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初めまして
俺、"海馬遊騎"はこの夏転校してきた。
急な親の都合らしい。
高校三年で引越しとか青春ぶち壊しだろ。
担任に連れられて教室に入る。
「初めまして、海馬遊騎です。」
ありきたりな言葉を並べ指さされた席に着く。
「よろしくね」
なんて、上辺だけの言葉を周りからかけられる。
嗚呼、楽しくない。
ふと、窓の外を見ようと目線を逸らした。
そして、俺は見たんだ。
"君を。"
ふわっとゆるふわカールをした黒髪で濃くない化粧、カラコンを入れてない自然な瞳。
こんな人が世界にいたのかと目を疑った。
君は俺に気付くとニコッと笑って手を振った。
君の名前はなんていうの?
何が好き?
何でも聞きたい。
やばい、好きだ……。
そんな気持ちが転校初日から起こった。