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光る海 (016)茂木サーキット

『これが、裏ストレートのダウンヒルの映像ですね。』と言いながらアナウンサーの宮部と解説者の黒沢が一緒にモニター画面を見た。『うわァ~!!確かにすごいッ!!スゴイと言うしかないですよ、これは。ここで、タイムを短縮させていたんでしょうが・・・いやァビックリして言葉にならないです。ここ、50mと、100mの残り距離を示す看板ありますけどほとんどの選手100mチョイ過ぎからフルブレーキング開始するんですが海原選手はノーブレーキでバイクを倒し込んでヒザと肘を使ってバイクの倒れ込みを支えながらコーナリングしていますよね。こえェ~なァ~ッ!!これッ!!そのままのスピードでトンネル入り口まで行ってますもんね。』と解説の黒沢が言った。「なんか、とっても怖いわね。彼の走りは・・・」オーナーのミチルが言った。「奴の走り方なんでしょうなァ、我々には見えていない何かが奴には見えているんでしょうな。」とマサミツヘッドが言った。「私自身も若いころはレースをしていたけど、先入観でこれ以上は無理。と思ってしまってその先に行こうなんてしなかったし、その先は転倒すると思って、行こうなんて思わない自分がいたわ。もちろん転倒も何度もしたわ。倒れれば痛いというイメージがあって、倒れたくない、転びたくないと思ってしまうのよ。自分で、勝手に境界を作ってしまって、一線を引いてしまっていたわね、きっと。」とミチルが言った。「それが、普通ですよ。しかし、世界のトップライダーともなれば、その辺が違うのでしょうなァ、感覚的な何かが違うのでしょう。実際レースが始まると、彼らは物凄い速さで戦いますが、我々から見てこれ以上は無理だ。と思うスピードが彼らは違いますからね、そこから更に2段、3段とギアを上げて、走りますからね。一体どこまであがるのか?と言ったスピード感覚を彼らトップライダーは持っています。残念ながら、ヤツ以外、一樹以外には日本人には無いスピード感覚です。」とマサミツヘッドが言った。「やはり、彼は天性のスピード感覚を持って生まれて来た人間なのね。」とミチルが言った。「本当にすげェな、アイツ。同じRC213V

のこっちはフルワークス仕様なのに、アイツにかかっちゃ、ワークスも何も関係ねェ~な。」とホンダワークスドライバーの田中が言った。「ダウンヒルのストレートエンドのあの部分自殺行為にしか見えないですよ。あの突っ込みと、走り方は。」と田中のスタッフが言った。「ん~、何とか他の所はアイツ以上に走れるんだが、あのダウンヒルのストレートの直角コーナーはさすがにアイツと同じには走れんわ。ギリギリ50m看板でフルブレーキングしてしまう。確かに、250キロを超すスピードで下って行きながら。ほぼ直角に曲がるコーナーの手前でのブレーキングは当たり前だ。スーパースローの映像を見せてくれ。」と田中がスタッフに声を掛けた。そんな時、解説者ルームでは『もう一度確認のためにスーパースローで海原選手の映像を見てみましょう。50m看板を過ぎてからイン側にバイクを倒して行くと同時にリヤタイヤは少しずつスリップしながら車体は倒れ込んで行きますが。海原選手ここで。右膝を出していますね。そして右ヒジも出し始めて、明らかに自分の体を擦って行きながらマシンの転倒を防いでいる。と言う事でいいのでしょうか?そういう風にしか見て取れません。』とアナウンサーの宮部が呆れた表情で言った。『なんと言ったらいいのかな?普通は誰もあんな走りはしないし、できないのでコメントの言いようがありませんけど。マシーンと海原選手の体の感覚そしてタイヤが全てマッチングしないと、ああいう曲芸的な走りは無理ですね。まァ、いうなればコンプユータ走法ならぬカンピュータ走法とでも言っておきましょうか。』と解説の黒沢が言った。「なるほど、カンピュータ走法か・・・上手く言ったもんだ。」とヘッドが解説の黒沢に対して言った。『恐怖心とか無いんですかね彼は。・・・マシンとかタイヤとかチームと自分を信じて極限の走りをすることができるんですねェ、すごい選手ですね。ワークスのパワーとか彼の前では太刀打ちできませんね。以前日本ハムファイターズのパワーヒッターの中田選手が同じチームの大谷翔平を捕まえて練習しているのがバカバカしくなってくると言った事を思い出しました。他のワークスドライバーも海原選手を見て中田選手と同じ気持ちになってしまうのではないでしょうか?マシンの差がありながら彼は遥かその上を行ってしまう。イヤハヤとんでもない人間が現れましたね。昨年の最終戦の時にも言いましたが、今期の第一戦のモテギのコースを走っても海原選手は、スゴイの一言です。まさに、天才の走りです。』と解説者の黒沢が言った。

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