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ファーマ君の気ままな異世界生活  作者: 幸村
第3章 農場建設
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第22話 ファーマ君、再びグラダへ行く その1

総合ポイントが700を超え、ブックマークも200を突破しました。

自分の書いたものが200人以上の方に気に入ってもらえたと思うと思うと嬉しいですね。

ブックマーク、評価ありがとうございます。

これからも楽しんで書きますので、読者の方にも楽しんでもらえると嬉しいです。


「「「おかえりなさいませファーマ様」」」

「ファーマ様おかえりー」「ファーマ様、おかりー」


 家の玄関を開けるとエミルとレオナを先頭にしてみんなで出迎えてくれた。とは言っても家はワンルームなのでお風呂にでも入っていない限り全員玄関から見えるところにいる。


 いつの間にかコテツが僕の事を〝様〟と呼ぶようになっているのはエミル達に教育されたからなのだろうか?


「ただいま。特に変わった事はなかった?」


「はい、マルガン様がお世話してくれた護衛の方々が一緒だった為か、平和そのものでした」


 それは良かった。双頭の毒竜に襲われた事を報告しておいて良かった。僕が一緒じゃない時は心配なんだよね。因みにプロらしき怪しげな集団に襲われて撃退したと報告しただけで、闇ギルドのクランだとかアジトを壊滅させた事は話していない。


「頼んでおいた件はどう?」


「はい、依頼を出して今、面談希望者を募っているところです」


「ランカの方は?」


「うちは喜んで働かせて下さいって張り切っていますよ。あと、ミックおじさんも『集めておきますからいつでもお越しください』って言っていました」


 僕が忙しい間にエミルとランカには頼みごとをしていた。エミルにはジョブギルドに経理が出来そうな人の募集、ランカにはランカの家族のスカウトとミッキィさんへの伝言。


 農場は、表向きはギルドの実験農場という事にしているけど、日那国から持って帰った作物の種を数種とその育て方を記した用紙と引き換えに無料で借りて僕が自由に使っていい事になっている。自由に使うという事は必要な人材や費用は全て自分で賄わなければいけないという事。


 農場の護衛はエンドール家から派遣してもらう事になっているけど、それ以外の事は自分で何とかしなくてはいけないのだ。


 作業員全てを奴隷にしてしまうと僕やエミルの負担が、というか僕は年明けから学校があるからエミルの負担が大きくなりすぎて、エミルは研究を出来なくなってしまう。


 エミルには好きな事をやってもらいたいのでそれは避けたい。そういう訳で人材の確保をしてもらっているという訳だ。


 問題はアインスには農業経験者がいないという事。アインスにも王都にも農場が無いので仕方ない事なのだけれど、作るものは違っても実際に農業に従事していた人がいるのといないのでは格段に作業の効率が変わってくるだろう。



「──と、いう事で1度グラダに戻ってスカウトして来ようと思います」


「またグラダに戻るじゃと?」


「グラダまで行かなくても、もっと近い村や町から雇えば良いだろう?」


 王都から帰ってきた報告をするついでにマルガンさんとマルコさんに報告をしたら、あまり良い顔をされなかった。


「確かに近場から連れてきた方が早いんでしょうけど、出来れば知り合いと一緒にやった方が気疲れしないかな? って、思いまして。断られるかも知れないですけど、久しぶりにお世話になった人達にも会いたいし。丁度、王立学園の入学試験も受けなくても良くなって、時間に余裕が出来たので今の内に会って来ようと思います。ほら、スカイカーなら10日もあれば行って帰って来られるじゃないですか」


「ふむ、もう国内にスカイカーの事は発表したから乗るのは構わんが、お前さん達だけで行くのは心配じゃな」


「大丈夫ですよ。1度、僕達だけでここまで来られたんですから」


「そういう心配をしておるのではない。お前さんは放っておいたら、また勝手にどこに行ってしまうか分からんからな。丁度、ワシもグラダのギルドから催促が来ておるから、1度戻らねばいかんと思っておったんじゃ。ワシも一緒に乗せて行け」


