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闇黒の悪役令嬢は溺愛される  作者: 葵川 真衣
第一部

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43/100

43.危うい状態


 危なかった。

 ジークハルトはそう思った。

 

 もしあのままリアに口づけられていたら、自分はとんでもない行動に及んでいた。

 幾ら彼女が、治療行為で唇を合わせるのだとしても、そんなことをされて、平常心でいられるわけがない。


 ジークハルトはリアに対して、並々ならぬ強い執着心をもっている。

 初めて会ったときから、彼女のことが気になっていた。

 共に過ごすうち、彼女へのこの感情はさらに強くなっていった。

 

 美少女すぎて一見冷たくみえるが、リアの心はあたたかい。

 彼女は甘いものを食べるとき、瞳を輝かせ、とても美味しそうに幸せそうに食べる。

 いつの間にか、その姿をみるのが、ジークハルトの秘かな楽しみの一つとなっていた。


  

 しっかり者なのに、鈍かったり、ふいに愛らしく心臓が止まりそうな言動をとる。

 彼女が九歳のとき出会ってからずっと、目を離せずにいる。


 リアがジークハルトを見る眼差し。それには好意があるように思えた。

 しかし、あるときから壁を感じるようになった。

 よそよそしくなったのだ。

 他に好きな男でもできたのか。


(それとも最初から、オレのことなど何とも思っていなかったのか)

 

 そういえば彼女は昔から、熱い眼差しをしたかと思えば、哀しげに視線をおとすことが多かった。

 どこか諦観してみえたのだ。リアの気持ちがわからず、もどかしくて仕方ない。

 

 彼女といると安らげ、幸せな感覚となる。

 その理由の一つとして、彼女が自分のことを真摯に考えてくれていると感じられるからだ。


 ずっと彼女と過ごしていたい。

 できることなら、今すぐに皇宮に、自分の元に縛り付けたい。

 だがまだ婚約の段階である。

 

 

 ──リアの周りには彼女を想う男たちがいた。

 幼馴染のイザーク、兄のオスカー、弟のカミル。

 彼らはリアを異性として見、特別な感情を抱いている。

 リアのほうは彼らにそういった感情をもっていない。


 この自分に好意を寄せてくれているのではと思っていた。

 だが彼女はジークハルトに距離をとる。

 恥ずかしいとか、結婚前だからとか、それだけではない。


(なぜ避ける……)


 どうしてだ。

 

 

 ──幼い頃から予測していたとおり、リアは美しく成長した。

 外見などジークハルトは特には重要視していなかったが、婚約者が日々綺麗に、花開いていく様子を傍で見つめていれば、胸がやるせなく疼く。

 

 年頃になれば、彼女に触れたいという気持ちは日増しに強くなってくる。

 二人きりで過ごしていると、理性がきかなくなる。

 その透き通った紫色の双眸も、月光を編みこんだような髪も、艶やかな唇も、滑らかな肌も甘い香りを放ち、この自分を誘ってやまない。

 

 眩しく思い、彼女に口づけようとすれば、拒まれた。

 結婚前であるのは事実だし、彼女とキスすれば、それだけで終えられないだろう。

 

 婚約の長い期間を思えば、結婚まではあと少し。

 それまで待てば良いだけだ。

 

 だが彼女がどこかへ行ってしまうのではないかという、言いようのない不安がいつも心にあった。

 数年前、花火を見た日からだ。

 切迫感が胸を衝き、彼女への執着と焦燥で、自分はかなり危うい状態にある。


(オレは誰のことも愛せない。では、この気持ちはなんだ……?)

 

 愛だの恋だの、ずっとくだらないと思ってきた。

 

 だがリアへの気持ちは──厄介にもそういったもののようである。

 彼女のことが、好きだ。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] あら、けっこう感が鋭い
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