告白の影響
はあ……
今日も朝から学校があるから憂鬱だ。それに昨日の『告白』のこともあるし休みたい。
でも、俺の家では仮病でさぼるなんてことはできないから行くしかない。
俺は時間ギリギリに学校に着き、ホームルームが始まるまで寝たふりをすることにした。
「はやくホームルーム始まらないかな。」なんて、思っていると、横からいきなり声を掛けられた。
「おい。お前、昨日御堂さんを教室に呼び出したよな」
はっきり言って、その逆だったが、めんどくさかったので寝たふりを続ける。
「おい。起きろよ」
そう言って、俺の体を乱暴に揺らしてくる。
だが、ホームルームが始まったから諦めて、メモだけを残していき、そこには「昼休み屋上にこい」と書かれていた。
去っていくクラスメイトの男。一体なんだったんだ。気づかなかったふりでもして、屋上には行かないでおこう。
それにしても怖いな。いつからこの高校はこんな物騒なったんだ?これも全部昨日御堂さんに告白されたのが原因ってことか?
横目でちらりと、御堂さんの方を見る。すると、御堂さんもこちらを見ていたのか目が合った。
御堂さんは目が合って恥ずかしいからなのか顔を赤くして、目をそらし、黒板を見た。
ホームルームでは先生が何か大事なことを言っていたような気もするが、俺はどうしようかなという考えが頭の中を埋めていた。
そして、昼休みになった。メモで呼ばれてたけど、行かないことにした。
後で問い詰められても、自分のモノじゃないと思って捨てたとでも言えばいい。
とりあえず、屋上に来ないからと言って、あいつが教室に戻ってきそうだから、俺はコンビニで買ったパンを片手に、校舎裏の殆ど人が来ないベンチに腰掛けた。
ここは俺が一年の頃に発見した場所だ。
基本的に昼ご飯は全てコンビニで買ってここで食べている。食堂や教室では人が多いため、何かない限りは食べない。
「今日も誰もいなくて最高だな」
そんなことを口ずさみながら、パンを食べる。
学校で一番幸せな時間だ。
「こんな所あったんだ」
後ろから声がする。
誰だ!?と思い、声の方向を見ると、御堂さんだった。
なんで御堂さんがここに……
そう思っていると、御堂さんは俺に話しかけてきた。
「いつもここで食べてるの?」
「そうだけど……」
「なんで?」
「教室だと人が多いから」
あえてそっけなく答える。
「じゃ、じゃあ私と今日から食べようよ!」
そういうと、強引に俺の横に座ってくる。
「お、おい」
あまりにも強引すぎて、なすすべもなかった。
これが『演技』かもしれないと思っても、緊張する。
「はあ……まあ、ベンチは誰のモノでもないし、いいけど」
結局、選択肢がない俺にとって妥協するしかない。
「や、やった!」
御堂さんは嬉しそうにする。これも『演技』かと思うとある意味すごいなとまで感じてくる。
その後は、無言でご飯を食べて、帰る時間をずらすために、昼休みが終わるころまでトイレに籠った。
そして、放課後になった。今日は学校にいない方がいいと思った俺は、最寄りの駅で時間を潰そうと最速で帰ろうとした。
教室を出ようと荷物をまとめていると、話しかけられた。
「おい。何で昼休み来なかったんだ」
今、自分が早く帰ろうとしている原因のうち、一人がやってきた。
「え?なにが?」
すっとぼけることにした。
「朝メモ渡しただろ。しらっばくれてんじゃねぇ」
「あー、あのメモってそうだったんだ。他人のだと思って捨てちゃった」
「お前……まあいい。今からちょっと付き合えよ。御堂さんの件で話がある」
そういうと、俺の腕を掴み強引に連れてこうとする。
どうしようか。と考えていると、御堂さんも話しかけてきた。
「あ、あの!西村君」
俺はちょうどいいと思い、
「あ、御堂さんちょうどいい所に。どうやら彼が御堂さんについて何か聞きたいんだってさ」
そう言って、腕を振り払い、御堂さんに彼を押し付けて、捕まらないうちに学校を出た。
教室を出るとき、後ろから
「ちょっと待って!」と聞こえたが、気にしないことにした。
学校を出てからは最寄りの駅の本屋で時間を潰し、家に帰った。
「ただいま……」
返事は帰ってこない。
どうやらまたどこかへ出かけているようだった。
昨日と同じく適当にご飯を食べて、シャワーを浴びて、寝る。
寝る間際に、どうして御堂さんはあんなに俺に迫ってくるのかを考えていた。
昼休み、一緒にご飯を食べた時の事を思い出す。
「誰かと一緒にご飯を食べるなんていつぶりだろうか……」
ちくりと胸が痛む。
「もう少し優しく相手してもいいかもな。」なんて思いながら寝た。
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