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ファーマ君の気ままな異世界生活  作者: 幸村
第3章 農場建設
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第3話 ファーマ君、リフォームする

今回は少し短め。

 結局、改装の許可が下りたのは1軒目に見た家だけだった。自費で改装してくれるなら大歓迎らしい。なんなら買わないかという話も出たのだけど、ずっとアインスに住む予定ではないので借りる事にした。家賃は月に300デニール。アインス最安値なんだそうだ。


 契約を済ませ、ギルドで修繕の為の材料を沢山購入し、家に向かった。


 とりあえず、壁を何とかしないといつ崩れるか分からない。【透視】を使い家全体の状況を把握。思っていたより酷かったので大変そうだ。


 家に入り作業を見られないように木窓を閉めたまま作業開始。ギルドで購入したこの国の一般的な家の補修に使われている壁材、セメントみたいな粉を取り出し桶に入れ、軽く水で溶いてから壁に塗り、錬成を使って元の壁と融合させていく。本来は罅に塗り込んで補修する素材なんだけど練成で融合させた方が丈夫になるのでこの方法にした。


 塗るのはエミルとレオナで僕が後から追うように錬成で補修。天井だけは2人では塗れないので、僕が飛行神術を使いながら塗り込んで固める。


 複数の神術を同時に発動させるのは難しい。特に属性の違う神術の同時発動はかなり精密な神力の制御が必要になる。飛行神術は天と地の属性の神術を発動させて空中を移動する神術なので、まだ練度が足りず歩くより移動が遅い。今回は練成まで一緒に使っているのでほぼ浮いているだけ、飛行神術というよりは殆ど浮遊神術だ。


 凡そ1時間で壁の補修は完了。外からの見た目は補修前と変わらないけど、錬成で固めてあるので近隣の家より丈夫になっているだろう。


 次に間取りを作り直す。左の部屋とLDKの壁を壊して繋げて1部屋にして、右の部屋は浴室と繋げることにした。壁を取っ払っても家が壊れないよう計算して補強しているので家が崩れる心配はない。


 先ずはLDK。左の部屋の壁を壊して繋げたら床に角材を敷いて板を貼り10㎝ほど上げ、靴を脱いで上がるタイプに変更。直接座ると痛いので全面にカーペットを敷く。


 キッチンは水道を2股にして片方からお湯が出るように蛇口を魔法道具に改造し、調理台は壊れかけていたので一度完全に壊して床に合わせた高さに作り直す、表面に石材から錬成して作り出したタイルモドキを張り付けてツルツルにした。真っ黒だったキッチン台は真っ白な綺麗なものに変わる。


 キッチンの横には、ずっと愛用している冷蔵庫を設置した(縦置き出来るように改造した)。釜は潰してコンロを設置。ダイニングの方にはテーブルとイスと食器棚を設置、リビングの方には本棚を作った。本は今度買いに行こう。


 次はお風呂を改装。壁を壊し右の部屋と繋げ7畳ほどの広さにしたらリビングからのドアと前にあった浴槽を潰して部屋全体を防水加工する。部屋の半分の広さの浴槽を日那国でも浴槽に使っていた、シラヒの木の木材を使って作り、排水は元々あったところに繋げ、水道を伸ばしこちらもお湯が出るように改良。


 3人でも入れる広さになった。


 まあ、一緒に入る必要はないのだけど、リリ達の家でそういう習慣がついてから、みんなで入らないとちょっと寂しいんだよね。


 脱衣所も壁を塗り直しタオルや洗剤などを収納できる小棚を設置した。隣接されているトイレも広さは同じだけど清潔なトイレに作り直した。


 明かりは壁にランタン型の明かり魔法道具を設置。これなら僕達が出て行った後も、そこにランタンが置けるので困らないだろう。


 庭には2m程の高さの柵を設置して、物干し台を置く。流石にこれを乗り越えて侵入されることはないだろう。因みに、庭へは新しく作った勝手口を通ってじゃないといけないように柵を建てている。(勝手口のドアは脱衣所にある)


 庭から入れる地下の収納庫は今の所使う予定はないので壁の補修だけしておいた。


 半日かけてなんとか改装は終了。食事が終わってお風呂に入ったら、深夜になっていたので川の字に布団を並べて寝た。因みに布団は日那国で使わせてもらっていた綿(正確には違うけど)の布団を、そのまま貰ったのでそれを使っている。



