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ファーマ君の気ままな異世界生活  作者: 幸村
第3章 農場建設
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第13話 ファーマ君、マルガンさんと再会する

総合ポイントがついに600を超えました。

ブックマークも、もう直ぐ200件に到達しそうです。

ブックマーク、評価ありがとうございます。

「この馬鹿者がー! 勝手に国外に出るんじゃないわ!」


 ギルドの応接室に入るなり、僕の顔を見たマルガンさんからお叱りを受けた。


「まあ、まあ、そんなに興奮しないでください。高血圧で倒れますよ?」


 僕は苦笑いしながらマルガンさんを宥める。ふと、見るとマルガンさんの直ぐ後ろにはグラダの奴隷商でマルガンさんが契約したエミルの故郷の元王女、エルミナさんが立っている。


 マルガンさんに僕がお説教を受けている間にエミルはエルミナさんのところに歩み寄り、臣下の礼をして、エルミナさんは「今の私はそういう立場の人間ではないのだから」とエミルを立たせ両手で握手を交わして会話を弾ませていた。


「こりゃ! 聞いとるのか? 小僧」


「はい、聞いてます。本当に心配かけてすいませんでした」


 だいぶ心配してくれていたのが伝わってくるので、こういうお叱りはなんだか嬉しい。心配して叱られるなんて経験、今までになかったもんね。


「そうだ。浮遊島から持って帰ったお土産があるんです。心配をおかけしたお詫びになるかは分からないですけど、ここで出しても良いですか?」


「まったく、小言が聞きたくないからといって逃げおって」


 いや、小言が聞きたくないからという訳ではないんだけどね。


「まあ良い、出してみい」


「はい、まずはですね。ドラゴンの鱗と皮と爪と牙それと角です」


「ドラゴンだって!? 本物なのかい?」


 収納魔法道具(ブレスレット)からドラゴンの素材を取り出し、床に置くとマルコさんが驚いて立ち上がり素材のところに駆け寄って手に取る。


「デザリアでいうところのドラゴンとは違うかも知れませんが、日那国では地竜と呼ばれていた魔物です。あ、日那国っていうのは浮遊島にあるドラグーンの国の事です」


「チリュウという名は聞いた事がないが、ひょっとして頭部に長い3本の角のある巨大な魔物かい?」


「はい、そんな魔物です」


 素材を見てマルコさんが地殻竜の特徴を言い当てる。地上にも同じ竜がいるようだ。


「ちょっとそこの君、直ぐに鑑定士を呼んできてくれ。念の為、これが本当にガイホーンなのか確認しておきたい」


 あ、ガイホーンなら通じるのか。ひょっとして神眼って滞在した国での通称が頭に浮かび上がるんだろうか? そういえば日那国に行く前は日那国後での名前は思い浮かばなかったような? ……あれ? でも神眼鑑定では地竜じゃなくて地殻竜って脳裏に思い浮かぶからそれも違うのか? うーむ、神眼は謎が多いな。


 1つ目のお土産から応接室は大騒ぎだ。半頭分ほど出したところで床に置くのが厳しくなってきたのでとりあえずこれで止めておく。


 騒ぎの中、エルミナさんがこっそりと床に置いた地殻竜の素材に近寄り、鱗を1枚服にしまおうと……したところでマルガンさんに後ろからチョップをされて取り上げられた。


「い、痛いのですぞ……」


 ……ですぞ?


「勝手に持って行こうとするんじゃない」


「1枚、1枚だけで良いからほしいのですぞ」


 やっぱり聞き間違いではなかったようだ。前に会った時はあんな話し方ではなかったような?


 エミルも目を丸くしているのでどうやら僕の記憶違いではなさそうだ。まあ、気にしないでおこう。


「それと魔法石も大きいのがあるのでどうぞ」


 天雷竜、地殻竜、水氷竜の神結晶を1つずつと僕達が日那国近辺で狩った魔物の神結晶の内、炎結晶、水結晶、地結晶、天結晶を3つずつ、邪結晶、聖結晶、それと無属性の神結晶を2つずつテーブルに乗せる。どれも神力容量200~300のこの国では希少な物だ。因みに竜の神結晶は天雷竜が約1000、地殻竜が約800、水氷竜が約1100の神力容量がある。


「ほう、これはまた、大物が出てきたのう。これ1つで100万は下らんぞ?」


 マルガンさんがドラゴンの神結晶を手にして口元を緩ませている。それを聞いたマルコさんがドラゴンの素材からこちらに目を移し、口を開けて呆けている。


 竜の神結晶はあと数個ずつ持っている。特に地殻竜と水氷竜の神結晶は邪黒竜事件の時に結構手に入ったので数にゆとりはある。とは言っても希少品なので多くはあげられない。


「な、なんですか? この巨大な魔法石は……どうやってこんなものを?」


 巨大とは言っても成人男性の拳3つ分くらいの大きさなので巨大でもない気がする。まあ、マッドドッグの神結晶が小指の先くらいの大きさだったのでそれに比べれば巨大だろう。


