表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される  作者: 葵川 真衣
イザークの初恋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/100

2.新生活


 不幸は重なった。

 イザークの母と、リアの両親も相次いで他界した。

 

 リアの父親が亡くなった日に、帝都から人がやってきた。

 アーレンス公爵家に仕える人間で、リアを迎えにきたのだ。

 彼女の父親が亡くなる前に連絡したらしい。

 リアはアーレンス家の令嬢の娘だった。

 

 イザークはリアが心配で、彼女に同行し、共に帝都に行くことにした。

 リアは伯父であるアーレンス公爵の養女となり、イザークは実父クルム侯爵のもとで暮らすことになった。

 自分は侯爵の落とし胤であった。

 

 環境が変わり戸惑った。

 でも村に残ってリアを気にかけているより、少しでも近くで彼女の支えになりたかった。

 

 帝都に来たあとは、リアとは手紙でやりとりをしたり、互いの屋敷に行き来したりして、近況を知らせ合っていた。

 自分もリアも新しい生活に馴染むことに懸命だった。




◇◇◇◇◇




 王都に出てきて一年。

 リアは九歳、イザークは十歳になっていた。


「リア」


 侯爵家に訪れたリアを庭園で迎え、イザークが声を掛ければ、彼女は瞬いた。


「イザーク、また身長伸びた?」


 呆気に取られた顔をするリアに笑う。


「少しな」

 

 村にいたときより、リアも背が高くなった。

 それに令嬢らしくお淑やかになった。今も目が離せないと思うくらいおてんばな面があるが、彼女は日々努力した。

 あたらしい家族に迷惑を掛けないよう。

 

 リアと庭を歩き、備え付けの椅子に座る。


「公爵家での生活、慣れた?」

「うん。最初の頃と比べると。イザークは?」

「俺も。リアの両親から学んでいたことが、とても役立ってる」


 村ではリアの両親から色々なことを教わっていて、それが今、本当に役に立っていた。

 幸せだった頃を思いながらリアに言った。


「帝都から大分離れているし、今は無理だけどさ。大人になったらまた村に行ってみよう」


 大事な人が眠っている、思い出深い場所。

 本当は今すぐにでも彼女と一緒に行きたかった。まだ子供だし不可能だけれど。


「ええ」

 

 リアは頬を綻ばせ、頷く。

 イザークはリアの笑顔を見るのが好きだ。

 今、幼馴染を独占できる。

 

 彼女と相思相愛だったパウルは亡くなった。

 しかし傷心なリアに付け入るようなことはできなかったし、イザーク自身、パウルが亡くなりショックを受けていた。


「そうだ、私、今度皇宮に行くことになったの」


 リアが突如言い、イザークは息をのむ。


「え、皇宮に?」

「そうなの」


 何しに行くのだろう。


「皇帝陛下にお目にかかるって、今朝お父様に言われて」

「えっと……」


(皇帝陛下と会う……?)

 

 確かリアの母親と現皇帝には、因縁があったはず。

 リアからそう聞いている。


「皇帝陛下とリアのお母さんって、以前、婚約してたんじゃなかったっけ……?」

「そう……」


 彼女の両親は、駆け落ちしたのだ。当時の皇太子──現皇帝から逃げた。


「ま、リアが生まれるよりも前のことなんだし……。陛下もそういった出来事をもう覚えていないだろう」


 随分昔の話である。

 緊張しているリアの心を解そうと、言葉を発す。


「気にすることはないさ。君は肝が据わっているし、今はもうレディだ」


 淑女の嗜みを学び、どこに出しても恥ずかしくない令嬢である。

 

 ──が、相手が相手。


「けど初拝謁……社交界デビューにはまだ早いよな」


 リアは指先を所在なく動かす。


「今度のは非公式なものみたい。礼儀作法の先生には、社交界に出たとき、困らないようにって、それは厳しく注意されていて。よく叱られるわ。陛下の前で失礼なことしてしまったらどうしよう」

「俺も、教師によく叱られるけどさ。君なら大丈夫だ」


(相手が皇帝陛下じゃなかったら、俺もこんなに気にならないけど)


 国家の頂点。更に、リアの母親の元婚約者である。

 それでリアも心配しているのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