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奥地へ

オコンネルは翌朝寝起きに夜に見たことを思い出していた。

あの後一瞬月の光さえ見えなくなった。


あれはなんだったんだろ…


起床ラッパがなった。

一日の訓練が始まる。

朝食の時間、オコンネルは隣の仲のいい兵士に昨夜のことを話した。

「おまえ、酔っ払ってたからなあ(笑)」

全然まともに話を聞いてくれない。



昼休み声をかけてきたのは、部隊の偵察兵のPN兵士だった。オコンネルはPNの兵士と話すのは初めてだった。


PNの兵士を信用してはならない…


これは軍の常識となっていた。だから、オコンネルも警戒するのは仕方ないことだった。

何事かと怪訝な顔つきで兵士の方をみた。


「CIの兵士、オコンネル。おまえはなにをみた。」


なんのことだろ…


「夜のことだ…」


「なんでそんなことを聞く…」


「知りたいからだ…」


オコンネルは仕方なく昨夜のことを話した。

月の下での光景を。


「ありがとう…」


そういうだけで、兵士はいつものように戻っていった。


奥地へ赴く食品会社のキャラバン。

駐屯地までのキャラバンに比べれは随分小振りになった。

警備隊の面々の顔つきも変わった。

ここから先はいつ襲われてもおかしくない地域だ。

特に日に日にその回数は多くなっていた。


「エルザ、言いたくはないが、ここから先は自分は自分で守らなければならない。言ってることはわかるね。私もエルザを助けられないかもしれない。エルザも私のことは構わず身を守らなければならない…」


この言葉は旅の途中に何度も聞いてきた。

だが、今は同じ言葉でもその重みが違う。

周りの人から出る気配が違う。

帝国辺境騎士団の小隊が警備についてくれる。それだけでも多少気が休まるが…


出発の準備では、銃の入念な点検が行われた。

騎士団の小隊も、警備隊も、伯爵もエルザも。

その金属音が一番の騒音ですらあった。あちこちでその音が響いていた。

それが周りの空気を緊張させていた。

互いに掛け合う会話も口調がきつくなる。


「銃の点検は終わったか!しっかりやっておけ!弾薬の予備の確認も忘れるな!」

小隊長の掛け声が兵士を緊張させる。

オコンネルも必死だった。

今度こそ死ぬかもしれない…

その恐怖が襲ってきそうになるのを銃の点検や弾薬の確認などに集中することで忘れようとしていた。

腰のリボルバーは確認した。

背中の小銃も確認した。

銃剣はある。


「よーし!各自着剣!」

小隊長の号令で腰の銃剣を小銃に付ける。



「新兵さんのどれだけがが帰ってこれるかな〜(笑)」


「俺達も同じだろ…バカ言ってるんじゃない…」


警備隊のリードも仲間に話し方は普段通りだが、銃の点検には余念がなかった。

妻のナヤラと息子のトマスはもう馬車にいる。

リードは警備隊の任務があるので馬車はナヤラに任されていた。



エルザは一人そういう喧騒と緊張から離れていた。


「神々よ…全てのものに宿る神々よ…悪霊を祓う力をこれに与え給え…大地の汚れを祓う力を…」


唱えながら、エルザはリボルバーを掲げた。

それを大地に置く。

置いた銃に額をつけた。

それを何度も繰り返す。

唱えた言葉は続いていた。

弾薬にも同じことを行っていく。

それを伯爵が少し離れた所から馬に鞍をつけながらみていた。

PNの兵士達もエルザをみつめていた。

一人の兵士が隣の兵士になにかを話しかける。

エルザの方を見てみろと言っているように。










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