大事な物
あの子供達がどうかしたの?」
「ん?あぁ……なんでもない。」
ナヅナは無意識に道を走る姉弟らしき子供二人を見つめていた。それを見かねて目の前の女は声を掛けたのだ。
あのレースから少しだけ時間が経ち、ナヅナはレースを共にしたラドとコーヒーを嗜んでいた。
気がつけば、ラドとナヅナは打ち解けた。たまにゲームを共に回ることもあれば今のようにカフェでゆっくりすることもある。
いわばゲーム仲間であり友人なのだ。
ナヅナの視線は次の居場所を探すかのよう散策する。上を見ていると転々と置いてある建物に人が飛び乗っているのが見えた。
この世界のゲームの一つであるパルクールだ。主に一対一で同じコースを飛び、早い方が勝ち、とルールはシンプル。
順調に飛んでいくプレイヤーに視線を留める。
あの人なかなかやるなぁと思いつつ、気になることが一つ。
「なぁ…あれ落ちたら死ぬだろ」
少し離れているが視線を上げなければいけないほどの高さで石から石へ飛び乗っていた。
おそらく20メートルはあるだろう。
もし足が滑って落ちたら一貫の終わりだ。
だから、内心ヒヤヒヤしかながらあのプレイヤーを眺めていた。
しかし、ラドはコーヒーを口につける手前で、何を言っているの?と言いたげな表情でナヅナは見つめていた。
彼女はそのカップを苦笑しながら置いた。
「この世界に"死"なんて存在しないわよ。」
「は?」
風が吹いたわけでもないのい、背筋がぞくりと冷えた。意味がすぐに掴めなかった。いや掴みたくなかった。
「いや、少し主語が大きかったわね。エルデラフエンテスでのみ、死ぬことはない」
「死なない……?」
「えぇ、何があってもね。どんなに高い場所から落ちても、剣で貫かれても、病気を患っても、毒を盛られてもね。もちろん痛みもない。
ここにいる間は不死身同然よ。でもこの世界に慣れてしまっただろうからそんなに驚かないでしょ。ていうか気づいてると思ってたわよ」
「いやまぁ……そう言われればそうだったな。」
今覚えば、疑問を持つべきタイミングが何度があった。あの時大岩に潰されたセイソウィンが生きていたのも説明できる。
「一度も死にかけたことないし、ゲームもほとんど余裕だったから」
「さらっとマウント取ってくるんじゃないわよ」
ラドは鬱陶しそうな顔で何とも思っていなさそうなナヅナの横顔を恨めしそうに見る。
「にしても不死身って普通ありえねぇだろ」
この世界のテクノロジーは、地球を遥かに凌駕するもので、数日しかいないナヅナでも理解し難い技術を何度も目の当たりにした。
スカバイダーやエルバイダー、まだ使えないが異世界転送装置など。
だが、人間が死なないというのは信じ難いものだ。
「どうやってそんなことを……」
「私は知ってるわ」
ラドは堂々と言った。
「知ってる……?この原理を説明できるってこと?」
「いやそうじゃないわ」
そうじゃないと言われてもそれ以外に何かあるのか。神の力とでも言うのか。
「あなたは、この世界が誰かが作った一つのシナリオだと言ったら信じる?」
ナヅナは言葉の意味がわからなくて、険しい表情をする。
「どういうこと?」
「わかりやすく言うなら、フィクションの物語のような世界よ。そのありもしない世界に私達はいる」
いきなりそんなことを言われても、理解不能だ。だが、不死身を可能にしているこの世界も、現実とかけ離れているのは事実。
「仮想現実ってこと?」
「さぁ?でも、私はこの世界を知っている」
"この世界を知っている"
まるで別の世界から来たような口ぶりだ。
「一つ聞きたいんだけど、あんた、この世界の人間だよな」
「ふふっ……いずれ分かるわ」
どっちとも取れる返答だったが、それ以上追求しなかった。そんな雰囲気でもないし、これ以上問い掛けない方がいい気がしたのだ。
「なんか、あんたのことを知ってるようで、知らねぇよな」
「あ」と何か思い出したように顔を上げた。
「そういえば、あんたの本当の名前まだ知らないんだけど」
あのレースの裏切りの手前、本名は別だと教えてくれた。しかし未だに教えてもらっていない。別に知っておく必要ないのかもしれないが、一度聞いてしまえば気になるものだ。
