12
「お兄ちゃん......。」
輝夜がいつにもなく真剣な顔をして話し掛けてきた。
「お兄ちゃん、私が邪魔なら私はどっか行くからさ......だから私の事嫌いにならないで欲しいな......。」
「は?」
えっ、ちょっと待って。何で輝夜はこんなに悲観的になってるんだ?
まさか俺何か不味いことでも言ったのか?
何にせよ輝夜が悲しそうだ......。
なんとかしなくては。
「輝夜!!俺の中ではお前が全てなんだ。お前が居なくなったら俺はどうなるか分からない。」
「本当?」
「あぁ。本当さ。だからそんなに悲しまないでくれ。俺まで悲しくなってくる。」
「でもっ!!私、お兄ちゃんに迷惑ばっかりかけてる気がする。もとわと言えばこんな戦いになったのも私のせいだし......やっぱり私って居ないほうが良いのかな?」
「!?」
ヤバいヤバい輝夜がまじで病みそうだ。
くっ。どうすれば良いんだ?
あー。その前テレビでそう言う子には愛情を注げとかなんとか言ってたな。
よし。やってみるか。
ガシィ!!
俺は輝夜を抱き締めた。
「えっ!?お兄ちゃん!!」
「輝夜は俺の大切な妹なんだ。いつまでも俺はお前に幸せで居て欲しい。」
「っ!!」
「輝夜......お前を居ないほうが良いとか思ってるやつは居ない。安心してくれ。」
「ううっ。」
遂に輝夜は俺の腕の中で泣き出した。
これは嬉し涙とか言うやつなのかな?
何にせよ。輝夜を落ち着かせることが出来たようだな。
......ディファーが輝夜の事を嫉妬のこもった目で見つめている。
俺はそれに殺気を込めて返した。
ディファーの頬が赤くなる。
意味が分からん。まぁそんなやつは置いておいて、俺は輝夜と向き合った。
「落ち着いたか?」
「うん。ありがとう!!」
そして、輝夜は満面の笑みを浮かべた。
うん。俺はこの笑顔のためなら何だって出来る。
この笑顔を保つためならば俺は何でもしよう。
俺はそう誓った。
さぁ。次はディファーだな。
「ディファー。何か秘密にしたいことは言わなくて良いんだ。言えることだけで良い。俺は待ってるから。」
「ん?」
ディファーは少し考えるような仕草を取った。
ボンッ!!
いきなりディファーが真っ赤になって、うずくまった。
輝夜は少し気まずそうな顔をしている。
「取り敢えずうちに来るか?」
俺はディファーをうちに呼んだ。こんな外で話をするのはあまり良いことではないだろう。
「コクコク」
ディファーもうなずいている。
俺たちは家に向かって歩きだした。
歩いている途中に近所のおばさんたちが何かひそひそ話をしていた。俺は少し耳を傾ける。
「ヒソヒソ あの人ロリコンなのかしら?」
「ヒソヒソ あんなにちっちゃな子を連れて家に向かってるのかしら?」
やっば。俺が何かこの子たちを連れていってるみたいに言われてる。
俺は少し早足で家に帰った。
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俺たちは家についた。それまで周囲の目が少し痛かったが、なんとか家に帰ってこれた。
俺達は、リビングのソファーに座った。
「あ、輝夜は一旦部屋に居てくれ。」
「......分かった。」
うん。聞き分けが良いな。ちょっと悲しそうだったけど、後でお詫びしてあげないとな。
「私の......いや、エルフや異世界の事とかについてて聞きたいの?」
「あぁ。言いたくないことは言わなくて良い。」
「分かった。」
ディファーは話し出した。
「私はエルフたちが暮らす村に生まれたの。エルフって言うのは、精霊の魂の片割れって所ね。精霊の魂はエルフやダークエルフ、獣人などの亜人と、呼ばれるものと、ゴブリンやコボルトなどと言う魔物に別れたの。」
そうか。精霊はあまり多く引き伸ばされてはいないらしい。魂に少しのカルマも残っていない。
「亜人も魔物も節度を守って、あまりいっぱい子供が産まれないようにしているからそのカルマとかは大丈夫よ。」
「そうか。それは良かった。」
「それで、私がどうやってここに来たかと言うと......実は私エルフの村から追放されたの。」
「追放!?」
何だって?追放ってことは、きっと辛いことだったに違いない。俺が無理に言わせてしまったのかもしれない。
謝らなくては。
「すまん、そんな辛いことがあるとは思わなくて......。」
「いや。別に辛いことじゃない。」
「え?」
「私はどちらかと言えばわざと追放されたみたいなものなのよ。」
わざと?どう言うことだ?
「族長が要るんだけど、その族長が異世界を侵略するとか言い出したのよ。私はそれに断固として反対だったから、ちょっと強引に逃げてきちゃったの。」
「えぇ......。」
ちょ。強引にって......ってまて!?異世界を侵略?で、ディファーが来たのは異世界から......ということは侵略されるのは地球じゃないか?
「まさかその侵略される異世界って言うのはこの地球のことなのか?」
「そのまさかよ。その猶予は今のところあと二年。私はエルフの村では中堅と言ったところだから、貴方よりも強い人がいっぱい要るってことよ。」
「......それについては心配ない。」
何せ俺はまだ人を殺していない。
位階も上がってないため、それが上がったら大幅な戦力アップになるはずだ。
「その自信はどこから来るのかしらね。まぁ、今話せるのはここまでよ。」
「十分だ。」
「もっと知りたいんだったら精々悪いことはしないことね。」
「分かった。ディファーから聞きたいことはまだいっぱいあるんだ。」
他にも魔力の事や色々なことを聞かなくてはならない。
「そう言えば自己紹介がまだだったわね。私の名前は、ディファー·オノーよ。」
「俺は光太だ。よろしくな。」
俺は手を差し出した。
「よろしく。」
ディファーがその手をつかむ。
これで一旦この戦いは幕を下ろした。
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「ぷーん。良いもーんだ。私だけ仲間外れにして、楽しんでれば良いんですよーだ。」
輝夜は部屋のベットでゴロゴロしていた。
「はっ!!まさかディファーちゃん。やっぱりお兄ちゃんに気があるんじゃ!!」
ディファーちゃんをお兄ちゃんから引き離さなきゃ!!
けど、お兄ちゃんにはここでまっていてって言われたしな......。
むーーー!!
もう!!戻ってきたら説教してやるんだから!!
輝夜はプンプンした。しかし、その顔は誰から見ても可愛いようにしか見えないため、怖くない。
そんなことは輝夜も分かっている。
それでも輝夜は光太に説教するために、早く話が終わるのを願うのであった。
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何とぞ、何とぞぉ




