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闇黒の悪役令嬢は溺愛される  作者: 葵川 真衣
第一部

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60/100

60.交わした約束2


「あの……。実は私、旅行にいこうと思っていたのですわ。それで、ヴェルナーに帝都を出るまで、案内を頼んでいたのです。道に迷ったら困りますから。でも皇宮にいることになりましたし、旅行することはありません。なのでその約束は忘れてほしいと伝えたかったのです」


 流石に、一緒に国外へ出ようとしていたとまでは話せない。

 人買いについても、メラニーの罪が重くなってしまうかもしれない。

 今生で被害に遭ったわけではないし、言う必要はない。


「彼に伝えたかったのはそれだけですわ」

 

 ヴェルナーと話をしたかったが、ジークハルトにいらぬ誤解を受けそうなので、諦めた。

 ヴェルナーに迷惑はかけたくない。

 謝罪と、現在置かれている状況、旅に出られないことは一応伝えられた。


「そうか。なら行くぞ」

「殿下」


 リアを連れて退室しようとするジークハルトに、ヴェルナーが言いつのった。


「一度握手をしていただけないでしょうか? 殿下にこうしてお会いできるのは、これが最後かもしれませんので」


 ジークハルトは無言でヴェルナーの前に手を差し出し、彼と握手をした。


「ありがとうございます、殿下」


 ヴェルナーは深く頭を下げる。だが足を縺れさせ、机の角に頭を強打した。

 しかも、足を挫いたようで、その場に蹲った。額からは血が出ていた。


「う……」

 

 リアは唖然とした。

 器用で運動神経の良い彼がそういったドジをするのは珍しい。

 初めてみた気がする。


(ヴェルナー……どうしちゃったの……)


「殿下にお目にかかり、しかも握手をしていただき舞い上がってしまいました……。頭を強く打ってしまいました」


 屈みこんでいるヴェルナーを、ジークハルトはいささか呆れたように見下ろす。


「……仕方ない。宮廷医師を呼ぼう」


 ジークハルトが扉を開けて廊下に出、リアはヴェルナーの横にしゃがんだ。


「ヴェルナー、大丈夫?」


 驚きすぎて、心配するのが遅れた。

 大丈夫だろうか。

 すると彼はぱちりと目を開けた。


「大丈夫に決まってんだろーが」

「え?」


 彼はさっと身を起こす。


「君と話したくて、わざと転んだんだ。こうでもしないと、あの皇太子が君に張り付いて、離れねー」


 彼はいつもの口調で、ニヒルに笑んだ。

 なんともないようで、リアはほっとした。


「よかったわ」

「よくねぇよ」


 彼は溜息をついた。


「おれはこれから体調を崩すことにするよ。で、皇宮に滞在する。オレは君を救うって約束した。約束を破るのは性に合わねぇからな」

「え?」


 ヴェルナーはリアの肩に手を置く。


「あの皇太子には気を付けろ。彼はマジ危険だ」

「危険って……」


(どういうこと?)


 ヴェルナーはポケットから何かを取り出し、口に放り込む。リアは目を瞬く。


「それは?」 

 

 彼はにやっと笑った。


「一時的に具合が悪くなる薬さ」


「医師を連れてきたぞ」


 ジークハルトが医師を呼んで、戻ってきた。

 ヴェルナーは額の傷の手当てを受けている間に意識を失い、奥の部屋に運ばれた。

 彼は皇宮で治療を受けることになった。




◇◇◇◇◇




 リアはジークハルトに部屋へ送られたあと、室内をうろうろとした。


(気を付けろって……危険って、どういうこと?)


 ヴェルナーに会いに行きたいが、部屋に鍵がかけられている為、出られない。

 窓を開けてみるも、格子が嵌められている。


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[一言] ヤンデレだもんなぁ
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