 あはは、流石に学校もあるしこれから農場も始動するのに国外に行くことは無い。それに、あんな偶然そう何度も起こらないだろうしね。


「わかりました。じゃあ、2日後に出発するので一緒に行きましょう」


 話は纏まり、2日後。僕達は僕の飛行車でグラダの町に戻る事になった。


 今回、グラダに行くのは僕とエミルとレオナの3人。ランカとアリッサとコテツには留守番を頼んでいる。家にはまだ、マルガンさんがエンドール家の兵士さんを護衛に付けてくれているので僕達がいない間の心配もない。


 留守番の3人には町の外には出ないように指示を出して、居ない間は町中で好きなようにして良いと言って生活費も多めに渡してあるので、のんびり過ごしてほしい。


 運転はエミル。マルガンさんには助手席に乗ってもらい、僕とレオナは後部座席だ。1つ気になる事は僕達の他に護衛が1人も付いていない事。僕達だけなら何の問題もないのだけど、マルガンさんが一緒だから不味いんじゃないかな?


「父上、私が用意した護衛はどこにやったのです?」


 あ、やっぱり護衛の人が一緒に来る予定だったのか。


「必要ないから帰らせたわい。あれほど大きな魔法石を持った魔物が住んでいるところで、2年も生活をしておった3人が一緒なんじゃ。その辺の正騎士より余程頼りになるじゃろう」


「いや、それはドラグーンの護衛がいたからでしょう?」


「それに護衛なんぞに付いてこられたら、道中の休憩が多くなりすぎて往復に余計な時間が掛かってしまうじゃろう? 農場の準備もあるんじゃ、余計な者は連れて行く必要はない」


 ウンバは馬車ではなく1人騎乗した状態なら、時速80㎞で2時間の走行が可能らしい。だけど、その速度で走らせると、その日はそれ以上走れなくなる。スカイカーの速度(時速40~50㎞)に合わせても1日4時間が限界なのでウンバの護衛を連れて行くと長旅になってしまう。


 スカイカーなら時速50㎞で走らせれば1日約400㎞の走行が可能なので早ければ3日後にはグラダに到着だ。(まあ、替えの神結晶がなければそんなに早くは進めないけど)


護衛が一緒だと倍の時間が掛かるけど、安全面を考えるなら護衛の人には一緒に来てもらう方がいいよね?


「僕達はそんなに急いでないので護衛さんは連れて行った方がいいと思いますよ?」


「いらんと言うておるじゃろうが、このスカイカーには魔物除けの術式もついておるんじゃ危険は無かろう? 無駄に時間をかける必要はない」


「うーん、でもマルガンさんにもしもの事があると僕では責任の取りようがないので、1人くらいは連れて行ってほしいところです。後部座席は僕達が少し詰めれば1人ぐらい乗れますから連れて行きましょうよ。ほら、これくらいのスペースが空きます」


 まあ、このスペースでは女性1人が精一杯だろうけど。


「無理をせんでも構わんじゃろう? さっさと出発するんじゃ」


 うーん、どうしてここまで頑なに拒否するんだろう? 自分の安全の為なのに……


「乗れるのなら当然、乗せます。1時間ほど待っていてください」


 マルガンさんは少し不満そうだけどマルコさんはやっぱり、心配なようで急いで護衛に付ける人を呼びに行った。


 1時間後連れてこられたのは何故かメイドの格好をした若い(30前?)女性。


「なんでメイドさん? 護衛を連れに行ったんじゃないんですか?」


「おや、知らなかったのかい? メイドや執事はいざという時、主人を守る為に全員が戦闘訓練を受けているんだよ。オリビア、くれぐれも父上に危険が及ばないように注意を払ってくれ」


「畏まりました」


 オリビアさんは身長160㎝ないくらいの小柄な人で、綺麗な黒髪で顔つきのきりっとした落ち着いた感じの人だ。イメージとしてはキャリアウーマンって感じ? この人も眼鏡が似合いそう。


 オリビアさんが後部座席に僕をレオナと挟むようにして左隣に着席し、出発だ。狭くなるかもと、思っていたけどオリビアさんが細身なので余裕で座れた。まあ、ぴったりと体が密着しているのでゆとりがあるとは言えないけど。


 スカイカーに乗ってギルドから出ると、道行く人達がこちらに注目している。ギルドからの発表があったといっても実物を目にするのはみんな初めてなので驚くのも無理はないだろう。


