表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファーマ君の気ままな異世界生活  作者: 幸村
第2章 浮遊島
42/114

第19話 ファーマ君、鍛冶師に弟子入りする

ついにブックマークが100件になりました。夢の様です。

PVも1日に1000を超える事も多くなり制作意欲が湧いてきます。

これからも頑張って楽しく書きたいと思いますので、皆さんも楽しんで読んでくれると嬉しいです。

 日那国に来てから今日で5日。今日まで街を見て回ってこの国の文化をそれなりに把握した。やはりデザリア国に比べると文明が少し古い。


 特に生活道具がもう少し便利になるともっと豊かな暮らしが出来るだろう。日那国ではこれまで魔法道具や術式神術を使用してこなかった為、神結晶(魔法石)を無駄にしている。


『━━と、いう感じで神結晶という石はラグナムート様から頂いたこの本に書かれている術式と組み合わせる事で日那国の皆さんが使っている仙術と同じ効果を発揮出来るんです。それと、この茶色の神結晶、地結晶の小さいものは粉末にして田畑に散布しておくと暫くの間作物の成長を助けてくれるので収穫量が多くなります』


 と、まあ、偉そうに説明している訳だけど、僕もそれほど魔法道具について詳しい訳ではない。グラダで買った本とエミルやラグナムート様達から教わった知識をそのまま話しているだけなので少し後ろめたい。


『これは……それほど価値のある物とは知らず子供のおもちゃにしていたでござるよ』


『拙者は投擲の練習に使っていたでござる』


『拙者の家では妻が趣味で集めて眺めているでござるよ』


 謁見の広間に集まった日那国の重鎮さん達は僕の話を聞いて頭を抱えている。知らないのだから無駄に使ってしまうのは仕方のない事だろう。捨てられていないだけマシである。


 因みに、下手に神力を注いだりすると石の属性に合わせた神術効果が現れる事もあるので玩具にするのは危険だ。


『術式を神鉱に刻んで神力、日那国で言うところの丹力を流してやると神結晶が無くても仙術の効果は発揮出来ます。神結晶の利点は定期的に丹力を補填していれば、人がいなくても道具の能力が発揮し続けられるのと、属性を合わせれば使うと仙術の効果が高まる事です』


『ファーマ殿が先程見せてくれた冷蔵庫という道具のように、でござるな』


『はい、それと使用適性がない仙術もこの術式や神結晶があれば使えるようになります』


『拙者にも妃美華の様な治療仙術を使う事が可能という事でござるか?』


『可能です。ですが僕もまだラグナムート様に貰った本の全てを理解している訳ではないのでまだ大きな効果を発揮出来る物は作れません』


 あの人(神だけど)達くらいの読むスピードと記憶力、理解力があれば1日も掛からず覚えられるのだろうけど、今の僕には難しい。日中は日那国を見て回っていたので、まだ1冊読み終えたばかりだ。術式文字の構成を解くのにも時間は必要だしいくら時間があっても足らないな。


『ふむ、それならば拙者達も解読に協力するでござるよ』


『そう言ってもらえるのは有難いのですがこの本の全てが神語という神様の言語で書かれているので、先ず神語を解読するのに時間が掛かりますよ?』


 そう、貰った本は説明文が神語で書かれている。先ずは神語が読めるようにならないと、どれが神語でどれが術式文字かが分からないので解読が進まないのだけど、神語は普通の人には解読できないように出来ているので翻訳は僕以外には無理だろう。


『こ、これは……何が書いてあるかさっぱりでござるな』


『じ、時間を掛ければ解読出来るかも知れないでござるが……』


『ファーマ殿ご教授くだされ』


『まずは僕が日那国語を覚えて、書けるようになったら本を翻訳して複製しますね』


『解読はさて置き、まずは石の回収でござるな。個人の持ち物は事情を説明して、それなりの金子(きんす)を支払って譲ってもらうでござる。手放したくない者に無理強いをしてはいかんでござるよ。狩りをしていれば自ずと集まるでござるからな』


『承知いたしました』


 重鎮の皆さんは速足で部屋を出て行き僕と新右衛門さんだけが部屋に残った。


『拙者達は鍛冶場に行くでござる』


『はい』


 僕達は魔法道具の試作品作りの為に城の鍛冶場に向かう事にし、着替えの為一旦部屋に戻る。



 間借りしている部屋に戻ると、エミルとレオナは先日覚えた囲碁を打っていた。まだ初心者なので9路盤でコツコツお勉強中なのだけど、話しながら楽しめるので寝る前には必ず一緒にやる事にしている。レオナはまだ子供だからか覚えるのに苦労しているみたいだけど、この年からやっているんだからかなり上手くなるだろうな。


「会議は終わったのですか?」


 僕が部屋に入るとエミルは手を止め、声を掛けて来た。


「うん、これから鍛冶屋に行って魔法道具の試作品を作るんだ」


「レオナも、行くです」


「私も御同行しても宜しいですか?」


「勿論だよ」


 エミルもレオナも僕が出掛ける時は必ず一緒に出掛けたがる。やっぱり言葉が通じないところで3人一緒に居られないのは不安なんだろうか?


