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俺、冒険者!~無双スキルは平面魔法~(WEB版)  作者: みそたくあん
第6章:秘境探検編

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第158話~トンボのメガネは高級メガネ~

 中級未満の冒険者には荷が重そうな討伐依頼をサクッと終わらせた翌日。今日は調達依頼を受けるつもりで冒険者ギルドへやってきた。お伴はいつも通りウーちゃん、受付もいつも通りのタマラさんだ。


「虫の目玉?」


 何を入手すればいいかタマラさんに聞いてみると、大森林にすむ巨大昆虫の魔物の目玉だという。

 そんなものを何に使うのかと訊ねると、研磨して眼鏡のレンズにするのだとか。なるほど。この世界の技術的に、レンズはガラス製じゃないだろうとは思ってたけど、アレは魔物素材だったか。

 

「透明度の高い水晶でもいいんだけどぉ、大きい物はなかなか無いしぃ、重いのが難点なのよねぇ」

「ふ~ん。それって、大蜘蛛の目でもいいの?」

「う~ん、大蜘蛛の目だとぉ、ちょっと小さいかしらぁ? 出来ればもっと大きいほうがいいわねぇ」


 残念、そう上手くは行かないか。大蜘蛛なら猪人狩りのついでに狩れるし、あいつら群れてるから一度に沢山集められて楽だと思ったんだけど。まぁ確かに、大蜘蛛と言っても中型犬くらいの大きさだ。頭もそれくらいの大きさだから、付いてる単眼はビー玉くらいの大きさしかない。さすがに眼鏡のレンズにはできないか。顕微鏡ならなんとか?

 水晶でも大丈夫なら、最悪、ジョンに作ってもらえばいいな。レンズサイズどころか、家屋サイズの単一結晶だって作れるんだから。


 しかし、大森林には頻繁に通ってるけど、そこまで巨大な虫は見たことが無い。ジョンの周辺でも、生息しているのはちょっと大き目のアリやバッタくらいだ。つまり、俺たちが今まで踏み入っていない、もっと奥地に生息しているということか。言っては悪いけど、この街の冒険者がそんな危険な地域にまで行けるとは思えない。今まではどうしてたんだろう?


「昔は『暗闇の森』にも沢山居たらしいわぁ。『オオクロガネヤンマ』って言ってぇ、翅の端から端までぇ、ヒトが両手を伸ばしたよりも大きいトンボの魔物だったそうよぉ。別名『ゴブリン喰い』って呼ばれててぇ、よく足にゴブリンを抱えて飛んでたらしいわぁ」


 トンボの魔物か。確かに、古代の地球にもでっかいトンボが居たらしいから、この世界に居ても不思議じゃない。ファンタジーだからな。餌がゴブリンなあたりもファンタジーだな。スライムすら拒むというゴブリンの肉を食べるとは、かなりの益虫じゃないか。居なくなったのが悔やまれる。


「でも煙に弱くてぇ、燻るとすぐ気絶したらしいわぁ。それで眼鏡の素材に乱獲されちゃってぇ、二十年くらい前を最後にぃ、暗闇の森からは消えちゃったらしいのぉ」


 おう、乱獲による絶滅ですか。まるでリョコウバトだな。いつでもどこでも、人間のやることは同じなのかもしれない。

 それでゴブリンを間引く存在が居なくなって、自分たちに害が出てるんだから世話はない。自業自得とはこのことだ。


 しかしそうすると、大森林で生き残っていたとしても、それは絶滅危惧種ってことになるのかな? 乱獲は出来そうにない。むしろ保護する必要がありそうだ。生態がわかれば、ジョンに環境を作ってもらって人工繁殖してみるか。上手くいけば眼鏡素材が定期的に供給できる。トンボのメガネ牧場だ。

