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ファーマ君の気ままな異世界生活  作者: 幸村
第2章 浮遊島
28/114

第5話 ファーマ君、こっそり盗賊を退治する

第2章の投稿を始めてブックマークと評価が増えました。

PVも毎日500以上あって本当に驚きです。

増える度に制作意欲が湧いてきますね。

読んでくれている方、ブックマークしてくれている方、評価してくれた方、本当にありがとうございます。



 ライラさんが水魔法の訓練を始めてから4日経った頃。村に商業キャラバンがやって来た。村の人は仕事をお休みして、キャラバンで買い物をしている。


 僕達も旅の道中に採れた魔法石を売って、少なくなった調味料や乳製品が売っていれば買おうと3人揃って買い物に出かけた。


「あれ? ディアスキンさんじゃないですか。お久しぶりです」


 ディアスキンさんはグラダの町で知り合った商業ギルドの職員さん。って事は、このキャラバンはギルドが運営しているものなんだな。


「おおっ、ファーマ君じゃないか。なんでカナイ村に居るんだ? 確かアインスに向かっていたよな?」


「はい、この村の子と知り合ったんでちょっと寄り道してます」


「はははっ、なるほど、それでどこの支部からもファーマ君が来たって連絡が無かったのか。村には支部を置いてないからな。マルガン様が心配していたぞ?」


 えっ? 僕の事を商業ギルドに通達してるの? そんな心配しなくても試験日までにはアインスに行くんだから……過保護だなぁ。


「暫くカナイ村に居ますから、心配しなくて大丈夫って伝えておいてもらえますか?」


「おうっ、任せとけ。で? キャラバン見に来たって事は何か欲しい物があるんだろ?」


 流石は商人、お見通しだな。


「はい、調味料と乳製品があったら買いたいんですけど、あと、ガラスの小瓶とかありますか?」


 僕がディアスキンさんと話をしていると、村の入り口の方向からパーンッ! と、乾いた破裂音みたいな音が聞こえて来た。


「盗賊だー!」


 村の入り口の方から1人の男性が走って来て大声で警戒を呼び掛ける。


「チッ! 1番油断してる時を狙って来やがったか」


 ディアスキンさんが騒ぎの中心を見て睨みながらそう言った。


「どういう事なんですか?」


「ああ、普通盗賊ってのは、町や村に居る時は襲って来ないんだが、今回みたいに売買中で警備の意識が外に向いていない時を狙って襲ってくる奴らが居る。特にこういう警備の薄い小さな村では稀にこういう事があるんだ」


 なるほど、盗賊にも色々なのが居るんだな。もっと別な事に頭を使えばいいのに。


「さっきのパーンって音はなんなんですかね?」


「ありゃ、たぶんガンだな。そんな事より、俺は護衛の奴らと合流しなきゃならんから、お前らは建物の中にでも隠れとけ。なぁに、こっちには正騎士が居るんだ。直ぐに片付くさ」


 ディアスキンさんは騒ぎの方へ走って行ってしまった。


 ガン? あの爆竹みたいな音でガンって、ひょっとして鉄砲があるのか? 


 僕は神眼で村の入り口方面を確認した。すると、村の入り口から50mほど離れた木陰に図鑑で見た古い型の猟銃の様な武器を構えた男の人を発見した。


 やっぱり鉄砲を持っている人が居る。この世界にも鉄砲ってあったんだな。魔法の世界には似合わない武器だよね。


 型式は古く何発か撃ってはいるけど、あまり狙ったところに当たっていないように見える。それと威力もそれほど高くはないようで、たまに村の入り口で侵入を防いでいる正騎士さんに当たっても全身鎧(フルプレートメイル)に弾かれている。


「ファーマ様、あっち、沢山、音する……です」


 僕が遠視で盗賊を見ていると、レオナが僕の服を引っ張りながら農場の方を指さす。


「音? 村の人達が慌てている声じゃなくて?」


「あぅ、村、外……です」


 村の外? レオナの指す方を遠視で農場側の村の外を確認してみた。すると、表から攻めてくる盗賊の倍くらいの人数の人相の悪い男達が武器を手に柵の向こうに集まっていた。こちらも鉄砲を持っている人が十数人いる。表は陽動でこっちが本命か。


 何人か知った顔が居るな。あの時の盗賊だ。エミルの言った通り、あの時逃がしたのは間違いだったようだ。


 盗賊達の中心には指示を出している男がいて、手には鶏の卵ほどの大きさの炎結晶(火の魔法石)が埋め込まれた杖をもっている。


 魔法武器か、炎結晶の大きさからして旧式の鉄砲なんかよりアレの方が危険そうだ。


 とりあえず2人とは別行動して、あっちの盗賊は僕が何とかしよう。護衛で来ている正騎士さんが居るとは言ってもあの人数で不意打ちされたら厳しいだろうし。


「レオナが聞こえたのなら、何かが居るのは間違いないね。もし盗賊だったら挟み撃ちにされて危ないだろうし、エミルとレオナは正騎士さんに報告して来てくれる?」


「あぅ、分かる……ますた」


「ファーマ様はどうされるのですか?」


「僕は農場の方を見て来るよ。あっちに居るのが盗賊だったら魔法で牽制しようと思う」


 そう言うと、エミルが難色を示した。


「お止めください。危険すぎます」


「大丈夫だよ。盗賊と決まった訳じゃないし、もしそうでも無理はしないから。さあ、早くしないと手遅れになるかも知れない。急いで」


 このままじゃ裏手から盗賊が雪崩れ込んで来てしまう。エミルも十中八九は盗賊だと予想しているのだろう。手遅れになれば村が危ない。僕を心配しながらも表の正騎士さんの所へ走って行った。