 新右衛門さんに2人も同行する事を伝えると快く了承してもらえ、2人は急いで碁盤と碁石を片付け服を着替える。


 僕達は出かける時は和服を着るようにしている。レオナは浴衣が動き辛そうなので着物に袴の組み合わせで教科書に載っていた明治時代くらいの女学生のような格好だ。下駄も歩き難いと思うのだけど、そっちは嫌がらない、というか下駄は好き(楽しい)らしい。



 鍛冶場は城の敷地内の街との境にあり、この国1番の鍛冶師さんがいる。その人は城の専属鍛冶師さんなのだとか。


 本丸を出て十数分で鍛冶場に到着した。鍛冶場は広い石壁作りの家で、中は金屑と煤で汚れている。いくつかの作業場に分かれていて工程ごとに作業場を変えて作業をする様式になっているようだ。僕が鍛冶場をキョロキョロ見ていると、エミルとレオナも同じ様に鍛冶場を見回していた。


『五平太殿、こちらは先日から文化交流で我が国に招いたファーマ殿、エミル殿、レオナ殿でござる。新しい道具作りを教わる代わりに五平太殿の加工技術を教えてほしいでござるよ』


『ファーマです。連れ共々、今日から宜しくお願いします』


 エミルとレオナは鍛冶を覚える訳ではないのだけど、連れて来たのだからちゃんと紹介はしないとね。


『断る! ガキに鍛冶なんてやらせられるか!』


 いきなり怒鳴られた。どうやら子供が遊び半分で覚えようとしていると思われたようだ。それにしても、この人は語尾にござるって付けないんだな。この国の男性はみんなござるって付けるのかと思ってた。一人称も拙者ではなく俺だし。


 後日に聞いたところ〝拙者〟や〝ござる〟を使う人は新右衛門さんより若い人や近しい人達だけらしい。昔から居るドラグナは五平太さんの様にぶっきら棒な話し方で一人称が〝俺〟や〝ワシ〟という人が殆どなんだとか。


『五平太殿、ファーマ殿は唯の子供ではないでござるよ。子供だからと言って無下に扱ってもらっては困るでござるよ』


『馬鹿野郎! ガキが火なんか使って火傷でもしたらどうすんだ! 万が一、顔にでも火傷が残ったら嫁の貰い手も無くなんだぞ!?』


 あっ、この人はとても良い人だ。なるほど、遊び半分で来たと思われたのではなく心配してくれていたんだな。こう言われては新右衛門さんも困ってしまった様だ。


『あの? 勘違いされているようですけど、僕は男ですよ? 火傷の心配をしてくれるのは嬉しいですけど、どうしても鍛冶を覚えたいので教えてください』


 深く頭を下げて頼みこんでみると、五平太さんは少し困った顔をする。怖い顔をしているけど、子供には甘いタイプのようだ。


 それにしても、日那国でもやっぱり間違われるのか。まあ、新右衛門さん達もラグナムート様から少年だと聞かされていなかったら、僕の事を女の子だと間違えただろうと言っていたので仕方ないか……大人になったらきっと間違われなくなるはず、それまでの我慢だ。


『……少しだけだぞ。危ねぇと思ったら直ぐに止めさせるからな』


 意外にあっさりOKが貰えた。やはり、子供には甘いタイプのようだ。


『上手く話が纏まったでござるな。頼むでござるよ、五平太殿。今日は、それとは別にファーマ殿から新しい道具の作り方を教わる事になっているでござる。先に、ファーマ殿の魔法道具作りを見せてもらっても良いでござるか?』


『ん? なんでい? そのマホウドウグってのは?』


 五平太さんにも広間で話したのと同じ説明をして、新右衛門さんの希望通り先に魔法道具作りを教える事になった。


『これが魔法道具作成に使う神鉱という金属です。今回は神鉄鉱という鉄に神力が浸み込み変化した鋼材を使いたいと思います。こういう青みがかった鉄を見た事ありますか?』


 余談ではあるが、魔法や仙術の事を神術、魔力や丹力の事を神力と呼んでいるのに何故【魔法道具】はそのままの呼び方なのか。それは他の呼び方が無いから。宝具と呼べば良いのかも知れないけど、宝具と呼ぶには性能が低すぎる。神術道具と呼ぶのもしっくり来ない。なら【魔法道具】は魔法道具のままで良いじゃないかという結論に至ったのだ。因みに魔鉱は鑑定で【神鉱】と脳裏に出てくるので今は神鉱と呼んでいる。