「浮遊島にドラゴンの生息地があるんですけどね。日那国の人に連れて行ってもらった時に、丁度ドラゴン同士の喧嘩がありまして、運よく沢山拾えたんです。あ、こっちの小さい魔法石は僕達3人で狩った魔物の分ですけどね」


「いや、これも充分大きいよ? どうやって倒したの? こんな魔法石を持っているって事はかなりの大物だっただろう?」


 まあ、大物といえば大物だよね。以前の大ガエルほどじゃないけどそれなりに高ステータスの魔物だし。


「ドラグーンの人が護衛に付いていましたし、優秀な仲間が一緒だったので安全に狩ることが出来ました」


「……ドラグーンは伝承の通り異常な強さなんだね。これほどの魔法石を持つ大物を倒せるのは国内でも一握りしかいないよ? ドラゴンなんて100人規模の小隊で相手するほどなのに。本当に凄い場所に行っていたんだね」


「じゃな、よく死なずに戻ってこれたものじゃ。幸運に感謝するんじゃぞ?」


 まあ、運が良かったのは認めるけど、それほど危ない場所でもなかったんだよね。竜人族は戦闘狂といっていいほど戦い大好きな種族だったけど、敵対しなければ基本的に良い人ばかりだし、腹黒い人もいないし、弱者を虐げるような事もしない。危険度でいえばデザリアの方がよっぽど危険だ。


 みんなの意識が神結晶に向いている隙にエルミナさんがこっそり地殻竜の鱗を服の中に……マルガンさんにはバレていたようで服の中に手を突っ込まれ取り上げられている。


 それはもうスムーズに会話をしながら何事もなかったかのように。あれは日常的な行動なのだろうか?


 取り上げられてこの世の終わりみたいな悲しそうな顔をしていたので、後で僕から1枚進呈しておいた。


「それから次は」


「まだあるのかい? 最初にこれらを出したという事はもっと凄い物が出てくるんだよね? 今でも驚きすぎて頭がおかしくなりそうなのに、これ以上出てきたらパニックになりそうだよ。少し休ませてもらえないかい?」


 まだ次で3つ目なんだけどな。出す順番は考えていなかったけど確かにこれより凄い物はある。神術書とか術式書とか、飛行車とか。まあ、パニックになられても困るから休憩がてら僕のお願いも聞いてもらおう。


「じゃあ、一休みして僕のお願いを聞いてもらっても良いですか?」


「願いとな? 大きな土産も貰った事じゃ、多少の無理は聞いてやらんでもない」


 おおっ、それはありがたい。


「じゃあ、お言葉に甘えて。農地が欲しいので売ってもらえませんか?」


「ふむ、農地が欲しいじゃと? 貸してやらんことは無いが売るのは無理じゃのう。デザリアでは貴族以外が土地を所有する事は出来んからのう。お前さんが貴族にでもなろうというのであれば、これからの貢献次第で推薦してやらん事もないが、貴族にはなりたくないのじゃろう?」


 えっ? そうなの? って事は、リリとミミの家は借地の上に建っているという事か。まあ、貸してもらえるんなら買わなくても良いか。貴族なんて面倒そうな立場にはなりたくないし。


「じゃあ、貸してもらえますか? 借地料はどのくらいになりますか?」


「規模や場所にもよるから一概にどの程度とは言えんのう」


 まあ、そうだよね。


「規模はカナイ村くらいの規模があれば嬉しいです」


 デザリアで食べるお米を確保するには広い土地が必要だ。お米以外にも日那国から持って帰った種や苗が沢山あるので全部育てたい。村規模の土地があれば足りないって事はないだろう。まあ、上手く育てられるかは、やってみないと分からないけど。


「村規模とはまた大きくでたのう。多少、仲間の人数は増えたようじゃが、5人で扱える規模ではないじゃろう? いったい何を作ろうというんじゃ?」


「はい、日那国から持って帰ったお米という穀物と他に色々作りたい作物があるんです。人員は一般奴隷を雇おうと思っています。マルガンさんにも食べてもらおうと思って持って来たんですけど食べてもらえますか」


 僕が家で作ってきたおにぎりとお肉とキノコの味噌汁をテーブルに置くと


「これは帝国のライッシィではないか? いや、帝国の物より粒が大きいのう」


 マルガンさんはおにぎりを手に取り眺めながらそう言って、おにぎりを口にする。


 えっ? お米って知ってたの? 


「お米を知っているんですか?」


「ふむ、これとは粒の大きさも味も多少異なるが、帝国から輸入している作物の中に似たような物がある。味はこのオコメの方が上等じゃのう」


 今回持ってきたのは白丸米のオニギリだ。日那国で1番美味しいお米だけあって味はマルガンさんが知っている物より上等らしい。


 帝国というのは、この大陸では僕が生まれたナティシ帝国の事を指している。まさかそんな身近にあったとは思わなかった。まあ、知っていたからといっても帝国に行きたいとは思わないけどね。あそこには顔を見たらぶっ飛ばしてしまいそうな人がいるし……


「うん、旨いね。これを作るというなら我がギルドが全面的に協力してあげるよ」


「あの、協力してもらえるのはありがたいのですけど、最初は自分達で気ままに作りたいので自由にやらせてもらっても良いですか? あ、種籾は沢山あるので、もし、ギルドが別で作るのならお分けします。作り方も日那国で習った事を纏めて本のようにしてあるので、その複製をお渡しします」