「ん?あぁ、そういう約束だったわね。時効でどうにかなると思っていたけど……」
ただ、ラドは苦々しく笑っていた。
「言いたくないの?なら別に良いけど」
「言いたくないわけじゃないけど、あなたは驚くだろうと思って」
「なら、渋らずに言ってよ」
彼女は一瞬だけ言葉を探すように目を泳がせた。彼女はすぐに答えない。答えるつもりがないのか。あるいはただの間か。
湯気の向こうに見えるその横顔はまるで何か守ろうとするかのように静かで固い。
「やっぱりまだ言えないわ」
迷っているような声色で断りを入れた。普通に教えてもらえると思っていたナヅナは少し戸惑いの顔を見せたがすぐにいつもの表情に戻した。
「ま、私にとってはそんな大事なことじゃねぇし、別に言わなくても良いんだけど」
頬杖をつきながら不服そうな顔で、ナヅナはパルクールへ視線を戻した。ラドは、素直じゃないんだから…とカップの縁をなぞりながら言う。
「そもそも、ナヅナは私のこと"あんた"とか"お前"とか、そんな呼び方ばっかりじゃない」
「そんなことないから」
いや実際はそんなことある。ナヅナはラドを"ラド"と呼ばずに二人称代名詞でしか呼ばない。最初に会った時から名前で呼べば良かったのだが、この呼び方に慣れてしまうと少し抵抗が生まれてしまう。
「全く……名前を呼ぶことに照れる要素なんてどこにもないのに」
「いや照れてねぇから。てか、そもそもお前だって…」
「はいお前って言った」
頭の回転が速いナヅナはすぐに対抗手段を脳内で組み立てて言葉にしようと思ったが、反撃でいっぱいでついお前と言ってしまった。
「…さ、レースにでも行くか」
呆れた顔のラドを置いて、ナヅナは何事も無かったかのように立ち上がって歩き出す。
「はぁ……可愛げのない子なんだから」
ラドも直ぐに立ち上がり、ナヅナの背中を追いかける。
すると、不意に小さな影がナヅナに向かって飛び込んできた。
少女だった。年のころは七つか八つ。
彼女の小さな肩がぶつかり、軽い衝撃と同時に足元に倒れ込んできた。
怯えたような目で言葉も発さずにこちらを見上げる。普通の迷子とは違うようだ。その少女は、服もボロボロで髪もぐちゃぐちゃ。
ただ、何かが入った袋を心配になるほどの細い両腕で抱えていた。よく見ると袋の中にはこの世界でよく見る食材や飲み物などが入っていた。
ラドが腰を下ろして「大丈夫?」と声を掛けるが、何も反応を示さない。
「言葉がわからないのか?」
憶測でしかないが試しに問うてみると、ナヅナを見つめ戸惑っている様子だった。まるで何も理解できていないようだった。
すると、こちらへ駆け足で来る音が聞こえたので顔を上げて音の方を見ると、青年らしき人がこちらへ向かってくる。
少女はその顔を見るなりさらに怯え始めた。
ナヅナとラドは状況を察し、ラドは少女を抱くように守り、ナヅナは二人の前へ出る。
その青年は目の前まで来ると、そこに止まりこちらを見つめてくる。
「ん?お前……」
目の前までくると、見覚えのある顔だった。
青年もそうだったのかナヅナの顔を怪訝そうな表情でじっと見つめいた。
「あ、思い出した、お前確か……」
しばらく過去の記憶を探ると、見つけた。この青年はナヅナにバイクを紹介してくれたディーラーの店長だ。
「あら?アーネストじゃない」
しかし直ぐに後ろからラドが口を開いた。
「アーネスト?」
アーネスト“というのはこの青年の名前だろう。それを知っているということはこの二人は知り合いということになる。
「知り合いなの?」
「えぇ、私のレース用のバイクを選んでくれた人。あなたもあのバイクを所持してるなら知ってるでしょ」
確かに知っている。あの自動車販売店を経営していた青年だ。ナヅナも"アーネスト"のおかげでバイクを買うことができた。いや、今はそんなことはどうでも良い。とりあえずこの少女の問題を解決しなければいけない。
「んで、アーネストとやら。この少女の付きまとい?私の知ってる世界なら犯罪だぜそりゃ」
「誰が付きまといだ。俺はその子供に今日の夕飯を盗られたんだよ」
盗られた?
