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俺はしばしそこで待っていた。
一応家から何本かナイフを持ってきている。
俺はそれを見えないように身体中に隠している。
これでこの前よりかはまだ戦いやすいだろう。
ザッ
俺は人が来る音がして、そちらのほうを向いた。
ディファーだ。
思った通りに来たな。
すると、ディファーが話し出した。
「一つ聞く。貴方は本当に輝夜のお兄ちゃんなの?」
「? なに言ってるんだ?本当だぞ?」
「そう......。」
どういうことだ?こいつは俺を狙ってたんじゃないのか?
すると、いきなり俺を斬ってきた。
俺はそれを避ける。
「じゃあ何で輝夜を誘拐なんてしたの!?」
「え!?」
なに言ってるんだこいつは。俺は輝夜を誘拐なんてしてないぞ?
それからディファーは何回も斬りかかってくる。
俺は防御に徹した。
「くっ、強い。貴方......今まで何人殺した?」
「......0だな。少なくとも今はな。」
死ぬ前とかだったら何人も殺しているが、今は戻っているから、まだ誰一人として殺してないはずだ。
......嘘は言っていない。
「嘘ね......悪魔は人間を殺すと力を手にいれるという言い伝えがある。その気配......貴方は悪魔なんでしよ?その強さなら何人も人を殺さなかったら無理なはず。」
「なに言ってるんだ?俺が悪魔?冗談もほどほどにしろよ。」
「嘘よ!!」
さっきまで細々とした素早い剣だったのが、いきなり大振りになった。
「くっ。」
鼻先ぎりぎりでそれを避ける。
あっぶな!!
「もう良いわ......来い、黒狼剣!!」
魔力が流れる。以前みたあの漆黒の剣だ。
あの剣を触ると力が抜ける。多分そういう特殊能力なんだろう。
ディファーが剣を振る。俺は出来るだけ体で触れないようにしながら避けていく。
「!? この剣の事をしっているの?」
「......どうだかな!!」
俺は余裕が無いため、ナイフをディファーの足元に投げつける。
「ぐっ!!」
ヒットだ。足から血が出ている。ステータスが高いのかそこまで傷をつけることは出来なかったが、それでも少しだけでも移動速度が遅くなれば良い。
ディファーは即座に反対の足で後ろに飛んだ。
そして、傷ついたほうの足に何かをかけた。
この匂いは......お母さんの薬の匂い?
俺は戸惑った。何故ここであの匂いがする!?
俺はそのせいで少し行動が遅れたようだ。
バァコォン!!
「ぐはっ。」
俺は剣の腹の部分で殴られた。
「お兄ちゃん!!」
えっ!?輝夜?何でここに......。
「「輝夜!!こっちに来ちゃ駄目だ(よ)!!」」
ん?
「え?」
ディファーと声が被った
「なっ、何でお前が輝夜を助けようと......。」
「それはこっちのセリフ。てっきり人質にするものだと思っていたのに。」
「なに言ってるんだ?輝夜は俺の大切な妹だ。輝夜が嫌がるような事をするはずが無いだろ?」
「えっ!?」
「え?」
あれ?なんなんだ?話が読めない。
ちょっと整理しよう。ディファーは俺たちを殺そうとしていたんじゃなかったのか?今ディファーは輝夜を助けようとしていた。殺そうとしていた相手を助ける?
いや、普通は人質にしたり、殺すだろう。
ということはディファーは俺たちを殺そうとしていなかったのか?
「ちょっと確認したいことがある。」
「なんだ?」
「貴方は輝夜を洗脳してるんじゃないの?」
「は?」
「貴方の魂は何か良く分かんないことになってるし、あの輝夜の魂も良く分かんないことになっていた。私はそれを貴方がやって、輝夜の魂を縛り付けてると思ってるんだけど......。」
「は?」
なんだこいつ。盛大に勘違いしているっぽいな。
多分俺の魂が勇者のもので、輝夜の魂が勇者の巫女だから、俺と輝夜の魂に繋がりがあることに気付いて、俺が輝夜に悪いことをしてると思ったんだな。
そう思うとこの子......悪いやつじゃ無いのかもしれない。
俺はディファーに説明した。輝夜に話した内容を要約したようなものを話した。
「......そうだったのね。勘違いしてた......。」
ディファーは恥ずかしいのか、顔を赤くして俯いた。
「ごめんなさい。」
「あぁ。俺も勘違いさせるようなことしちゃってすまなかったな。」
「今回は私が悪かったわ。何かお詫びが出来れば良いんだけど......。」
うーん。お詫びか。そういえば完全に忘れていたが、ディファーってエルフっぽいんだよな。
ちょっとそこについて聞いてみなきゃな。
「じゃあ......君の事を知りたい。」
「「へ!?」」
ん?なんだ?輝夜とディファーが同時に声をあげた。
「おおおおおおおにいちゃん!!えっ!?」
「ななななにを言っているの!?」
「は?お前らどうしたんだ?」
意味が分からない。ただディファーの事について知りたいだけなのに。あぁ、そうか。多分なにか言えない事情があるのか......配慮が足りなかったな。
「ディファー。答えは今じゃなくても良い。俺はいつまでも待ってるから。」
「いつまでも!?」
「お兄ちゃん......。」
ディファーは凄く驚き、輝夜はもう泣きそうな顔をしていた。
解せぬ。
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何とぞ、何とぞぉ