 これは本格的に大森林を探索、いや調査する必要があるな。皆に相談せねば。



「まぁ! もうお休みを終えて、おひとりで仕事を始めておられたんですの!?」

「なんだよ、水臭ぇなぁ。一声掛けてくれりゃ、アタイらでも荷物持ちくらいは手伝えたのによ」

「ホンマや。うちら、仕事が無く(のう)てヒマしてるっちゅうのに」


 アレ? 屋敷に戻って皆に協力を要請したら、なんか怒られた。そういえば、お休みを返上したことは言ってなかったかもしれない。暗闇の森での狩りも、いつもの散歩だと思われてたみたいだ。実際、獲物の種類と数量以外はいつもと変わらなかったしな。『報告・連絡・相談(ホウレンソウ)』を忘れるとは、俺としたことがなんたる不覚。

 仕事が無くてヒマっていうのは、子供使用人たちが頑張ってくれてるかららしい。

 料理に掃除、洗濯にピーちゃんの世話なんかが子供たちの仕事なわけだけど、ピーちゃんの世話以外は、ちょっと前まではクリステラたちの仕事でもあった。今も冒険の間はそれら全てを彼女たちが担当してくれてるわけだけど、屋敷にいる間は子供たちとの共同作業になる。料理だけは変わらずルカとサマンサがメインでやってくれてるけど、それ以外は皆で分担して行うから、仕事があっという間に終わってしまうのだとか。っていうか、折角の休みなんだから休みなさいよ。なんで働いてるの?


「あらあら、日常生活は仕事じゃありませんから。自分の身の回りの事を自分でするのは当たり前です。ビート様のお世話は好きでしてるだけですよ? うふふ」

「アタシはしっかり休んでるみゃ! お昼寝いっぱいしてるみゃ!」

「……みんな、大体いつもと同じ」


 うぬぅ、家事も立派なお仕事ですよ? 前世では『主婦の大変さを分かってないと妻に怒られる』という愚痴を妻帯者からよく聞かされたものだ。便利な家電があった平成日本でそうなんだから、それが無いこの世界じゃもっと大変なはず。いやはや、頭が下がります。

 あとアーニャ、君は普段から寝てばかりなんだから、皆が休んでるときくらい働きなさい。ああ、皆が休まず働いてるから、いつも通り寝てるのか。難しいなぁ。

 まぁ、でもそれも今日までだ。十分休んだというなら、明日からはちゃんと働いてもらいますよ!



 普通の冒険者の場合、大森林へ行くというのは死を覚悟するほどの重大事だ。強大な魔物が闊歩するがゆえに。さらには巨大な樹木が視界を遮り、張り出した根や枝、灌木や下草が足場を制限し、魔物との戦闘を難しいものとする。十分な準備をしていても、生きて帰れる保証はない。それほどの魔境なのだ、普通の冒険者にとっては。


「このぐらいの高さならギリギリ大丈夫ですわ。樹の先端に触れそうですわね」

「いやー、これもまた絶景やな! 見渡す限りの樹、樹、樹や! まるで緑の海やな! 『樹海』て言う意味がよう分かるわ!」

「さしづめ、今は航海中ってところか? 雲もねぇし、いい風も吹いてる。航海は順調だな」

「うみゃぁ、でも樹の海じゃ魚は釣れないみゃ。早く本当の海か湖へ行くみゃ」

「……大猿なら釣れるかも?」

「あらあら。そんなに身を乗り出すと危ないわよ? お茶を淹れたから、こっちで到着までのんびり待ちましょう。ビート様、大豆の豆茶はいかがですか? お芋のクッキーもありますよ」


 ドライブ、いや、海ってことならクルーズか。全く緊張感がない。

 現在、俺たちは馬車に乗って大森林上空を南へ飛行中(・・・)だ。竜哭山脈が大分大きくなってきたから、そろそろ大森林の中央部を越えたかもしれない。既に人跡未踏の地に足を踏み入れている。あれ、踏み入れてるなら人跡未踏じゃないな? 日本語は難しい。


