはできんが

 まったく昨日から俺の人生どうなってんの? 

 軽くいじめなんだけど……最悪だよ


 「はぁ、しっかり説明してくれたうえで力を貸してくれませんかってならわかるが、いきなり出てきて捕まえるって。そりゃないんじゃないか? それにそんな物騒なものまでだしてよぉ。まぁ、どうしても俺を捕まえたいのであれば力ずくも捕まえてみるんだな、悪いが俺は、自由と平和を愛する男なんだ」

 「そうですか、残念です……最初に言っときますが怪我しても文句を言わないでくださいね。では、参ります!」


 そう言ったと同時に星宮さんは、俺に向かって一直線に突っ込んできた

 俺の腹めがけておもいっきり刀を刺しに来たのだ

 間一髪、横に避けることに成功はしたが、少し服をかすっていたのか、シャツが裂けているのがわかった

 避けることができた理由としては、刀に対して注意していたこと、古武道を俺自身がやっていったこと、その要因があったからこそ回避することができた

 星宮さんは俺が避けたことに対して少し驚いている表情をしていた


 おいおい、待て……こいつ容赦なく刺しに来なかったか……

 嘘だろ今横に避けなかったら、確実に背骨まで貫通してたぞ

 こいつ、まじだ……


 「避けてしまいましたか、ですが次は本気でいきます」

 「おい! お前は、俺を殺しに来たのか、捕まえに来たのかどっちだよ!」

 「うっ、うるさいです! 次は捕えます!」


 おぉ、ちゃんと言い直してた

 はぁ、どうするかぁ、相手は刀だし、俺に武器はないときた

 いや、突きで分かったが、普通の人間に出せる速さじゃない

 それに今のは、全力じゃないのだろう

 その証拠に星宮さんの表情には余裕がありすぎる

 意表を突いたところで軽く流されると思うし

 それに、次あれより早いのが来たら正直きついぞ

 とりあえず距離をとるか

 いや、戦っても勝てる見込みがない以上全力で逃げるしかないな

 走るのは嫌なんだけどなぁ、和解は無理そうだし……

 ええい! もう知るかこの野郎!


 「逃がしません! 我が御霊よ、我が声に応え顕現し、我がもとに集え、流れろ水雲椿!」


 星宮さんがそう唱えた瞬間、真っ白な刀身に水色の波紋が入っていった

 同時に彼女の周りに水がどんどん集まっていき俺の目の前には水のドームができていた

 俺は、何が起こっているのか全く理解が追い付いていなかった

 そんな星宮さんは追い打ちをかけるように、絶対に逃がさないという表情で刀を構えていた


 おいおいおいおい……嘘だろ……こんなのありかよ……なんで水が……

 こんなのからどうやって逃げりゃーいいんだよ。

 くそ考えろ、立ち止まったら、今考えることをやめたら、殺され……


 「油断しましたね」

 「は?」


 そう言われて、自分の腹を見た瞬間に冷や汗が滝のように出てきていた

 背後から水の槍がドームから伸びていて背中から、腹まで貫通していたのだ

 痛いはずなのに、なぜか痺れを感じていた


 く……そ……ほんと……昨日から、なんなんだよ。おれが何をしたっていうんだ、くそ……急に力が……頭も朦朧としてきた……


 「少し水に、毒を混ぜておきました。もう戦うことは、できませんよ」


 毒……か……なんで、なんで俺が……ふざ……けるな……


 その瞬間俺の視界は、闇に覆われ、まるでどこかに沈んでいくように意識が消えていった


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 よかった、これで私の勝ち

 べ、別に勝ち負けとかは、考えてないけど……

 それにしても気になるのは秋月先輩のあの反応

 やっぱり、大嶽丸のことなんて知ってるようには見えなっかたなぁ

 だけど最初の、突きは完全に意表をついていたと思ったんだけど、少し悔しい……

 とりあえず、任務は終わったし、秋月先輩を連れていこ……


 「ううおおおああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 視界には、ついさっきまで倒れていた、いや倒れたはずの先輩がそこには立っていた、今までには感じられないほどのオーラを放ちながら。