 2人と別れてから僕は一旦、物陰に隠れて人気のないのを確認してから、こういう時の為に作っておいたフード付きの外套をはおり、マスクを付ける。これで僕だとはバレない筈だ。準備が完了したところで直ぐにリミッターを1つ外した。さすがに60人以上を相手に開放無しだと対応できないからね。


 全力で農場を駆け抜け裏手の柵を飛び越えてそのまま盗賊の親玉らしき男の目の前に飛び降りる。


「なっ! ━━」


 何か言おうとしていたのだけど、しゃべる前に男の前に飛び上がり軽く顎の先端をデコピンの要領で弾くと、男は白目を剥いて後ろに倒れクワクから落っこちた。


 よし、気を失っているけど息はしている。なるだけ人殺しは避けたいから今はデコピンくらいが丁度良いようだ。


 前に読んだ本で読んだ、ある程度の力で顎の先端を横殴りにすると脳震盪を起こすという知識が役に立った。


 男の持っていた杖は危なそうなので収納魔法道具(ブレスレット)に回収し、同じ要領で鉄砲を持っている人を優先して20人程を気絶させた。盗賊達は突然の出来事に、状況を上手く整理できていないようで、僕を見たまま固まっている。


 丁度良いので、後方で警戒に当たっている(と、思われる)盗賊に無詠唱水魔法で作り出した長さ5㎝程の氷柱を打ち出す。速度はエミルの矢に比べると、かなり速度は遅いけど呆けている今なら充分に当たるだろう。


 僕が放った氷柱は盗賊達の間を抜けて、狙った盗賊の足を貫通し跨っていたクワクまで届き、クワクは痛みで飛び上がり乗っていた盗賊を振り落として走り去って行った。


 ……神力を練り込み過ぎた? 予想以上の威力でこっちが驚いたよ。まあ、怪我はあとから来る正騎士さんが治してくれるだろう。


 そんな事を考えていると我に返った盗賊達は悲鳴を上げながら逃げ出した。逃がしてしまうとまた誰かを襲うかも知れないので逃がすつもりは無い。


 近くにいる盗賊はサバイバルナイフで足を突き刺し、遠くの盗賊には氷柱を放ち、逃げ惑う盗賊達の足やお尻にダメージを与えて動けないようにした。


 エミルの纏矢と同じで、神術は放った後からでもある程度の軌道修正が利くので、動き回る相手でも狙った位置に当てる事が出来てとても便利だ。


 とりあえず広域視で確認した範囲には、まともに動ける盗賊は居なくなった。この怪我なら正騎士さんが来るまで遠くに逃げる事は出来ないだろう。逃げられたら怪我が治せず失血死してしまう可能性があるから、なるだけ捕まってほしいものだ。


 さて、全員片付いたし、村に戻ろうか。


 柵を飛び越えて村に入り、適当な物陰に隠れて外套とマスクを外し、リミッターを戻して村の入り口の方に向かって歩いた。


 暫くすると、5人の正騎士さんを連れてエミルとレオナがこちらに向かって走ってくるのが見える。


「ファーマ様、ご無事でしたか」


「うん、こっちは今の所大丈夫みたいだよ。表の方はどう?」


「はい、正騎士の方々が、あっという間に全員倒しました」


 おお、それは凄い。正騎士さんって結構強いんだな。村在中の正騎士さんと合わせても10名足らずだったはず。3倍以上の数の盗賊をものともしないとは、さすが正騎士さんって事か。


 後からエミルに聞いた話では、正騎士さんは全員中級以上の魔法が使えるらしく、剣と魔法であっさり制圧したそうだ。因みに誰一人殺さず捕縛したという事だから、かなり手加減をして相手したのだろう。


 この国では、貴族出身者以外にまともな魔法が使える人は少ないらしいから、その差が大きいという事か。鉄砲があったとは言っても正騎士さんの全身鎧(フルプレートメイル)が軽くへこむ程度の威力なので弓の方が威力はある。利点と言えば弓より訓練が必要ない事くらいか?



「こちらにも盗賊が迫っていると聞いたのだが、誤報の様だな」


「あぅ、沢山、いる……です。今、動くない、あうあう……です」


「……君、この子の通訳をしてくれないか?」


 レオナの説明が分かりにくいようで、正騎士さんは困り顔でエミルに訳してくれと言う。


「村の外に大勢の人が居るのは間違いないようです。ですが、何故か動きが遅く、うめき声をあげていると言っています」


「……今の説明のどこから、うめき声というのが出て来たんだ?」


「ひょっとして、『あうあう』じゃないのか?」


「ふむ、なるほど……我々には分からんな」


 毎日話をしていると、レオナの行っている事は理解できるんだけど、初めての人には分かりにくいようだ。正騎士さん達は入り口に戻り、柵の外を迂回して裏に回り込み、倒れている盗賊達を無事全員捕縛したと言っていた。


 彼らはこの後、近くの町まで連行され全員重犯罪奴隷になるそうだ。奴隷の売却金の8割は今回被害にあったこのカナイ村に納められる。まあ、被害と言っても軽傷者が数人出ただけで重傷、死者は0だったんだけどね。


 因みに、僕が倒した盗賊達は事情聴取で「ちびっ子マントに襲われた」と、意味不明な事を言って正騎士さんを困らせたらしいけど、僕には何の事か分からない。



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