表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/372

第11話~まだまだ知らない事が多いので~

 さて、当面の危機は去ったということで、新たな5ヵ年計画である。計画経済は容易に破綻するんだけども、無計画というのも大人としてね。まあ、5歳児なんですが。


 ということで、俺の人生5年の振り返りだ。成果の評価と問題点の洗い出しをしてから、今後の方針を出す。


 ぶっちゃけ、概ね順調で、予想以上の成果だったんじゃないだろうか?この世界の事は結構分かったし、俺が魔法を使えることもバレてないと思う。前世の記憶を持ってることについても、恐らくはバレてない。

 俺が何かしら隠してる事に村長あたりは薄々感づいてるかもしれないが、今のところ表立って尋ねてくるような事にはなっていない。結構大らかな人柄だから、村に害が無いなら放っておこうとか考えてるのかもしれない。両親は村長に輪を掛けて大らかだから、子供が元気に育っていればそれ以外はどうでも良さそうだ。

 当面は、これ以上怪しまれないように大人しく(子供だけど)しておいて様子見かな。懸念点はそれくらいだ。


 次は現状の確認。


 正直、『生活が中世レベルで魔物という脅威が身近に居る世界なんて、碌なもんじゃねぇ!』と思ってた時期が俺にもありました。うん、過去形。

 スローライフも、慣れると意外に悪くない。自然の中で生きるってのは、なんとも言えない充足感がある。ここいらの魔物は既に脅威じゃなくなってるし、唯一の不満だった料理も、自分で前世の味を再現すればいいと気付いたし。塩が足りないから限界はあるんだけど。


 奴隷っていうのは、前世の倫理観からすると、ちょっとばかり抵抗はあるけど、こっちの世界では普通にある社会階級だし、俺の主人の村長は良い人だ。前世の『ブラックスレスレ企業の社畜』よりは数段マシだと断言できる。


 開拓村っていう言葉から受ける『過酷』『飢餓』『貧困』なんていうマイナスイメージはこの村にはない。

 過酷なのは魔物との闘いくらいのもので、環境や労働が厳しいということはない。

 気候が安定していて旱魃や水害も起こりにくいから、畑も早々不作にはならないため、飢えもない。

 貧困に関しては、村民のほとんどが奴隷だから貧乏って事に実感が湧かない。そもそも、村の中でお金ってものをほとんど見たことがない。なにしろほとんどが奴隷なので、収穫も収入も全て主である村長のものだ。必要なものは村長から分配されるから、物々交換すらない。金銭での売買なんて、たまに来る行商人と村長のやりとりだけだ。


 総じて、今の生活は悪くない。ぶっちゃけ、結構楽しかったりする。毎日が『ぼくの夏休み』だ。うん、ハードモードなんて思ってごめんなさい。


 しかし、今の状況に甘んじるつもりは全くない。折角の異世界なのに、このままではこの村の中だけで人生が終わってしまう。ダンジョンもドラゴンもケモミミも見ず仕舞いだなんて、そんなん嫌や!


 ダンジョンでブイブイ言わしてドラゴンにパチキかましてケモミミをモフり倒すんや!せやなかったら、異世界に何の意味もあらへん!


 と、俺の中の何かが叫んでる。


 何はともあれ、行動の自由を得るには、奴隷からの解放が必須だ。実は、これについてはその手段が判明している。


 この世界の奴隷制度というのは、厳格に法で定められている。驚くなかれ、全世界共通の法だそうだ。それによると、俺は一般奴隷という種別に分類される、金銭での売買が認められた奴隷だそうだ。その価格は能力や経験に左右されるが、5歳以上10歳未満の子供は基本金として大金貨5枚。これに色々な付加価値、例えば見目が麗しいとか元貴族だとか借金の肩代わり分だとかで+αされる。俺の場合は、魔法が使えるってことを明かしたら分からないが、そうでなければ大金貨5枚だ。そもそも奴隷の子が魔法を使った事例が無いそうなので、値段の付け様が無いだろう。つまり、俺は大金貨5枚で自分を買い取ればいいのだ。うむ、分かりやすい。


 しかし、ここで問題が一つ。大金貨5枚がどのくらいの価値なのかということだ。俺はこの世界のお金というものを見たことがないから、それがどれほどの価値なのかわからないのだ。これはなるべく早めに調べておきたいな。最優先事項だ。


 ということで、今後5年の目標が決まった。


 先ずはお金について知る。これはたまに来る行商人のおっちゃんと村長のやり取りを見て覚えよう。自分からおっちゃんにそれとなく尋ねてもいいし、護衛の人達に話しかけてもいいかもしれない。


 それに並行して、村を抜け出して魔物を狩る。価値が高いと言われる魔石を集めておいて、自分を買い取るための資金にするのだ。素材なんかは日にちが経つと状態が悪くなるだろうから、残念だが諦めるしかない。売る手段が無い以上、仕方ない。

 集める魔石は多ければ多いほどいい。出来れば両親も解放したいからだ。両親は俺よりも高値だろうから、正直先が見えない。しかし俺だけ解放されるのも違う気がするし、コツコツやればなんとかなるだろう。


 そして、継続して魔法と体を鍛える。いつか行くダンジョンと、いつか出会うドラゴンのためだ。あとケモミミ。


 …何か、今までと大して変わらない気がする。まあいい、これまでの事は間違いじゃなかったってことさ。


 変えるのが面倒くさいとかじゃないよ?ホントウダヨ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版全四巻発売中!

boukensya01.jpg boukensya02.jpg

boukensya03.jpg boukensya04.jpg

よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