状況をあまり掴めていない様子を見て、アーネストは一通り説明してくれた。
どうやらアーネストの隙をついて購入済みの食材達をこの少女にひったくられたらしい。
確かに追いかける理由には十分だし、今ある情報だけでもそれは真実だと信用できる
だが、裏付けるものは何も無い。というか、それを言い訳にしてこの子を逃がしたい。
こんな気の毒極まりない少女を放っておけないのだ。
「じゃあ証拠でもあんの?」
「あるにはあるけど」
(あるんかい)
思わずナヅナは声に出るところだった。こういう時って大体うまく証拠を提示できずに逃がせるパターンだと思っていた。
アーネストは少女の元に近づく。ラドとアーネストはさらに警戒心を強めると、何もしない、と呆れ気味に言われる。
アーネストは少女の持っている袋に手を入れ、何かを取り出した。それはアーネストのフエンテスカードだった。
「これをこの子供が持っているわけないだろ」
フエンテスカードは財布よりも大事なものだ。流石にこれでまだ疑うとなれば共犯で自分も犯罪者になる。こうなったらやることは一つ。
「なら、勝負をしよう」
「勝負?」
「あぁ、ゲームでな」
急な提案にアーネストも、ラドも戸惑う。
「私が勝ったらこの子に、この食料を……いや、1週間分の食料を少女に渡して欲しい。ただ私が負けたら、その袋の中身の値段を10倍にして返してなる」
ナヅナにとって少々平等性に欠けた提案だが、自分から仕掛けているのだから仕方がないとナヅナは割り切る。
「お前は良いのか?」
「いいよ、どうせ負けねぇから。」
ナヅナは堂々と言い切る。その言葉で流石のアーネストも目の色を変えた。
「乗った。それで、ゲームはどれにするんだ?」
「アーネストが決めて良いよ」
ナヅナは相当の自信があるのか、ゲームの選択権を済ました顔で渡す。
「…俺を舐めてるのか、それとも自信過剰なのか知らないが、負けても何も言うなよ。」
「言わない。で、何がいい」
アーネストは後ろを指差す。その指先には先程まで眺めていたパルクールがあった。
少しやってみたいと思っていたが、今やる理由が出来たのでナヅナは思わず口角が上がる。
「分かった。お前も良いよな?」
少女に問うが当然反応はない。ナヅナは少女に優しく笑い頭を撫でながら、ラドに目を向ける。
「さっきこの世界は作り物だと言ったよな。誰かが作った虚構の世界だと。なら、私がそうじゃないことを証明してやるよ。この世界は誰かの作った物なんかじゃない、実在する世界だってことをね。」
ラドはナヅナの言葉に大きく目を開く。
「楽しみにしてるわ」
一体どう証明して見せるのか、期待に満ちた目でナヅナの肩に手を置いた。
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博士の実験に付き合ってからしばらく経ち、謎の爺さんとゲームするのも慣例化されつつある。
「これ難易度高過ぎんだろ!」
「そうかっかするでない」
パルクールのゲームをプレイ中のナヅナは、何度も同じところで落下し、今にも堪忍袋の尾が切れそうだった。
コントローラーの操作には慣れてきが、まだ爺さんに勝ったことはない。
どのゲームでもワンサイドゲームを強いられるので、今は1人で練習している。
「ねぇ、一回爺さんがやってるところ見せてよ」
「構わんが」
ナヅナに言われた通り老人がコントローラーを持ち、ビデオゲームをプレイする。
ナヅナとは違い、落ち着いていて大いに余裕感じさせるさまで、簡単にクリアする。それを目の前で見たナヅナはクリア方法を理解したのか、真剣な顔ですぐにコントローラーを握る。
