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エビフライと同級生

作者: まこも

大学病院でのお話の続き。


まあ、診察時間より待ち時間の方が長いと言われます。

どこでも同じ。はて、予約とは?

私も視力検査に回され、医師の診察、特に異常がなければ終了。


大学病院を出て、今度は駅前まで徒歩で帰る。

無事に診察も終え、解放感からか徒歩でも苦じゃなかったし、私はこの時間が好きだった。

その時だけ母を独り占めできる幸せ。

そして何よりも楽しみだったのは、駅前の百貨店に連れて行ってもらえること。

田舎には百貨店なるものは存在しない。地元のデパートならあったけど。

頑張ったご褒美にと1番に向かうのはレストラン。

そこのレストランで食べるエビフライ。

頭が付いたまんまのぷりっぷりのエビフライ。

ものすごい御馳走だったし、それはそれは、美味しかった。

エンゲル係数の高かった我が家でもエビフライはお目にかかったことがない。

おもちゃコーナーは楽しくて仕方なかった。

何か買ってもらうわけでもなく百貨店に行けるだけで嬉しかった。

今、この歳になっても都会の百貨店はワクワクするし、無駄にテンションが上がってしまう。


ある通院の日、いつものように小学校を欠席した。

ところが、その日が同級生の男子が転校する日と重なってしまい、しかも病院は予約制のため変更はできないので、私はお別れの会を欠席せざるを得なかった。

いつもの診察も終え、いつものご褒美のエビフライを食べ、地元駅までの汽車に乗った。

車酔いする私は窓を開けさせてもらい、いつものように窓際に座っていた。

汽車はしばらく走ると、途中単線になるため待ち合わせで複線駅に数分間停まる。


待ち合わせ相手の反対から来た車両がゆっくりと停まる。

窓際でその様子をずっと見ていた私は驚いた。

その日転校する男子同級生が乗っていて、窓からこちらを見ているではないか。

あっ!と思わず声が漏れた。

え??????

お互いにびっくりである。

何故こんなところにいるの??????

こんなことってある??????

また、汽車は動き出す。

私は照れ臭かったけど小さく手を振った、彼も振り返してくれていた。

そして、だんだんと姿が見えなくなった。

お別れの会には出席できなかったけど、ちゃんとお別れはできた。

素敵な偶然だった。


何十年か過ぎ、小学校の同窓会に出席する機会があった。

彼は来ていなかったけど、元気にしていると聞いた。

あの日の偶然を、その子も憶えていてくれただろうか。




読んでいただきありがとうございます。

一気に秋到来ですね。

既設の変わり目、体調には気をつけましょう。

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