 すぐに臨戦態勢に入ってはいたが、目の前に起きていることに対してどう対処するべきなのか考える余裕がなかった


 まだ動けるっていうの、おかしいじゃない

 ついさっきまで倒れてた人が、お腹に穴も開いてるのに、なんてオーラを放っているの一度倒れていたことも確認した、ありえない

 だってさっき戦っていた時もそうだったけど秋月先輩がオーラを使っているところなんて見ていない

 しかも、これは……とにかく戦うしかない

 どのみち、おなかに穴は開いたままで、出血は、止まっていない

 もって、五分ってところだと……いや、相手は、大嶽丸と魂が同化している

 簡単に考えることは自殺に等しい

 どっちにしろ、生きて帰れるか分からないな


 距離をとりつつ自身の精魂器の水雲椿を全力で解放した

 そして、自身の周りに水を集め始めていた

 水雲椿の能力で作り出されていた水のドームをさらに厚くさせた

 自身の周りにも蜘蛛の巣のような水の壁を配置させ、逃がさないことと、自身を守ることに集中した


 水椿の射程距離は、十メートルだけど、ドームを維持させること、自分を守ることに専念しているから、今は大体五メートルってところ

 これでどこまで保てるか…………


 私が、覚悟を決めて身構えた瞬間

 先輩の体には電気を纏わせたように全身を走っていて、周りには、無数の氷の剣ができていた

 呆気に取られていると、氷の剣がまるで雨のように降り注がれる

 それに対して、水雲椿の能力で頭上に椿の形をした無数の花を作り身を守ろうとした

 だが、そんな防御技もほとんど防ぐことはできず、星宮を襲った


 いくらなんでも、でたらめすぎるでしょ!

 まずい、椿の水雲椿の力だけでは止めてるだけで

 あれ、気配が…………

 秋月先輩がいない!


 「きゃぁ!!!!」


 気が付いた時には遅かった

 私の背後から、もの凄い衝撃が飛んできた

 おそらく、先輩が打撃を放ったと直感で感じた

 自身の周りに水の防壁を作っていたため、直撃はしなかったのだと予想した

 ただ無傷ではないことに気付いた


 い、今の、水雲椿を展開させていなっかたら……

 それでも、衝撃で、脇腹は折れた

 力が入らない、息がまともに

 吹き飛ばされた時の衝撃で少し足が…………

 それより、いつ私の背後に回ったの?

 まったく見えなっかった……

 でも、そんなこと考えている場合じゃない

 それにちょうど先輩がいるところには罠が仕掛けてある


 「いま! 捕えろ、(いかり)飛泉(ひせん)!」


 事前に張り巡らせていた罠

 水がドームのてっぺんと秋月の足元から水の壁と柱が五本一気に現れた

 そして、先輩の逃げ場のすべてを一気につぶし、発動されてからドームなどに回していた力をストップさせ、全力でそこに留まらせることに集中した

 だが、先輩の足元から一本の刀が姿を現した

 先輩がその刀を一振りした、その瞬間

 先輩を囲んでいたはずの水の壁や柱、だけではなく周りの木々や、岩までもすべて綺麗に切られていた


「嘘…………でしょ」

「だ、だめだ……逃げろ」


 星宮は、秋月悠真がその一言を放ったことに驚いていた

 そして、そう一言つぶやいた秋月は、その場に力なく倒れた


 まだ理性が残っていたっていうの? なぜ?

 いえ……今は、任務を遂行する

 はぁ、怪我しすぎた、先生に治療してもらわなきゃ


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺が目を覚ました場所は前にも来たことがあるような真っ暗な場所だった

 だが、この間と違って完全に闇に包まれ、とても寒い空間になっていた


 あれ? なんも見えねぇ

 そういえば、星宮さんに刺されてからの記憶がないな

 俺はもう捕まったのか? 

 柚木は大丈夫だろうか、心配はかけたくなかったんだけどな


「よー感傷に浸っているところに悪いんだが、お前さんは無事だぜー」

「ん? その声は……大嶽丸か?」

「昨日ぶりだな、悠真。ずいぶん暴れたじゃねぇか!! だははははははははは!!!!」




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