 閑話休題。


 金属は神鉱になると少し色が変化する。変化は元になる金属によって異なり、鉄なら青、銅なら黒、銀なら緑、金なら赤が少し混ざったような色になる。慣れない内は並べてみないと分からないくらいの微妙な色の違いなのだけど、物質としては全く別物と言っていいくらい質が違う。銅は汚れて黒ずんだりするものだから銅と魔銅の見分けはかなり難しい。神眼持ちの僕には簡単に見分けがつくんだけどね。


『ふん、神鉄鉱か……ん? そういやこいつに似た感じの鉄があったな? おい! ちょっと変わった鉄があっただろう? あれ持って来い』


『ああ、たまに鋼材に混ざっている青っぽい鉄でござるか?』


『おう、あれだ』


『これが、おめぇの言う神鉄鉱って奴で合ってるか?』


 お弟子さんらしき人が持ってきたのは神鉄で間違いない。浮遊島でも採掘出来るようだ。


『はい、間違いなく神鉄鉱です。これを板状に伸ばして術式文字をこう繋げながら刻めば術式の完成です。これに外装を付ければ魔法道具の完成です』


 丁度良いので手渡された神鉄を使って魔法道具を作ってみせる事にした。


 今回作ったのは着火装置(全て鉄と神鉄で出来ているので火傷に注意)、前世にあったチャッ〇マンという道具を模して作った。薪に火を着けるのに役立つだろう。神力の供給口に指(素肌なら指でなくても可)で触れると、勝手に神力を吸収して火がつくようになっている。安全性を考えるなら供給式にした方が良いのだけど、それだと神力操作が出来ない人は使う事が出来ない為、誰にでも使えるようにするために自動吸入式にした。


『ファーマ殿、今のはどうやったのでござるか?』


 予想通り新右衛門さんや五平太さん、鍛冶屋の人達は錬成魔法に驚いている。新右衛門さんにはテルホイで話をした時、1度みせているんだけど、原理を知りたいのだろう。


『今のは錬成という神術で、自分の神力をモノに馴染ませて形状を変化させたり物質を繋ぎ合わせたりする術なんです。これは術の使用適性があれば訓練次第で出来るようになりますから、手作業と合わせるとかなり使い勝手が良いと思いますよ。特に術式を刻み込むような細かい作業は錬成でする方が正確に出来ると思います』


『こいつぁ驚いた(おでれーた)な。火も槌も使わずに金属加工する奴なんてなぁ初めて見たぜ。こんな事が出来んなら危険な鍛冶なんざ覚える必要はねぇだろう?』


 鍛冶を覚える必要はある。僕の錬成では形は作れても金属を鍛えるなんて事は出来ないから。鍛冶での物作りが出来るようになれば錬成の精度も変わってくるだろうし、何よりラグナムート様に教わったように、創造での物作りには欠かせないらしいので手作業での物作りは必要な事だ。布の加工は前世からの知識とデオドランでの経験があるから、ある程度理解しているけど、これからは色んな物作りを勉強しなきゃだね。


『いえ、より良い物を作りたいので鍛冶は是非教えてください』


『より良い物を作りてぇか……気に入った。職人はそうでなくちゃいけねぇ。俺の修行は厳しいが、泣くんじゃねぇぞ?』


『はい、お願いします』


 どうやら五平太さんに気に入ってもらえたようだ。あっ、いけない、忘れてた。


『あの、今やった錬成神術なんですけど、五平太さんにも錬成の適性があるので訓練次第で同じ事が出来ますよ?』


『なんだと? なんで坊主にそんな事が解んだ?』


『人の神術の適性が判る鑑定神術というのがありまして、僕にはそれが使えるんです』


『ほう、それは便利でござるな。拙者にはそういう適性はないでござるか?』


 適性が判る事に新右衛門さんが食い付く。まるで遠足前の子供の様にキラキラした目を向けられているのだけど。


『残念ながらないです』


『そうでござるか……』


 とても辛そうにされてしまった。


『今は無くても色んな事にチャレンジしていたら適性が生まれる可能性はあるってラグナムト様が言ってましたからそんなに落ち込む事はないですよ』


 僕が聞いたのはデーア母さんからだけど、ラグナムート様が言っていたという方が竜人族には良いだろう。


『そうなのでござるか? では、拙者も鍛冶を覚えてみるでござるよ』


 立ち直りが早いな。まあ、それくらいじゃないと日那国建国なんて出来ないよね。


 この後、僕は五平太さんから鍛冶を教わり、僕は五平太さんに錬成神術を教える事になった。新右衛門さんは残念ながら忙しい身なので中々鍛冶場に来ることが出来ないので、鍛冶を始めるのはまだまだ先の話だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