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8-5 対決(3)

 グリムは近づいてくるカールに、違和感があった。 カールの瞳が赤く光っていたのだ。

「オヤオヤ、銃を車に忘れてきたのですか? それはいけませんね」

(これまでか・・・)

「残念ですね。 私は楽しみにしていたのですよ。 ハルバードの中でも“死神”と言われたほどのあなたと戦えることを・・・」

「・・・・・・」


 カールは拳銃を捨てた。

「もう少し楽しむとしますか」 カールは拳を握ると、ファイティングポーズをとった。

「後悔することになるぞ」

「それは楽しみだ。 ガッカリさせないでください」 そう言うのと同時に素早く距離を詰めると、左のジャブを打ってきた。 グリムはそれを右腕で受け流し、即座に左の拳で返した。 カールもギリギリの間合いで顔をスライドさせてかわした。 それからはお互いの高速の攻防が続いた。 お互いに頬や額をかすりはするが、勝負を左右するような有効打は与えられなかった。


 カールが素早い前蹴りを繰り出すと、グリムは左前に体を捌きながらその脚をすくいあげ、同時に残った軸足を払って地面に投げつけた。 グリムはそのままカールの腕を踏みつけ制圧しようとしたが、カールは素早く転がり立ち上がった。


「さすがですね。 だが、そろそろ決着をつけなければいけないのでね・・・」 そう言うとカールの目が更に赤く光った。

(何かくる!)

 カールの動きが更に速くなった。 カールの右の拳が、グリムの腹にモロに入った。 「グハッ!」 グリムの体は10メートル以上跳ばされた。 グリムは片膝付いた。

(跳ぶのが後一瞬遅かったら、ヤバかった。 だがこれは・・・)

「気付いたようですね。 アルクオンではアクロの力と言うのでしょう?」

「なぜ、お前がそれを使える?」

「それは秘密です」


 カールが勝負を決めようと、ラッシュをかけてきた。 カールの渾身のパンチをグリムがかろうじてかわすと、勢い余ったカールは地面を叩いてしまった。 するとそこはまるで地雷が爆破したかのように、地面が吹き飛んだ。

(オイオイ、これじゃムスガルのボスと変わらないじゃないか) グリムは距離を取ろうとして、大きく後方へ跳んだ。 しかしカールもそれをさせまいと、素早く追ってきた。 グリムは苦し紛れに、カールの体をアクロの力で空中に浮かせた。 カールは驚いた。 そして空中で手足を泳ぐようにばたつかせたが、為す術がなかった。 グリムはそのままグングンとカールの体を高く上げていった。 闇の中に見えなくなっても、グリムは上げ続けた。

(アクロの力を使えると言うことは、体も強化されている可能性が高い。 普通に落としても効かないかも知れない) グリムは、カールの体が100メートル以上に達したと思われるところで、今度は上から叩きつけるように力を加えながら落とした。 数秒後、カールの体は地面に叩きつけられた。 衝突の衝撃で辺りの地面が大きく吹き飛び、大きな穴ができた。


(やったか?) グリムはゆっくりと穴に近づいていった。 しばらくすると、穴の縁に手がかけられ、グリムが飛び出して来た。 左腕は肩がはずれだらんと垂れ下がり、右脚は膝から先が変な方を向いていた。 顔は傷だらけで憤怒の形相をしていた。


「おのれ、・・・お前ごときに私が負けるはずが無い。 こんな事は許さない・・・」 そう言うとカールは、右手をグリムに向けた。 何かをするつもりなのだろう。

「遅い!」 グリムはそう言うのと同時にカールに拳銃を向けると、頭に向けて二発撃った。 銃弾はカールの額と右目を撃ち抜いた。 グリムはカールが捨てた拳銃を近くで見つけたのだった。 カールは目を大きく見開き、驚いたような表情で前のめりに倒れた。 そして二度と起き上がることはなかった。


 グリムはその場に座り込むと、カエンに電話をかけた。

「どうしたの?」

「頼みがある。 俺を迎えに来て欲しい」

「何があったの?」

「奴らが来た。 レッドアイズだ。 詳しく説明している時間がない。 とにかく車が要る」

「分かったわ。 場所はどこ?」 グリムは場所を伝えた。


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