すると、先ほどとは見違えるほどのプレイで簡単にクリアしてみせた。
一体なぜこんなことが出来るのか。それは原理は非常に簡単で、ナヅナは老人の指の動きを真似ただけ。寸分違わず同じ操作を行えば、当然ビデオゲーム内での操作対象も同じ動きをする。ナヅナは筋力が関係しない限り、どんな物事でもそれが可能だ。記憶力や優れた模倣能力によるものだが、これは誰しもが出来る技ではない。
「その才能、稀有で貴重じゃの」
「へっ、異常だろ」
「異常なのではない、特別なのじゃ」
確かに特別なのかもしれないが、ナヅナにとってはそうではない。オリジナリティがない、ただの真似事としか、彼女は思っていないのだ。
「他人に依存しているだけで、自分らしさも独創性の欠片も無いだろ」
「わしはそれの何が悪いのか分からないな」
「……うるせーわ」
真似事を毛嫌いしているだけなので言い返す言葉も無い。
「お前さんに3つ良いことを教えてやろう」
「なんだ急に、ゲームのコツかなんか?」
「違う。あの装置を使わずとも元いた世界に戻る方法がある」
なんの脈絡もなく、なぎから棒に老人は言うのでナヅナは口を開けて固まる。
「なんだ急に」
「ここで助言しておかなければお前さんの未来に関わるからの」
「やっと口出ししてくれんだな」
この老人は、二つの世界や我々の動向、境遇など、彼女や博士が欲しい情報を知っている。老人と長く過ごしているのでそれはナヅナも分かっていた。
「まずあちらの世界でのお前さんは、生きてはいるが魂が抜け出せるほどギリギリの状態じゃ。そしてその魂は体から抜け出し、この世界のお前さんの肉体に移った。だが、魂と本体の器を断ち切ることはできない。つまりお前さんの意識が戻れば、あちらの世界へ戻ることができる」
人間とは器と魂に分かれていて、現在のあちらの世界のナヅナは魂が抜け出せる状態にあり、その魂が二つの世界の狭間を漂い、こちらの世界の肉体にフィットしてしまったということ。
だが一つおかしい点がある。
「誰が魂をこの肉体に?てかこの肉体って誰が用意したん?」
「それはわしじゃ」
「は?なんでそんなことを…」
「それはいずれ分かる。それに今の様子ではあちらの世界のお前さんは……」
「……そうか」
記憶は断片的ではあるが、確かに体調はずっと良くなかった。それでも自分の体に鞭を打って働き続けた。そのような結末だと知っても何も思わなかった。しかしナヅナはそこで異変に気づく。
(私、なんのためにあんなに必死に働いてたんだっけ)
確かに金は必要だが、自分の体調を無視してまで働く必要があったのだろうか。なんのために地獄へ飛び込んでいたのか。
(ま、いっか)
答えを急ぐ必要はない。またビデオゲームの画面に集中する。
「で、あと二つは?」
「そうじゃの…それは次来た時に教えてやろう」
「なんだよ」
そうして今日も謎の老人との密会は終わり、博士の家の高級感溢れ、柔らかなベルベットが惜しげなく張られたソファに寝っ転がりながら、マクダウェルが淹れたコーヒーを嗜む。
「はぁ、やっぱりずっとここにいようかな」
「何か心変わりでも?」
「うーん…まぁちょっとな」
冗談のように口にしたが、ナヅナは本気で悩んでいた。元いた世界を思い返すと、さらにここに残りたくなる。あそこはナヅナにとって地獄そのもの。対してこの世界はナヅナの才能が存分に発揮される、いわば望んだ世界。
普通ならここに残ることを選択するが、ナヅナはまだ思い悩んでいる。