 馬車はドルトンで買ったものだ。大型で、俺たち全員と荷物を載せてもまだ多少の余裕があるくらい大きい。十トントラックの荷台くらいある。本来は六頭引きらしいけど、俺の魔法で動かすから馬は居ない。四角い梁が上部をぐるりと囲っていて、荷台の外側に括りつけられている革の幌を掛ければ雨露を凌ぐ屋根になる。車体の各所は鉄板で補強されていて、少々武骨だけど頑丈だ。

 先のノランやジャーキン遠征では、海賊から奪った船が大活躍だった。大量の戦利品や食料を積んでいても余裕のある旅が送れた。一番の戦利品はあの船だったかもしれない。しかし今回は陸の旅なので、船に乗って行くわけにはいかない。停める場所がない。なので、馬車を購入したのだ。荷物を背負って森の中を歩く事を考えたら、このくらいの出費は痛くない。まぁ、魔法で飛べば荷物の量は問題ないんだけど。

 実のところ、馬車を買った一番の理由は寝る場所の確保だ。移動だけなら俺の魔法だけでいいんだけど、魔法は寝ると消えてしまうから荷物にテントが必要になる。荷物が増えるのはいいんだけど、魔境で地面に直にテントを張って寝るのは少々不安だ。毒虫や毒蛇、地中から襲ってくる魔物がいないとも限らないからな。その点、馬車の荷台なら地面から離れてるし、いざってときは馬車ごと平面で囲むことで安全も確保できる。利便性と安全性を考えるなら必須のアイテムというわけだ。

 もっとも、普通は森の中へ馬車を乗り入れることはできない。道が無いからな。浮かせて飛ばせる俺の魔法があればこその手段だ。マジ便利、俺の平面魔法。


「それでビート様、何処へ向かっておりますの?」

「水量のそこそこ多い川か、少し大きめの沼なんかの水辺だね」

「お魚かみゃ!?」


 クリステラの問いかけに答えた俺の発言に、アーニャが速攻で食い付いた。お前、最近魚のことしか言わないな? そんなに海の旅が楽しかったのか?


「まぁ、魚はいるだろうけど、目的はトンボだよ。正確には、その幼虫だね」

「トンボの幼虫……わたくし、恥ずかしながらトンボの幼虫については存じませんわ。どんな生き物ですの?」

「うちも知らんなぁ。海にはおらんかったし」

「アタイも」

「あらあら、わたしもです」

「……芋虫?」


 おや、意外にトンボの幼虫、ヤゴについては知られていないようだ。まぁ、女の子だしな。虫には興味がなかったんだろう。


「アタシは知ってるみゃ! あいつら、水の中に棲んでるみゃ! 小さいお魚を食べる、アタシたちのライバルみゃ!」


 おっ、アーニャは知ってたか。けど、やっぱり魚絡みなのな。っていうか、ライバルって……小魚くらい喰わせてやれよ。いや、話通りの巨大トンボの幼虫なら、食べる魚もそれなりの大きさだろう。ライバルと言っていいかもしれない。


「うん、ライバルかどうかはともかく、アーニャの言う通りだね。親は飛び回って見つけにくいかもしれないから、居場所が予想できる子供を探そうってわけ。その近くに親もいるだろうしね」

「なるほど! さすがはビート様、博識ですわ!」


 ぶっちゃけ、この世界のトンボも同じようにヤゴから変態するとは限らない。けど、同じような外見をしているなら、ある程度生態も似ているはずだ。大きく予想を外れることはないだろう。


 水辺を探すのは、上空に浮かべたカメラで行っている。一度に確認できる範囲はそれほど広くないから、移動しながら撮影しつつ探している。マップも作成できて一石二鳥だ。俺のワールドマップは着実に拡大している。

 おっ、南西の方に沼? 泉? を発見! 河童が居るのが沼で妖精が居るのが泉だったっけ? いや、流れが終わってるところが沼で始まってるところが泉なんだっけ? まぁ、どっちでもいいか。流れ出てる川は無さそうだから、仮に沼としておこう。深さは分からないけど、面積は結構広い。これなら巨大トンボのヤゴも棲めそうだ。

 それじゃ、早速調査開始といきますか。

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