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闇黒の悪役令嬢は溺愛される  作者: 葵川 真衣
第一部

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38/100

38.噂1

 

 姉を心配してくれる、その気持ちは嬉しかった。


「ありがとう、カミル」  

 

 ジークハルトは違う相手を選び、リアは彼とは別の道を歩む。

 不幸ではない。

 だが……今生でもきっと心は痛む。




◇◇◇◇◇




 皇宮で夜会が開かれ、リアは家族と共に出席した。

 オスカーとカミルはすぐに令嬢たちに捕まった。

 彼らが女性に取り囲まれるのは、いつもの光景である。

 

 リアは公爵と共に、大広間で様々な人と歓談した。


「リア」


 名を呼ばれ、振り向くと幼馴染の姿があった。


「イザーク」


 彼と会うのは数週間ぶりである。

 長い黒髪を一つにまとめたイザークは、ミステリアスで大人っぽい雰囲気だ。

 オスカーやカミルと同じように、人気がすごく、先程彼も令嬢達に囲まれていた。

 

 イザークは公爵と挨拶を交わす。公爵は感心してイザークを眺める。


「君はまた身長が伸びたんじゃないか? 見るたびに成長を感じるよ」


 リアも常に思っている感想だ。


「いえ、身長だけ高くなって」


 公爵とイザークは談笑する。互いの家を行き来しているので、イザークは公爵とも親しい。


「あの、公爵。少しだけリアを借りてもいいでしょうか。ここだと人に囲まれ、静かに話ができませんので」

「ああ」 

 

 公爵は苦笑いする。さっきイザークが令嬢に捕まっていたのを見ていたのだ。


「構わないが、すぐに戻ってきてくれ。殿下がおみえになる前にね」

「わかりました。──リア」


 リアは頷いて、イザークと大広間を出た。


「いつも、大人気よね、イザーク」

「君の兄弟ほどじゃないさ」


 そう言って、イザークはくしゃくしゃと前髪をかきあげる。


「俺はあんなふうに笑顔で対応できない。すぐに逃げだしたくなる」

 

 リアは笑みが零れた。イザークは、女性に騒がれるのが苦手なのだ。


「それで大広間から出たの?」

「いや、君に話があって。庭園で話すさ」


 リアは彼と幅広の階段を降りたあと、宮殿の廊下を通って庭園へと出た。

 緩やかにカーブしている小道を並んで歩く。


「あのさ」


 彼は躊躇いがちに口を切った。


「殿下と俺の妹とのこと耳にした?」


(そのこと……)


 リアは身が強張る。


「……ええ」


 イザークは、溜息をついた。


「それ、誤解だ。妹と殿下はなんでもないから。妹はただ殿下と少し話をしただけで、二人に何かあるわけじゃない。くだらない噂だ」


 もし今、何もないとしても、これから本当にそうなる。

 リアはジークハルトが彼女を選べば、それに従うつもりだ。


 婚約破棄の回避のためには動かないと、前世を思い出したときから決めている。

 彼の意思を曲げることはしたくなかったし、運命なのだろうと割り切った。


「気にすることなんて全然ないから、リア」

「気にしていないわ」


 皆、リアがそのことを気にしていると思うらしい。


「けど、リア」

 

 前世のことは誰にも話していなかった。

 自分自身でも困惑していることだ。相手も混乱させてしまうだけで、信じてもらえないだろう。

 

 そのとき、リアは小道のへこみに足を取られ、体勢を崩した。


「リア」


 イザークが手を伸ばしてリアの腕を掴んだので、なんとか踏みとどまる。


「大丈夫か?」

「大丈夫。イザーク、ありがとう」


 彼は息を吐きだした。


「気を付けろよ? 君は昔っから、危なっかしくて目を離せないな。おてんばで」

「今はそんなことはないわ」

「いや、そんなことあるだろう」


 彼は心配そうに、リアの手を掴んだまま、屈む。


「ドレスは平気か……。ん、大丈夫」

「──何をしている」


 重低音が闇夜に響き、リアもイザークも驚いて、声のしたほうを見た。

 後方に、闇に溶けるような黒の衣装を身に纏った、ジークハルトの姿があった。

 

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