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俺、冒険者!~無双スキルは平面魔法~(WEB版)  作者: みそたくあん
第14章∶非日常的日常編

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第378話〜ちょっとした問題が起こってた〜

「タマラさーん」

「あらぁ、ビートくん久しぶりぃ。今日はどうしたのぉ?」


 新冒険者ギルドの中に入り、受付の奥で事務仕事をしていたタマラさんに声を掛ける。

 タマラさんはドルトン冒険者ギルドでは古参で、受付のまとめ役をしてくれている。ちょっと間延びした感じの喋り方をする人だけど、仕事はテキパキと早い。色々と頼りになるお姉さんだ。


「それがさ、そこの大通りで素行不良の冒険者に絡まれてさ」

「あらぁ、それは大変だったわねぇ。相手がぁ」


 まぁ、その通りなんだけどさ。


「ほら、(はよ)う歩きぃ! ホンマどんくさい()っちゃで!」

「本当ですわ! 余計な手間を掛けさせないでくださいまし!」


 俺のすぐ後から、クリステラたちが縛り上げた不良冒険者たちを引き連れて冒険者ギルドに入ってくる。全部で八人。


 ぶっちゃけ、あっという間だった。

 こちらは全員が魔法使いで身体強化を使えるから、普通の冒険者なんて一般人と何も違わない。武器も抜かずに叩き伏せて終わりだ。

 サっちゃんとヨっちゃんなんて、暴れようとするジャスミン姉ちゃんを押さえるのに必死だったくらいだ。護衛とは。

 ジャスミン姉ちゃん、貴女、妊婦なんですからね? 激しい運動は駄目ですからね?


「あらあら、うふふ。速く歩かないと……炙りますよ?」

「お(ねえ)、槍で突いた方が早ぇよ」


 なかなか言うことを聞かない不良冒険者たちに、女性陣のフラストレーションが凄い勢いで溜まってるみたいだ。ルカなんて、背後に黒いオーラが立ち昇り始めている。


「痛ぇな! オレ達にこんなことして、ただで済むと思ってんのかよ!?」

「うみゃ? どうただで済まないのみゃ?」


 捕まえた不良冒険者のひとりが、何か喚き始めた。

 この言い方だと、背後に大きな組織が居るっぽい? だとしたら、領主としては放置できないな。即対応しないと。


「聞いて驚け! オレ達ゃ泣く子も黙る『灰色鼠団』の一員よ! オレ達に手を出したらボスの『首刈りネズミ』様が黙っちゃいねぇぜ!」


 ……。

 …………。

 は?


 あっ!? もしかして、俺の偽者がいる!? 偽物が密かに闇組織を率いて暗躍している!?

 それは捨て置けない! 真相を究明して解体させないと!


「オレ達のボスは付近一帯の盗賊や山賊を根絶やしにした、超絶凄腕の冒険者なんだよ!」


 うんうん。それは俺もやったな。ドルトン近辺の盗賊はかなり少なくなった。ついでに言えば、海賊も減った。

 そうか、偽者もやってるのか。それはありがたい。


「まだ成人もしていない子供で……」


 ほう? 俺もまだ学園に通ってます。最年少です。

 そんなところまで俺と同じ……って、うん? あれ? 何か変だな?


 不良冒険者たちも何かに気付いたみたいで、俺の方を見ている。


「灰色の髪で……」


 うん。この髪色、他に見たことがないんだよね。銀髪や白髪交じりのロマンスグレーはいるんだけどなぁ。


「大きな黒い犬と大勢の女を……連れて……」


 そうだね。俺の隣にはいつもウーちゃんがいる。クリステラたちもいる。時々バジルやタロジロたちもいる。

 ふむ、なるほど。そういうことか。


 不良冒険者たちの顔色が青くなって、顔の脂汗が凄い。油を絞られてる蝦蟇ってこんな感じかな?


