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11-11 夜襲(1)

 その夜、異変が起こった。 夜とはいえ満月が近く外は明るかった。 日付が変わる頃、船の上空に銀色に光る巨大な飛行船が現れた。 そしてその荷室から幾本ものロープが垂れ下がったかと思うと、全身黒ずくめの男達が背中に自動小銃を背負って懸垂降下してきたのだった。 甲板に降り立ったのは10人、全員黒の目出し帽を被り、誰一人声を発しなかった。 リーダーとおぼしき男が指で指揮した。 二手に別れて客室に行くように指示したようだった。


 グリムはセシールの横で寝ていたが、異変に気付いて目が覚めた。 グリムが起きると、セシールを挟んで横に寝ていたカエンも起きだした。


「どうしたの?」

「上にヤバイ奴らがいる。 数は、10人ほどだな。 狙いは恐らく俺達だろう」 そう言うとグリムは急いで服を着て、荷物の中から拳銃と予備の弾倉をとりだした。 そしてもう一丁をカエンに渡した。

「セシールと一緒にここにいてくれ、決して出るんじゃないぞ」そう言うと、グリムは静かに部屋を出ていった。


 グリムが上級客室のデッキに出ると、黒ずくめの男達が30メートルほど先から銃を構えて進んで来た。 グリムの姿を見つけると、問答無用で撃ってきた。 ただし単発でしかもサイレンサーを装着していた。 銃弾は手すりや船体の壁に当り跳ねた。

(一応は、秘かに俺を処分したいらしいな) グリムは男達に向けて二発撃つと、側の階段を上った。 男達は走ってグリムを追った。

(カエン達の船室から離さなければ・・・・)


 グリムは上のデッキで男達を迎撃することにした。 ここはサンデッキになっていた。 グリムは男達が上ってきたときに、死角になる場所で待ち構えた。 そこは階段のすぐ右の場所だった。 男達は一列になり慎重にデッキに上がってきた。 しかしそこにグリムがいないことに気付き、慌てて周りを見渡した。 先頭の男が右を向いてグリムを発見し、銃口を向けた時には既に遅かった。 その時にはグリムが引き金を引いていたからだ。 グリムは男の頭部に二発撃ち込み、更に後ろに続く男にも二発撃ち込んだ。 二人の男は何も出来ずにその場に崩れ落ちた。 その後ろに続く男達は、上がってくることを躊躇した。


 グリムは左にあった手すりをつかむと、手すりを飛び越えた。 グリムは男達の後ろの階段に飛び降りると、素早く男の背後から背中に三発撃ち込んだ。 撃たれた男はそのまま前の男にもたれかかるように倒れた。 グリムはそのもたれかかられて、振り向くことが出来ない男の頭部に二発撃ち込んだ。 真ん中にいた男は素早くデッキに上がり、手すりの上からグリムを撃ってきた。 男は自動小銃を三点バーストに切り替えた。 グリムは素早く階段を降り、銃撃を逃れたがそれでも右肩に一発被弾した。

(クソッ、もらっちまったか。 だがまだいける)


 カエンは長い赤毛の髪を後ろにまとめると、素早く着替えた。 そして拳銃の弾倉を確認すると、入り口のドアに銃口を向けた。 船室の外には複数の人の気配があった。 シックルが目を覚ますと、入り口に向って“シャーッ!”と威嚇した。

(セシールはあたしが護る)

 外のどこかで銃声が聞こえた。


 外の男達がドアノブを静かにまわしたが、ロックされていることを確認すると、ロック部分を銃で撃って破壊した。 二人の男が銃を構えて入って来た。 カエンは銃を向けていたが、発砲することに躊躇した。 その時、セシールが起きて泣き出した。 カエンがそちらに気がとられた一瞬、男が銃身でカエンの拳銃を叩き落とした。 男はすかさずカエンの腕を取り、肘関節を極めながら腕を背中に回し、カエンを床に制圧した。

「カエーン!」 セシールが泣きながら叫んだ。


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