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昨日は体調を崩してしまい投稿できませんでしたm(._.)mスミマセン
カツカツカツ......。
夜道に鳴り響く靴の音。
今、この町には生きている人間は一人もいない。ステータスが補正されているからか、物凄いスピードで精製が進んだ。
機動隊の人達はまだ現れていない。というか現れることは無いだろう。何故なら俺はあの警察官たちを、応援を呼ばれる前に殺してしまったからだ。
なので、俺は今迷っている。
それは、次の町に行くか、この町で休んでいるかだ。
今の時間は0時。何とも微妙な時間だ。次の町に行くには数十分かかるだろう。
それで、精製を始めると、朝早くに起きる住民にこの事がばれてしまうかもしれない。何があるか分からない以上慎重な行動を取った方が良いのだが......。
俺は寝ると悪夢を見てしまうことがある。普通に寝るときなら見ないのだが、寝る前に激しい運動をしたあとなど、アドレナリンが生成されている時に見てしまう。
どのようなものなのかは覚えていられない。
これは「忘れない」の影響があるのかもしれない。「忘れない」を獲得するまでに俺は数えきれないほど死んでいる。実際、今思い出せている記憶も、1000年分位だ。それも昔のことはうる覚えだし、何となくでしか覚えていないことも多い。それよりも昔に何かあったのかも知れない。
これはまぁ保留にするしかないだろう。
ただ、本当にやることがない。
出来ることと言ったら......鍛練だろうか。
前にも言ったが、俺は鍛練は嫌いだ。本当のことを言うと鍛練なんかせずに、位階だけをあげていき、ステータスを上げてしまいたい。
それだけでもはっきり言って強くはなれる。だが、何故かそれだけではいけないという気がするのだ。
これは本当に謎だが、黙って鍛練しておけということなのだろう。実際ステータスもこれのお陰で物凄く上がっているから、良いとしよう。
......仕方がない。今日は鍛練をするか。
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「速報です。ある町で住民数百人が一夜にして全員遺体として見つかりました。警察は犯人を探していますが、今のところ有力な情報は見つかっておりません。」
輝夜はふと目に入ったテレビのニュースを見て思った。
「お兄ちゃん、始めたんだね。」
「えぇ。私もこんな人に喧嘩を挑んでいたなんて、今となっては少し怖いわ。」
実際、あのときのディファーは光太よりも強かったが、位階のかなり上がった今の光太には太刀打ちが出来ないだろう。
「だけど、まだ少しお兄ちゃんがそんなことしないって思ってた部分があるから少し悲しいな......。」
本当は輝夜は光太にこんなことをして欲しくはない。光太と輝夜とディファーの三人で幸せな暮らしをして、穏やかに生涯を終えるつもりでいた。
普通に考えるとちょっとおかしいような気もするが、輝夜は本気でそう考えていた。
(お兄ちゃんだって辛いんだし、私がそんな我が儘言っちゃ駄目だよね!!)
輝夜は辛かったが、光太への思いやりの気持ちでその辛さを押さえ込んでいた。
「輝夜......。私も光太も輝夜もカルマは持っていないわ。と言うことは罪がないってことなの。なのにそんな私たちがカルマのある人、つまり罪人のせいで幸せを壊されるなんて......。ふふっ、笑っちゃうわよね。」
「っ!!」
輝夜の胸は謎の感情で一杯だった。
「悪いのは全部人間なのに......。なんで、私たちが嫌な思いをしなきゃいけないのかしらね。」
「......うん。」
「実はね、私は異世界から来たの......。」
ディファーは輝夜にその事について説明した。
「私の家族とかもあまり乗り気ではないけど種族全体での決定だから逆らえないのよ。逆らったら私みたいに追放去れちゃうから......。こっちの世界に来たらここの人間は奴隷と同じ扱いになる筈なの。罪人たちがそう言う扱いを受けるのは別に良いのだけど、そうしたら絶対に嫌な思いをしてカルマが増えるわ......。そうしたら......。これ以上考えたくないわ。」
「......。」
二人の空気は落ちるところまで落ちていた。
もともと輝夜は光太が居ないと物凄く機嫌が悪くなるってのも重なり、どちらも今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
そんなとき、テレビのニュースに速報が入った。
「速報です!!先ほどの町で謎の山が出来ました!!繰り返します!!先ほどの町で謎の山が出来ました!!」
「「ええっ!?」」
その速報には町を覆い隠すほどの大きな山が写っていた。輝夜はすぐさま光太に電話をかける。
......出ない。
輝夜もディファーもこの世の終わりかのような顔をしていた。
「お兄ちゃん......!!」