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11-7 激闘(3)

 グリムは二人同時に対峙することになった。 コブ男が連続で液体を飛ばしてきた。 グリムは木の陰に隠れて逃れたが、そこを今度はヒョウ女が脇から襲って来た。 グリムはヒョウ女を撃とうとしたが、木の根で足を滑らせ転んだ。 そして不覚にも拳銃を落としてしまったのだ。 ヒョウ女はグリムの喉に噛みつこうとしたが、グリムが左腕でかばったため、腕に噛みついた。

「グアッ!」 女はグリムの前腕の骨も砕きそうな力で、噛みつけた。 グリムはとっさに右手の親指で、女の耳を突いた。

「ギャッ!」 女はビックリしたようにグリムから離れ、左の耳を掌で押さえた。


「マギー、どけ!」 コブ男が女の前に出ると、コブを絞って液体を飛ばした。 グリムは跳んで男の背後に回った。 しかし背中にもコブがあり、背後からも攻撃を受けた。 グリムは液体をかわしたが、それでも右の右腿に緑の液体が少しかかってしまった。

(熱! クソッ、近づけない。 流れを変えないとまずいな) グリムは近くの木に登った。 するとヒョウ女がすかさず追ってきた。 グリムは大きく木の幹を回り込むと、ヒョウ女の背後のまわり女の尻尾をつかんだ。 そして素早くナイフで尻尾を切り落とした。

「ギャアーッ!」女は木からバランスを崩して落ちた。 グリムは女の後を追って木から飛び降りると、女の背後に回り腕を背中の方へねじり上げた。 そして女を盾にするようにしながら男の方へ向って行った。 コブ男は回り込もうとしたが、グリムは男の顔面に蹴りを入れた。 男がよろめくと、女を押し出してそのまま二人を押し倒した。 男の方が身動き出来ないでいるところを、グリムは素早くナイフで男の首を掻き切った。

(これで三人)


 「クソッ!」女がよろめきながら立ち上がった。

「もう勝負は着いた。 お前に勝ち目はない、退け!」

「我々に退くという選択肢はない。 お前を殺すことに失敗したまま戻れば、役に立たない者として処分されるだろう」 女はまた低く構えた。

(やはりムダか・・・)


 女が意を決してグリムに飛びかかると、グリムはナイフを女の胸にめがけて投げた。 ナイフは心臓の位置に突き刺さった。 女はそのまま勢いよく地面に倒れ込むと動かなくなった。

(四人、あと一人・・・) グリムはナイフを回収して、拳銃を拾った。


 「やはり簡単には始末できないか・・・・」 リーダーと思われる男が現れた。

「こんな戦いは不毛だ。 あんたらはクラウス王子の権力争いに利用されているだけだぞ」

「そんな事は関係無い。 俺達は兵士だ、命ぜられた事を行なうだけだ」

「聞く耳を持たないか・・・」


「死んでもらうぞ、ユーゴ」 そう言うと男の体が盛り上がり、戦闘服が破れた。 現れたのは、薄闇の中でも黒く光って見える、鎧のような皮膚だった。 グリムは男に向けて銃を2発撃ち込んだ。 しかし銃弾は男の鎧のような皮膚に弾かれた。

「そんな物は通用しないぞ」 男は笑うと、ゆっくりとグリムに近づいて来た。

(どうするつもりだ? 防御だけではないはずだ、何を隠している?)


 グリムが躊躇していると、突然男が抱きつこうとしてきた。 そして胸から多数の長い針が飛び出した。 グリムは危うく針に体を貫かれそうになったが、とっさに後ろに跳びさがり、かろうじて針をかわした。 しかし左腕にチクリとしたかと思うと、少し血が出ていた。

(腕がしびれる。 針先には毒があるのか?)


 男は針を引っ込めると、グリムに対してラッシュをかけてきた。 トゲのある拳で連続攻撃をかけてきたのだった。 グリムは受ける事もできず、かわしながら下がるしかなかった。 拳ばかり気にしていると胸から針が飛び出すので、一瞬も気が抜けなかった。


 グリムは次第に追い込まれ、気がつくと大木を背にしていた。 男は勝ちを確信したように笑った。 そしてグリムを脇に逃さないように手を広げながら、突進してきた。 グリムが上に跳び上がり枝につかまるのと、針が飛び出すのがほとんど同時だった。 男の胸から飛び出した針は大木に深く突き刺さった。 男は慌てて針を戻そうとしたが、深く刺さった針はビクともしなかった。 グリムは両膝の裏を枝にかけてぶら下がると、ベルトから拳銃を抜いた。

「クソッ、謀ったな! だが拳銃では俺は殺せないぞ」

「それはどうかな」 グリムは拳銃を男の首と鎖骨の間、鎧状になっていないところに差し込むと、3発撃ち込んだ。 銃弾は男の心臓に達し、その衝撃で針が体に戻って、男はその場に崩れ落ちた。

(これで五人) グリムは辺りに人の気配が無いことを確認した。


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