理由はずっと脳の片隅にある"引っかかり"だった。なぜ自分があんなに必死に社会に縋り付いていたのか、考えていた時もそれが心の中にあった。
あの世界を思い出すと、何かを忘れているような、何かを置いてきてしまっているような気がしてならない。
最終的な判断はb1とb2が開通してから決めることにしている。だが実際は、ここに残るという選択肢にかなり傾いていた。
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「目覚まさないね」
奈津子おばさんは、病室の角にある花を取り替えながら言う。啓介は姉の手を握りながら窓の外を眺めていた。
鈴木瑠璃の意識は未だ戻らない。学校へも通っていない。
つい最近治療費を提示されたが、それは中学生一人では到底太刀打ちできない額だった。
ナヅナの貯金を使っても全く届かない。だからアパートにあったものは全て売り払った。
思い出の品や貴重なものなど、躊躇わずに売った。それでもたった一つだけ熟考したのは、彼女のゲーム用PCだった。他の物よりも売値は高いので、治療費の足しになる。それでも悩みに悩み抜いた。だが結局は命が何よりも大事なのだ。
ピロン
病室の小さい机に置いてある瑠璃の携帯に通知が届いた。それはスティールネオンシティのsns公式アカウントだった。
画面上の通知センターには配信開始!と書かれていたので自分のスマホで検索して配信を見てみる。
「今週もネオンシティの様々なニュースをお届けするよ!まずは一つ目。先週行われたレース大会にて繰り広げられた強者と強者のデッドヒート!勝負の行方は!?」
看板娘のような可愛らしい女性が明るい声でニュースを読み上げる。youtobeにて毎週行われる配信でスティールネオンシティに関する様々な情報をプレイヤーに届けてくれる。内容はあまり分からないが、見るだけ見ることにした。
「ネオンシティ初のチーター出現!?謎のプレイヤー、ナヅナ728728の秘密に迫る!」
「は?」
聞き間違えでなければ見間違いでもない。
ナヅナ728728、右上の見出しにはそう書かれている。あまりに見覚えのある字面だった。
「パルクールでの5つのコースの最速タイム記録やバトルロワイヤルでの最多連勝記録など、18個の記録を更新!何より驚くべきなのは、これを一夜でやってのけたこと!俄かに信じがたいですが、テエスペロによれば規約に反する行為は確認されていないとのこと!」
啓介は頭を抱えた。
このように大々的に名前を公表された理由は、ネオンシティに存在する様々なゲームの歴代記録更新によるものだった。確かに懐疑の目を向けられるほどの無双っぷりだが、違法なことは何もしていない。紛れもなく彼女の実力だ。
瑠璃の才能を知っている啓介はそれを確信していた。この配信では何も間違ったことは言っていない。
だが、世間の目は違った。
『エスペロが認めたくないだけやんけ』
『世界的人気ゲームでチートに手出すって絶対承認欲求の塊だろ』
『早くBANしろ早くBANしろ早くBANしろ』
『確かプロフィールからTwittarに飛べたよな
画像漁れば住所特定できんじゃね笑』
配信のコメント欄は地獄だった。すぐに配信を閉じyoutobeを削除した。
瑠璃がSNSを全て消した理由がわかった。知らない方が良いことだってある。不快になるなら見なければ良いだけだ。
携帯をポケットにしまい、瑠璃の顔色を窺う。
瑠璃の手を強く握り、神に祈ることしか出来なかった。