 何人かこちらに注目しすぎて街灯にぶつかったり、躓いて転んだりしている。大きな怪我がない事を祈ろう。


 マルガンさん(有名人)が一緒なので町の出入り口の検問で止められる事もなく顔パス。正騎士さん達がこちらに敬礼してお見送りしてくれた。


「これはとても乗り心地が良いですね」


 町を出て暫くするとオリビアさんが風になびく髪をかき上げながら話しかけてきた。


「揺れないから腰もおしりも痛くならないので体にも優しいですよ」


「ふおっふおっふおっ、地面の状態に左右されんから速度も安定するしのう」


 そこはかなり良いところだ。牛車や馬車の場合、雨で地面がぬかるんでしまうと、どうしても速度が落ちるし、ポークンやウンバに負担がかかるので1日の走行距離はかなり短くなってしまう。


 スカイカーはそういう障害の影響を受けないからかなり快適な旅が出来るのだ。


「ワシも少しだけ操車しても構わんかのう?」


「止めておきましょうよ。事故でも起こしたら大変です。練習は同乗者がいない時にやりましょう」


「ファーマさんのおっしゃる通りです。マルコ様からもマルガン様ならそうおっしゃるだろうから絶対に操車はさせないようにと命令を受けております。強行するようなら力ずくで止めても構わないとお許しを得ていますので無茶を言わない事をお勧めします」


 オリビアさんが真顔で進言すると


「チッ、マルコの奴め余計な事を……ファーマだけならどうにでも言いくるめられたものを」


 と言いながらマルガンさんは引き下がった。


 なるほど、マルガンさんが護衛を拒否していた理由はこれか。マルコさんグッジョブ。



 その後の旅は順調で、特に何事もなく初日は350㎞ほど進んでトーチュの町に1泊する事になった。


「ワシらはここの主に顔を見せてそのまま適当な宿に泊まるから、お前さんらは適当に観光して早めに休むと良い。宿にはこの書状を見せれば断られる事はないから持っていけ」


「ありがとうございます」


 マルガンさんを町長さんのお屋敷の前で下して僕達は別行動だ。マルガンさんの泊まる宿は貴族専用の高級宿なのでレオナは絶対に入れない。という訳で僕達はマルガンさん達とは別の宿に宿泊するのだ。


 今回はマルガンさん直筆のエンドール家の家紋が入った書状を貰ったので、平民用の宿ならどの宿に行ってもこれを見せれば断られる事はないそうだ。


 観光しろと言われたんだけど、トーチュの町にこれといって名物らしきものはない。この町は人口4500人ほどの小さな町。農業が盛んで王都やアインスにも食料を卸しているそうだ。


 タンハの町と違って近くにダンジョンもないし、お金になる魔物も少ないので冒険者も殆どいない。まあ、冒険者ギルドがあるので全くいない訳ではないので安心は出来ないけど、絡まれる事はほぼないだろう。


「さて、どうしようか? これといって名物らしきものはないから観光といってもあまり見るところもなさそうだし、宿でゆっくりする?」


「でしたら、農場を見学させてもらうというのはどうでしょうか? この町は農業が盛んだとマルガン様がおっしゃっていましたので、これからの農場経営の参考になるかも知れませんよ?」


「それいいね。じゃあ、早速見に行ってみようか」


「はい」「うん」


 エミルの発案で農場の方に行ってみる事にした。やっぱりエミルは頼りになるな。いつもいい助言をしてくれる。



 農場に到着して直ぐに農場長に見学の交渉をした。


「見てぇってんなら見るくらいは構わねぇが、面白いものでもねぇぞ? 嬢ちゃん」


「いえ、後学の為に見ておきたいので、よろしくお願いします。あ、これ見学させてもらうお礼です。少ないですけど、仕事終わりに何かに使ってください」


 もう、面倒なので『嬢ちゃん』は否定しなくて良いだろう。仕事の邪魔をしてしまうので見学料として銀貨3枚を小袋に入れて渡すと


「おおっ! 銀貨とは太っ腹だな嬢ちゃん。晩飯に1杯やらせてもらうぜ。金も貰った事だし、何でも質問には答えてやるぞ。遠慮なく聞いてくれ」


 農場の場長さんはご機嫌で僕達の質問に答えてくれた。


「またいつでも見に来な」


 銀貨を渡したのが良かったのか、帰りに採れたて野菜を手渡された。良い勉強になったし、新鮮な野菜も手に入ったし見に来て良かった。


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