「……ま、まさか……本物?」

「タブンネ?」

「「「失礼しましたーっ!!」」」


 どうやら『灰色鼠団』は(かた)りだったみたいだ。



「ハハハハハッ、それは災難でしたな! まさか『灰色鼠』殿がこの街の領主であることを知らない者がいるとは!」

「いや、笑い事じゃないよ」


 冒険者ギルドの執務室で、副支配人のイメルダさんと事の顛末を共有する。その話にイメルダさんは大笑いだ。

 いや俺も、本人を眼の前にして騙るとは相当間抜けだとは思うけど、領主であることを知らないとは思わなかった。子供で凄腕冒険者より、子供領主のほうが想像しやすいと思うんだけどな?

 いや、両方を兼任するっていうのが想像外だった? 意外と知られてない?


 結局、あの不良冒険者たちはまるっきりの騙りだった。背後に組織は無かった。

 けど余罪を追及したところ、恐喝と詐欺が数件あった。これに領主に対する暴行未遂ということで、連中には被害者への賠償と強制労働十年が科せられた。しばらくはタダ働きってことだな。魔法の契約書に署名させたから、逃げることはできない。


其奴(そやつ)らのようなバカはそうおりませんが、素行の悪い冒険者は少々増加気味ではありますな」


 イメルダさんが表情を引き締めて、聞き捨てならないことを言う。

 素行の悪い冒険者が増えてるってことは、街の治安が悪くなってるってことだ。領主としては捨て置けない。


「それって、理由は分かってるの?」

「ええ、まぁ。多少の憶測が入っておりますが……」


 イメルダさんによると、ドルトンの景気は上向いてるけど、王国全体では下降気味らしい。王国政府もアレコレ対策しているけど、戦争続きで市場が疲弊してきているそうだ。

 『ノランとの戦争が本格化すれば、軍需で景気は多少回復するでしょうが』と言っていたけど、それはあまりよろしくない。戦争頼りの景気はいずれ破綻する。軍票を刷り始めたら危険信号だ。

 そんなわけで、少しでも景気のいいドルトンで一山当てようと、まだまだ人口は流入過多なのだそうだ。

 そこまでは俺も知っている。領主だし商会長だからな。


 それで、何故不良冒険者が増えているかってことだけど、端的に言うと『実力不足』だそうだ。

 王都や近隣の領から、移住や商会の移転の護衛でドルトンにまで来た冒険者たちだけど、皆ドルトンに定住してしまって、帰る護衛の仕事が無いらしい。

 全く無いわけじゃないけど、そういう仕事は高ランクであったり馴染みであったりする冒険者が優先されてしまうそうだ。


 仕方なくドルトンに留まって狩りや採取の仕事をするわけだけど、ここは人類の最前線、魔境に囲まれた街だ。王都や他の領地でヌクヌクと育った冒険者たちが立ち打ちできる場所じゃない。

 『失敗続きで思ったように仕事をこなせない苛立ちや目減りしていく資金への不安から、他の冒険者に絡んで金品を巻き上げようという考えに至ったのではないか。連中からの詳しい調書はこれから上がってくるが、おそらく間違ってはいないだろう』というのがイメルダさんの予想だそうだ。


 なるほどなぁ。

 市街地を見回っている騎士団からの報告は無かったけど、冒険者ギルドは街の外れだからな。見回りエリアが違うから露見しなかったのか。冒険者が粗暴なのはいつものことだし。


 けどこれ、放置しておいていいものか? このままだと『冒険者=ならず者』って図式になっちゃわないか?

 いや、実際、そんなに間違ってはいないんだけど、ここは冒険者の街ドルトンだ。このままだとならず者の街ドルトンになってしまう。


 それは不味い。領主としても商会長としても、大きなイメージダウンは避けたい。

 何か対策をぶち込まないと。

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男は強くなくては生きていけない優しくなくては生きてく価値がない。ハードボイルド編突入だ〜。
ふと思ったのですが、貴族派とか恨みを買ってる他領からの妨害工作とか(実力行使は無理なので)ありうるのでは?そんな人にはビートの一日体験ツアーをプレゼントしてはいかがでしょうか。あまりのハードさに(年齢…
いくら頑張っても貧富の差は生じるし、他の領のギャングとかが進出するのならばいっその事裏社会の方も支配したら? 他の領にスパイとかも必要だし。 わんぱく姫が嫁入りしたら混ぜるな危険状態でよりすごい状態に…
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