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三話

 再び俺の視界は、闇に包まれていった

 だがその闇と入れ替わるように、俺は目を覚ましていた

 さっきまでいたはずの竹藪に俺は横たわっていた

 あたりを見渡し、さっきまでと日差しの明るさが変わっていない事に少し安心した

 その反面、柚木のことが少し心配になった


 よかった、戻ってこれている

 今何時だ、どれだけあそこにいたんだ?

 心配かけるようなこと……にはもうなったか

 はぁ、あんな大事なことを最後に言うなよ

 もう普通の人間ではないって、俺の平和な日常はどうなるんだよ、


 とにかくこのことは、誰にも言わず黙っていたほうがいいな

 柚木やじいちゃんに心配はかけられない

 そういえば、あいつ最後にカラスに気をつけろって言っていたな

 カラスってあのカラスのことか? 

 まぁ、今考えても俺には、わからないんだが

 よし早く戻るか、じゃないとすき焼きの注文ができん

 むしろ、すき焼きじゃないとやっていけない


 土や血などで服もボロボロだったが、俺はその場からすぐに駆け出した

 すき焼きもそうだったが、とにかく柚木の無事を早く確認したい事と

 時間の流れが違うとはいえ、急にいなくなって怒っていないだろうかという不安があったからだ

 そして玄関の前について、俺は今までにないほど焦っていた


 玄関についたが、怖すぎる

 だ、大丈夫だよな、柚木怒ってないよな

 頼む! 怒られませんように!

 よしまずは、静かに気配を消して最初からいましたけどみたいな流れで座っておこう

 うんそれがいい……よしいくぞぉ

 ―――いまだ!


(ガラッ)


「おにいちゃんか、おかえり」

「ん? あ、あぁただいま」

「え、なに? なんでそんなボロボロなの? なんか悪いことでもした?」

「あ、いやぁ…………恥ずかしいことに竹藪通ろうとしたら思いっきり転んじゃって」

「え、なにそれ。もう何してんの? はぁ、もうとりあえず脱いで置いといて」


 おぉ、一瞬でばれてしまった

 俺の妹スゲー

 でもよかった、時間はそんなに立っていないようだ

 ほんとに、夢を見終わったみたいな感覚だな

 結構経ったように感じたのに、現実はそんなに時間がたっていない

 本当に良かった、いや、まぁそれ以外はことごとく良くないんだけどね

 はぁ余計なことをしなければよかった

 あれ? 転校生ちゃんは?

 いないよなぁ。んーどこ行ったんだろう。聞いてみるか

 ついでにすき焼きの注文をしよう


「柚木―、今日すき焼きで頼む。あと、転校生ちゃんは? 帰ったのか?」

「もう今シチュー作ってるからまた今度ね。鈴香ちゃんは、何かを思い出したかのように急に用事ができたって言って急いで帰っちゃったんだよね。もう少し話したいことがたくさんあったのに」


 え、少しなのか、たくさんなのかどっちなんだ? 

 にしても急用か、正直嬉しいな

 もう今日はいろいろありすぎて疲れた……はぁ……シチューかぁ、シチューも好きだが

 今日の気分じゃないんだよなぁ

 もう…………風呂に入って今日は休もう


 ________________________________________


 ――星宮か、どうした? 緊急か?

「はい、憶測ではあったんですが、先程秋月悠真から大嶽丸が目覚めた事を確認しました」

 ――なんだと! それはほんとに、悠真だったのか!?

「間違いありません、あの刀を手に持っていましたから」

 ――はぁ、最悪な状況だな。よし分かった、なら捕縛することは可能か?

「力を使いこなせていなければ、行けると思います」

 ――そうか、無理はするな。もし抵抗するようなら、力ずくでも構わん

「はい、了解です。では、失礼します」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「お兄ちゃん! 早く起きないと遅刻するよ!」


 もう朝かぁ、はぁ、昨日はほんとに散々だったな

 もう最悪……朝からブルーだよ。

 よし……決めた

 もう一回寝よ


「お兄ちゃん! 学校!」


 もう寝ようと思っていたのに、なんだよ学校ってなに? 美味しいの?

