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今日から学校と仕事、始まります。②莞

送るから勝たせてください

作者: 孤独

青春とは高校野球だ。それは幻だ。


カキーーーーーーンッ


「ホームラン!!1回表、158打者連続ホームラン!!158-0!!」


どんな試合をやってんだよってくらい。

初回から信じられない得点差と奇跡過ぎる打撃結果を見せる展開。


「ちょ、ちょっと待って!」

「なんだよ」


どーやったらそんなに失点できるんですか聞きたいし、肩とメンタル大丈夫ですかとも聞きたい。

後攻チームはここでもう何度目になっているか分からないタイムをとり、それを許してあげている先攻チーム。公式試合じゃなくて良かったね。


「こ、このままでは我等が勝てないでガンス!」

「っていうか、アウトがとれてないでホームラン打たれるとかどうすりゃいいねん!!」

「インチキインチキ!!」

「そ、そうだ!!先攻チームは1アウトでチェンジするようにしろ!!」


作戦タイムからルール変更タイムに切り替わったこの辺りから。まぁ、いいんじゃないって先攻チームは了承してあげた。


カキーーーーーーンッ


「ホームラン!!163打者連続ホームラン!!163-0!!」

「タ、タンマタンマ!!バットでボールを打つのは反則じゃないガンスか!?」

「どーしろってんだ、お前等!!俺達は野球やってんだろ!!打たれるテメェが悪いんだろ!!」


またしても、作戦タイムを使っての抗議を行なう。なんとしても勝とうというメンタルは評価できるのだが、全く持って野球を取り組もうとする姿勢を相手から感じられない。


「そーや!審判はこっち側の味方になってもらうんだ!!」

「ストライクゾーンを広げてくれーー!1ストライク宣告につき、10万円!!ついでに我等が攻撃側の時は全ての球をボールと宣告するように!!」


堂々と審判を買収宣言。ストライクゾーンの云々でどーにかなるわけがないのだが、キャッチャーが立ち上がり、どー考えてもボールを打てないところまで離れる。いわゆる敬遠である(今は申告になってるね)。


「ス、ストライク。金が欲しいです」

「ああ。審判が買収されちゃった」


これには呆れた先攻チーム。ちなみにこの試合、ようやく初めてのストライクだったりする。

これなら絶対にアウトをとれる。……はずなのだが、



ポロッ


「キャッチャー、後ろに逸らしたーーー!バッターは振り逃げーー!」


ピッチャーもクソならキャッチャーもクソ。内野手と外野手もボロボロ過ぎる守備力を見せてしまい、振り逃げをされる始末。しかも!!


「164点目!!振り逃げだけで得点が入ったーーー!!」

「ちょちょちょ!!振り逃げは無しにしましょう!!」

「キャッチボールくらいできるようにしろよ!!」

「だいたい、お前等。ここまでのホームランの8割がランニングホームランなんだぞ!(エラー込みだけど)!!勝つ気あんのか、負ける気なのかハッキリしろや!!」


その後もこの野球は。


「僕達のチームが負けているのは攻撃ができていないからだ!!一球投げるごとに私達に1点をくれでガンス!!1イニング終わる事に20点加算!アウト1つに、10点を加算するでガンス!!」

「だったらちゃんと野球をやれや!!」

「申告アウトがOKなら。申告得点もくれでガンス!」

「なんでも有りにすんなや!!」


もはや野球というか、スポーツの枠組みを完全にぶち壊すほどのルール変更や審判の買収などが行なわれたのだが……。結局、いずれの手段を用いても、後攻チームは勝つ事ができなかった。



◇         ◇


「上出来上出来」


あまりにもふざけた練習試合や謎の抗議が、全国の強豪校でいくつも行なわれたらしい。

試合とは言いたくもない。野球とも言いたくない。

心をドンヨリとさせる無能共や無法者との試合。

そんな試合の数々を影から操っていたのは、一人の高校球児であった。


「辛い練習をやってきたところに、こーいう事をしてやればメンタルはボロボロになるからな。強豪校の破壊工作もしてきたし」

「広嶋、お前は悪魔だよ。野球しろよ」

「周りの強敵が野球を辞めていく様は快感ですよ。練習の内から試合は始まっているんだよ」


この年の高校野球は、多くの強豪校の不祥事、辞退、謎の病気が全国で多発。

混沌とした高校野球となるのであった。



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