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闇黒の悪役令嬢は溺愛される  作者: 葵川 真衣
第一部

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78/100

78.闇魔力の解放


 室内奥にある階段を降り、二枚目の扉も彼が開けた。


 向こう側は小さな部屋で、壁際の台座に、以前のまま四角い箱が鎮座している。


「これか……」

「はい」

 

 ジークハルトは魔法陣の描かれた箱を手にし、蓋を取った。

 中から漆黒のストーンを取り出す。

 瞬間、彼はぐらりと倒れそうになり、その場に蹲った。


「ジークハルト様……!」

「…………」


 ジークハルトは蒼白で、肩で荒い息をしている。額には汗が滴っていた。

 ヴェルナーが舌打ちした。


「……たぶん、殿下の中の精霊王が抵抗しているんだろ……」


 リアが動転すると、ジークハルトが、リアの名を呼んだ。


「リア……」

「……はい」

「君は『闇』術者だ……。……このオレを殺せ。そうして、オレの中の精霊王ごと消滅させろ」


 リアは喉が干上がる。


「そんなこと、できません!」


(ジークハルト様を殺すなんて、絶対できないわ!)


 そのときリアは、自分がどれほど残酷なことをヴァンに命じたのか悟った。

 ヴァンに自分を殺すように命じたのだ。ひどいことを頼んだ。

 ヴェルナーの瞳に焦りが浮かぶ。


「殿下。もしあなたが亡くなっても、精霊王を消滅させることはできません」

「何……? なぜだ……」

「精霊王より先に、殿下が亡くなるからです。

 同時に世界は崩壊し、新たな世界が構築されます。殿下とリアはまた転生をするはずですが、次の生で二人に記憶があるかはわかりません。

 それに……おれが思うに、これは奇跡的に開いたルートです。

 幾つもの幸運が重なっていて、そのどれかが欠けてもきっと辿り着けなかった。

 精霊王は破滅を呼び寄せています……この生を逃せば、何十回、何百回繰り返しても、どれほどに惹かれ合っても、あなたがた二人は……」


 ジークハルトはぎりっと奥歯を噛みしめる。


「たとえ……記憶がなくとも……やり直す。次の生で、精霊王を封印する。今、この力をオレはとても制御できそうに、ない……。それにヴェルナーはそう言うが、ここでオレを殺せば、全てがうまくいくかもしれない……。だからリア、オレを──」

「そんなことを、おっしゃるのはやめてください!」


 リアは脂汗を滲む。


(できない!)


 彼を殺すなんて、絶対に──。


 ジークハルトは死を覚悟していたのだ……。

 リアはぐるぐると考え、魔物のことを思った。


(ヴァンなら……)


 精霊王を封じることができるかもしれない。

 しかしここに来られるだろうか……。

 

 ジークハルトが触れたことで帝国内に入れない。

 だがこの村から、国外はすぐだ。


「ジークハルト様、国外へ。そうすれば、私の魔物が来てくれますわ。ヴァンなら、きっと精霊王をあなたから切り離すことが──」

 

 もし彼を殺すしかないのだとしても。


(絶対に殺させない──!)


「リア……」


 ジークハルトはリアの手を掴む。

 そのまま彼の双眸から光が失われ、彼の意識はなくなった。

 リアは全身が冷たくなる。


(死なせない)

 

 ジークハルトの胸に手を置き、ストーンを持つ彼の手を握り、唇に唇を重ねた。

 身の内に風が駆け抜ける。髪がゆらりと揺らめき、彼に触れた指先が熱くなった。

 

 彼の中にある異質なものを強く感じる。

 ジークハルトの意識がないためか、その存在をはっきりと鮮明に。


(これは……精霊王……?)

 

 リアは『闇』魔力の全てを解放した。

 瞳が金色に光り、音もなく場に闇黒が広がる。


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