「ふむ、渡してくれるのなら有難く受け取っておくが、こういう時は自分が儲けられるように交渉するのが商人じゃぞ? お前さんもエンドール家に仕える者なのじゃから、簡単に財を人に渡すような真似をしてはいかん」


 有難い教えは嬉しいのだけど、僕は商人ではない。ギルドでも作ってくれるなら僕が失敗してもデザリアでお米が食べられる可能性が高くなるので僕にとっては利益になる話だ。


「知らないと思うけど、帝国ではライッシィの製法は国家機密になっていてね。種にできる段階のものを輸入する事も出来ないんだよ。値段もかなり高いし輸入できる量も限られているから、王族や上級貴族といった限られた者にしか口にする事は出来ない。国内で生産が出来るようになるならこれほど儲けられる作物はないだろうね」


 へー、それで目にする事が無かったのか。でも、量産されるようになったら麦と変わらないくらいに値段も落ち着くだろうし、お金は今のところ困らないくらい持っているし儲けはどうでも良いかな。


「それで、話は戻るんですが、出来ればアインスから遠くない場所で土地を借りたいんですけど、借りられる場所はありますか?」


「この辺りなら1か所ギルドが保有している廃村が余っている。ただ、ちょっと訳ありの土地でね、30年近く前に疫病で全滅した村なんだよ。ここが気持ち悪くて嫌ならアインスの近くは難しいかな」


 疫病で全滅したというのは別に気にならない。万が一、菌が残っていたとしてもうちには僕を含めて聖属性の神術が使える人が3人も居るから浄化してしまえば良いだけの話だ。


「30年も前の事なら気にしないので、その廃村を貸してください。借地料はどれくらいになりますか?」


「それは払わなくても良いよ。オコメの種を譲ってもらう代わりに無料で貸してあげよう」


「ふむ、そうじゃな。それだけでもギルドにはかなりの利益が出るからのう。いっその事、商業ギルドの実験農場という事にしてお前さんの自由に使えばよい。大きな土地をお前さん個人が開拓し始めたら勘繰る者もでてくるからのう。ギルドの実験農場という事なら手を出すバカも出てこんじゃろう。そうじゃな、表向きの責任者はこのエルミナにやらせてはどうかのう?」


「えっ? 拙が責任者なのですか?」


 拙? なんかちょいちょいエルミナさんの口調が変になるんだけど? さっきまで私って言ってたよね? こっちが地なのか?


「ギルドの庇護下で自由にやらせてくれるなら、僕としてはありがたい事ですけど、本当にそこまでしてもらっても良いんですか?」


「うむ、問題はない。それでお前さんが実績を作って農法を確立でもしてくれれば研究費を殆どかけずに新しい作物を広めることが出来る。エルミナも今は奴隷ではなくエンドール家に仕える魔法道具の技師なのじゃが、ワシの下に置いておいても面倒ばかり起こすから、いっその事適当な場所で自由にやらせておいた方が楽でええわい」


 ……それは問題児を僕に押し付けようとしていると考えていいですよね? まあ、都合のいい話なんて裏があるものだろう。悪い人ではなさそうだから、僕としてはそれほど反対する理由がないんだけど……


「エミル、エミルはエルミナさんが一緒でも大丈夫? もし、気を使って疲れるっていうなら、この話はお断りするけど?」


「はい、問題はありません。私の主はファーマ様です。先ほどエルミナ様──いえ、エルミナさんと少しお話をさせてもらいましたが同郷であり同じ研究者という事で話も合いそうですし仲良くできそうです」


 それなら良かった。


「エルミナさんはどうですか?」


「拙が表向きの責任者という事は、実際には何の権限もなく何か面倒事が起こった時には矢面に立てという事なのですか?」


 えっ? ああ、そうか。そうなるよね。そこまでは考えていなかった。


「エルミナに拒否権はないのう。お前さんにはワシへの借金が300万デニールあるんじゃ。しっかり役に立ってもらわんとのう。ふおっふおっふおっ」


 ……そんなに借金があるの? それは恐ろしい。


「心配せんでもええ、お前さんには専属の護衛兼秘書を付けてやる。面倒事の処理はそ奴に任せてお前さんは研究に精を出してくれれば問題はない」


「そういう事ならお受けするのですぞ」


 そんなに簡単に受けても良いのだろうか? まあ、拒否権は無いらしいから裏なんて考えない方が幸せだよね。


「今から廃村を見に行くかい? 立地や広さを把握しておく方が計画も立てやすいだろう?」


「はい、お願いします」


「じゃあ、君が先日話していた乗り物に乗っていこうか? ずっと気になっていたんだよ」


 なるほど、急に見に行くというからちょっと不思議だったけど、それが目的だったのか。


「あれに乗るのは構いませんけど、たぶん町中大騒ぎになりますよ? まず、マルガンさんとマルコさんだけに見せて、乗っていっても大丈夫ならあれで行きましょう」


「ふおっふおっ、それは楽しみじゃな」


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