 ━━翌朝。


「おはようございます。商業ギルドのエーブルです」


「おはようございます」


 僕達が遅めの朝食を取っていると、エーブルさんが訪ねて来てくれたので、玄関を開けて出迎える。


「庭に柵を取り付けたんですね。室内の改装の方は進んでいま……ふぁっ!?」


 家の中を見たエーブルさんが目を丸くして固まった。


「家の改装は昨日の内に終わりましたよ。あとは住んでみて不便そうなら少しずつ改装しようと思っています。って、聞いてますか?」


「いや、いや、いや。なんですかコレ? 外の柵だけでも取り付けには普通は半日ほど掛かるというのに、内装まで終わらせた? っていうか、内装はもう別の家じゃないですか?」


 驚くのも無理はない。この変貌ぶりを見て驚かないのは僕達3人と日那国の人、それと僕の練成の腕を知っているマルガンさんぐらいだろう。まあ、マルガンさんはこれを見たら呆れるだろうけど。


「まあ、とりあえず中へどうぞ。丁度、食事をしている所なので一緒にどうですか?」


 まあ、説明しなくても玄関を開けると奥まで見渡せる作りになっているから、食事しているのは見えているだろうけど。


「なんであそこにダイニングが?」


「壁で仕切っていると狭いので壁を壊して向こうに移動させました」


「あれ? あそこには部屋に繋がるドアがありましたよね? 部屋は潰しちゃったんですか?」


「いえ、あそこはお風呂と繋げて全体をお風呂にしました。脱衣所の方から入れるようになっていますよ」


「え゛っ?」


 エーブルさんが早足で脱衣所の奥に入っていった。


「えええぇぇぇぇぇーーーーーー!!?」


 朝からにぎやかな人だ。近所の人が驚くじゃないか。


「なんですか? この広いお風呂? どこの富豪ですか?」


「そんな大げさな。3人で入ると結構狭いですよ?」


 壊れたロボットの様にギギギッと首を回し微妙な笑顔を向けるエーブルさん。


「アホなんですか? 頭おかしいんですか? 大丈夫ですか? どこの世界に3人では入れるようなお風呂がある賃貸物件があるんですか? しかも、浴槽が木造ってあり得ませんよ? 普通お風呂は金属製か防水煉瓦造りですよ?」


 混乱しているわりに結構鋭いツッコミが出来るんだな。芸人さんにでもなればウケるんじゃないだろうか?


「お風呂は、ここに来る前まで滞在していた日那国っていう国のお風呂を模倣して作りました。木の香りがしてとても落ち着きますよ。良かったら入っていきます? お湯も出るようにしたから30分ほどで入れますよ」


 少し浴槽が大きいのでここの水道の給水量ではお湯を溜めるのに時間が掛かる。これは町に通っている水道なので流石に給水量まで増やす事はできなかった。


「はぁ……では、遠慮なく……ではなくて、1日で出来る改装じゃないですよ? どこからそんな沢山の職人さん連れて来たんですか?」


 ノリツッコミとはまた高等なテクニックを使ってきたな。流石は芸人さん。


「作業をしたのは僕達3人だけですよ。まあ、待っている間に食事でもどうぞ。結構沢山作ったのでおかわりも出来ますから遠慮なくいってください」


「ありがとうございます。頂きます」


 ツッコミ疲れたのか、エーブルさんは大人しく食事を摂り始めた。エミルとレオナはこのやり取りの間に食事を済ませて、お風呂の準備をしている。


 ━━それから2時間。


 食事とお風呂を済ませたエーブルさんにお茶と日那国産の粒餡団子を振舞い、みんなでティータイムを楽しむ。エミルとレオナも粒餡団子はお気に入りなので嬉しそうだ。


「ふうっ、あなた方が異常だという事はよく解りました。あのマルガン様がエンドール家に迎え入れるだけの事はあるという訳ですね」


 やっと、冷静さを取り戻したようだ。心が乱れている時はゆっくりお風呂で寛ぐのが1番だね。


「言っておきますが、あなたが取り乱すほど優れているのはファーマ様だけですよ? 私やレオナは凡人ですから一緒にされるのはファーマ様に失礼です」


 いや、いや。エミルとレオナが凡人なら世の中の人の殆どが凡人以下になってしまう。2人とも充分に天才の域だよ?


「そうだよねー。ファーマ様ってなんでも出来るし強いしレオナじゃ全然勝てないよ」


 いや、なんでもは出来ない。だいだい、僕の技能は殆ど誰かに与えられたもので、自分で身に付けたものなんてそれほど多くない。エミルやレオナの方が優れていると僕は思う。



 エーブルさんは団子を食べ終わると、静かにギルドに戻って行った。


 あの人は、いったい此処へ何をしに来たんだろう?


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