 あぁだめだ…………昨日のことを思い出しただけでストレスだ

 絶対に誰にも言えないしなぁ

 しかも、あいつの力が発現するって大事なことを最後に言ってくれやがって

 まて、もしそれが学校で発現してしまったら大惨事になると思うんだが

 やばいどうしよ、不安なってきた。あと眠い…………

 くそ、いろいろ整理する必要もあるしな、あの場所にでも行くか

 柚木に嘘をつくことにもなるが、仕方ない

 さぼりじゃなくて…………もう何でもいいや


「おはよ、柚木今日はちょっと先に行ってくれ。兄ちゃん少し具合が悪いんだ……」

「え? 大丈夫なの? 熱は?」

「大丈夫だよ、熱もない。ただ体調がな……ゴホッゴホッ」

「わっかた。先に行ってるね、お弁当は台所に置いてあるから。無理しちゃだめだからね」


 そういって、柚木は学校へと向かっていった

 それを見送った後、自分がいつもの場所に行くための準備を始めた

 考えている落ち着く場所は、山奥にあるから動きやすい服などに気がていた

 水筒や弁当をバックに詰め込んで、いざ行こうとしたときにあることに気が付いた


 よし、とりあえずいきますか、あの場所に

 あれ? おかしいなぁ、じいちゃんがいねぇ

 どこにいるんだ?

 そういえば昨日から見ていないような、なんかの用事か?

 でも、俺たちに何も言わずどっか行くよう人じゃないしなぁ

 まっ、帰ったらなんか分かるだろ


「よし、いくか……ん?」


 今、誰かが俺を見ていたような

 いやぁ……勘違いか?

 でもあれは完全に誰かの気配がしたはずなんだがな。

 もしかして、昨日あいつが言っていた“カラス”となにか関係しているのか? 

 何かこの力が知られては、まずい存在なのか?

 カラスなんてそこら中にいるぞ? 

 どうやって気をつけるっていうんだよ

 まぁ、でも力が発現したところをだれにも見られなければ問題ないだろ





 いやぁ、久々に来たな! 相変わらず空気が最高だぜ

 二年ぐらい行ってなかったからなぁ。少し楽しみだな

 じゃぁ行きますか

 …………やっぱりなんかおかしいな、ずっとだれかに見られているようなぁ

 急に俺ナルシストになっちゃった? いや、でもこの感覚は間違いないはずなんだけど

 昔から気配を感じることは得意だったし少し自信があるんだが、おかしいなぁ

 でも昨日のことでいろいろ敏感になっているんだろ

 おっと、敏感ってのは、エロい意味じゃないぞぉ…………

 俺は一人で何を考えてんだ、まったく

 なんか悲しくなってきた

 ん? 

 あの子は……なんでこんなところにいるんだ?


 そう思いながらも俺は、とりあえず目的地に向かった

 とにかく、目的は落ち着いた場所でゆっくり考えることだ

 山の中に入って行きながら、ついてきている何者かの気配を感じながら進んでいた

 まだ山頂ではないが、山に入って一時間半、その子はずっとついてきていた


 まだついてきてるな。何が目的なんだ?

 さすがに怪しいんだけど

 まぁ今日は人がちょうどいないし、何かあったとしても多少は大丈夫だとは思うけど

 主に俺が危ないぐらいだし

 いや、俺が危なくなるのも嫌なんだけどね

 少し挑発してみるか


「結構来たなぁ。ここは、二年前と何も変わらなく緑が心地いい。あんたもそう思うだろう? しっかし、ここまでよくついてきたなぁ、転校生の星宮(ほしみや)鈴香(すずか)さん。いい加減出てきてくれないかな? ずっと変な気配をだしながら、ついてくる理由はなんだ? 俺としては、あんまり嬉しくない、ハプニングなんだが」


 俺の言葉に反応して、隠れることが無駄だと分かったのか、気の後ろから

 少し驚いた様子で、転校生が出てきた

 昨日会ったときには、おろしていた髪も後ろで結んでいて

 スポーツウェアのような動きやすい恰好をしていた


「……なんでわかったんですか? ま、まぁいいです。実は、先輩に頼みたいことがありまして」


 頼みって、こんなとこまでついてくるような頼みってなんだよ

 それよりも、やばいな。なぜかよくはわからんが、急に殺気出てるんだけど……

 え、なんなの超怖いんだけど!

 でも刃物とかそういう気配もしないし

 だがおかしい、なぜかただの感だが危ない匂いがプンプンするぞ

 何考えてんだ? 聞いたほうが早いか?

 いや俺が、悩んでいることで疑心暗鬼になりすぎていた


「そうか、俺ができることなら協力してやるが、なんなんだ?」

「では秋月悠真、『日本退魔士協会(にほんたいましきょうかい)八咫烏(やたがらす)』の命により、捕えさせていただきます」


 そういった星宮の目の前に水が集まってきていた

 星宮が手を伸ばすと、さっきまでは水だったものが刀へと変貌を遂げていた

 その刀は柄の部分まで真っ白になっていた

 その不思議な現象にもびっくりしたが、なにより星宮が俺を捕えるといったその発言に

 動揺を隠せなかった


「え……な、いや、ちょっ、待ってくれよ! なんで俺が捕まらないといけないんだ?てか、なんだよその怪しい宗教みたいな名前は! ちゃんと説明してくれよ」

「抵抗する場合は、力ずくでいきますのでお覚悟を」




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