クールだよね
「初めまして、"安藤柚梨"です。」
昼休み、君は声を掛けてきた。
校舎を案内してくれるらしい。
それは俺が気になったのではなく、学級長だかららしい。
まぁ、嬉しいけど。
ふわっと髪を揺らしながら跳ねるように歩く。
そんな君を俺は後ろから見てる。
教室なんて頭に入ってこないし、やばい。
ふんわりとしたシャンプーの香り。
少しまくって見えてる手首にはブレスレット。
誰かとおそろいなのかな?
メンズ物の革製のやつように見えなくもない。
膝より少し上のスカート、歩く度にフワフワとしている。
すらっとした脚。
君は完璧に近かった。
「以上です!」
そうこうしているうちに自分の教室の前に戻ってきてしまった。
君は俺に微笑み教室に入っていく。
女子の班に入れば楽しそうに会話を始めた。
俺の話みたいだ、席につきながらそう思った。
『なんか、海馬くんってクールだよね』
『とっつきにくいけど顔はまぁまぁだよね』
そんな女子の会話。
「無愛想に見えるけど、ちゃんと話聞いてくれたんだ!」
君がそういうのが聞こえた。
聞いてなかったんだけど、親身になって聞いてるふりをしてた。
君に嫌われたくなかったから。
"そう、君に嫌われたくなかったから。"