買い物
この世の全てと関係ありません。
トルコ建国記念日過ぎてしまったことが無念です
私の名前は高瀬栄子、元介護福祉士で日本人だ。
とあるきっかけで仕事をやめて憧れの人が作り上げた国、トルコへ旅に出たのだけれど…気付いたら異世界トリップしていた。
そのトリップした場所にいたのがエンヴェル・パシャだった。
言葉がわからない私に、ひたすら何かを言ってきたので困っていたら山田寅次郎さんとサビハさんに助けられたのである。
その後サビハさんの案内でケマル先生にお会いできたし土井夫妻にもお会いできたからもう会うことは無いと思っていた。
なのに。
目の前に現れた彼はまたつめよってきた。
「何故貴様が此処にいるのだ、あと頭を隠せ身体を隠せ何隠せるものが無いだとならば机の下にでもいろ目障りだ」
「あ、え、あのっ」
「…栄子君、とりあえずこれを。」
矢継ぎ早な言葉に身体が萎縮してうまく動けない。
ついうつむいた私の頭に、奥様からスカーフを受け取られた旦那様がかけてくださった。
小声で謝罪する。
ご夫妻がまるで壁になるかのようにエンヴェルパシャの前に立たれた。
何かを話しているようだけど、私は顔を上げられなくて足元を見ていた。
コツっ。
「っ、」
「うつむかなくていい、エイコ君。顔を上げるんだ」
杖が床を打つ音がして、優しいけど強い声がした。
「貴様、っ!」
ズボっ!!
「「「!?」」」
何かを言おうとした彼の口に手袋をしたサビハさんの手が突っ込まれた。
息を飲んだのは非戦闘員トリオ(私とご夫妻)だ←
ピリピリした空気に凛とした声が響く。
「おっと、それ以上はアタシが言わせないよ。……渡り人との共存や異文化相互理解について、そろそろ頭を緩めたら?」
「っっ!!」
グリグリと拳が突っ込まれている姿に、庇われているはずの私がぷるぷる震えそう。
あれ、というか息出来てるの?
あの手袋、革だよね?
耐久性異世界マジックで強そうなのがさらに恐怖だ。
「おい、いくらなんでもっ。」
「大丈夫、軍人だから力加減はわかるよ。」
「ケマル氏!」クスッと笑う姿は輝いて見えるのにもう少しでスプラッタになりそうな人がいるギャップ。
わたわたしていると口から手を出しながらとんでもない発言が麗しのパイロットから出た。
「いくらエーコが可愛いからって意地悪とか何処のお坊っちゃんですかね(笑)」
「「はいぃっ/はぁっ!?」」
あんまりな誤解に言葉が出ないでいると更にとんでもない発言が飛び出した。
「お詫びとしてエーコとお買い物デートね!あ、もちろん費用全部貴方もちで」
ついにかけるべき言葉が消え去ったよ我が友、自由な空。
そんな私を見かねてか同伴を奥様が申し出て下さったのだけれどもサビハさんに言いくるめられてしまっていた。
エンヴェルパシャにはケマル先生が何かを言っている。
…え、本当に二人で行くの?
ケマル先生の屋敷から歩いてしばらくすると、バザール(商店街)にでるとのことで私たちは歩いていた。
鈴が動く度に鳴っている。
「…」
「……」
「「………」」
か、会話が無い!
おかしい、さっきまでの彼ならうるさいぐらいの言葉が飛び出す筈なのに。
ひょっとしなくても…。
恐る恐る、私の前を早足で歩く背中に声をかけた。
「あの、顎は大丈夫ですか?」
「問題ない。」
あれ、大丈夫なのかな?
表情は見えないけれど、結構返答が早かった。
会話を試みる。
「えっと…サビハさんって強いんですね。」
「……こちらの世界の軍学校では首席卒業だからな」
「え」
「ちなみに俺とケマルは同年齢・同期、俺が次席でアイツは首席だ。」
ボソッと追加された情報に食い付きそうになる。
史実だと彼はケマル先生より歳上だし上級生だ。
やっぱりホームは異世界なんだなぁ。他の偉人さんにも会えるのかな?
未だ見ぬ偉人さんたちを思い浮かべていたせいだろうか、それとも商店街に近付いてきて人が増えてきたせいだろうか?
彼は何かを言ったらしいのに気づかなくて聞き返す。
「……った。」
?
やっぱり聞こえなくて、増えてきた人を避けて小走りしつつ軍服らしきコートの袖を掴んだ。
振り返ったその人が凄い顔でこっちを見る。
「すみません、聞こえなかったのと人が増えてき」
「怯えさせてすまなかったと言ったんだ!もう言わせるな!!」
「ご、ごめんなさい申し訳ありません!!」
「何故謝るんだ謝るな!!」
「すみませんっ!!」
「だから謝るなと言っているだろう!!」
どうすればいいんですかっ。
今、謝られたのか怒鳴られたのかわからないでまた萎縮する。顔を上げられなくて、両手をギュッと握りしめる。
握りしめた感触さえわからなくなりそうだ。
思考放棄したい。
何も考……ゴヅッ!
「何故すぐ下を向く、そこに答えはないぞ!」
「…!?」
「あ、謝っている人間の顔ぐらい見ないかっ」
え、やっぱり謝っていたの!?
つつツンデレ!
叩かれて痛む頭をさすりつつ顔を上げる。
…何処に需要があるのだろうかなんて思ってしまったけど、本人いわく謝っているらしい顔は赤らんでいて少し可愛いと思ってしまった。
ついまじまじと見てしまうとまた怒鳴られた。
「そんなに見るな!」
だからどうしろと。
「っ、さっさとすませるぞ!」
「え、あの、ですが」
「【あそこ】で十分こと足りるっ!!」
「は、はいっ!!」
なかば引っ張るように連れて来られた店を見て目を見開いた。
ここは、
(その頃のお屋敷にて)
「本当に二人で行かせて良かったのかしら…」
「大丈夫だって」
「また何かを言われて震えていないだろうか…」
「いや、どんだけ過保護なのさ」
「さてどう泣かせ、否、慰めようかな…」
「不穏過ぎるよババ!」
「ところでサビハ、君は何をさっきから見ている?」
「ああ、ちょいと街中の防犯カメラの機能検査をね。ついでに二人を見ているのさ」
「「「…」」」




