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7-10 乱戦(2)

 倉庫の外では、クレイ達がサイクロプスの連中と銃撃戦を始めていた。 数は50人ほどだったが、ボスのゲイツの命が取られているので士気は高かった。 それに対してサイクロプスは100人以上が集まっていた。 しかも周辺のエリアを規制していた連中も集まりだし、200人は越えるのではないかと思われた。

(クソッ、やはり簡単には突破できないか。 時間がかかると、益々不利になるぞ・・・)


「しょうがねえ、アレを使え!」 クレイが部下に命じた。 命じられた男が車の中から、ロケットランチャーを取りだし、サイクロプスの連中に向けて放った。

“シュゴーッ”砲弾は奴らの前で盾になっていた車に当り、轟音とともに吹き飛ばした。 スクラップになった車は空中で回転して裏返しで燃えていた。 それと一緒に多数の人間が吹き飛んだ。


 そしてそれと時を同じくして、異変が起こった。 サイクロプスの連中が固まっている後ろから、新たな爆発が起こった。 サイクロプスの背後から襲いかかったのはケルベロスだった。 ケルベロスのボス達は、流れていた噂のとおりサイクロプスが傭兵を雇い、エクリプスのボスの命が奪われたことを知り、次は自分達が襲われると判断し、先手を打つことにしたのだった。 カエンが流した情報によって、サイクロプスの幹部達が地下プロレスの会場に集結し、それをエクリプスが襲うということを聞きつけたケルベロスは、その機に乗じて一気に決めてしまおうとしたのだった。


 倉庫の二階事務所

 グリムは慎重にニックに近づくと、頭に2発打ち込んだ。 そして素早く弾倉を交換した。 その時、奥の部屋から幾つもの銃声が聞こえた。 グリムは慎重に奥のドアに近づいた。

(立っているのが4人、倒れているのが6人か・・・。 外から攻め込まれたか? いや、違うな)


 グリムがドアを開けた。 中にいた護衛と思われる3人が一斉に入り口に向けて銃を向けた。

「待て、撃つな!」 バレルが制した。 そしてグリムの覆面姿を見て驚いた。

「またお前か、よくよく俺の予想の上をいくなあ」

「がっかりか? 俺が死んで無くて」 グリムは床に死んでいる男達を一瞥した。

「そうか、やはり自分でやってしまったのだな」 床に倒れているのはボスのガーバンと3人の幹部、そして二人の護衛だろう。

「その通り。 あてにできないお前等を待っていたら、千載一遇のチャンスを逃してしまうかも知れないからな」 バレルは笑った。

「これで、組織はお前のものか」

「まあな。 だがもう一つ残っているがな」

「俺を始末することか? 俺をボス達を殺した犯人としてここで殺す必要があるのだろう?」

「まあ、そう言うことだ。 悪く思うな。 やれ!」 バレルは部下達に命じた。


 3人が一斉に銃を撃ったが、グリムはそれ以前に既に動き出していた。 グリムはバレルに向って距離を詰めると、左腕をバレルの首にまわし、体を盾にしながら銃を撃った。 3人は次々に胸を撃たれ倒れた。 それは一瞬のことで、バレルにはすぐにはその状況が信じられなかった。 グリムはバレルのこめかみに銃口を当てた。


「ま、待ってくれ! 助けてくれ!」 バレルは両手を挙げて慌てて懇願した。

「虫が良すぎるぞ」

「俺が生きていた方が、エクリプスには都合が良いはずだ。 エクリプスとは不戦の協定を結ぶ。 そして縄張りも半分やる!」

「ちっ、どうせその場しのぎの口約束だろう」

「絶対に約束を守る!」

「・・・・・・」


 グリムは銃を下ろした。 そしてバレルから離れた。 バレルは安心して気が抜けたのか、その場に座り込んだ。 グリムはそのまま部屋を出ようとドアの方へ歩いて行った。 そしてグリムがドアを出ようとした時、バレルはすぐ側に落ちていた拳銃を拾い、グリムの背中に向けて撃った。 だがグリムはその動きを読んでいた。 素早く振り返ると、バレルが撃つのとグリムが撃つのが同時だった。 バレルが撃った弾はドアに当り、グリムの弾はバレルの額に当った。

(裏切り者は、最後まで裏切り者か・・・・)


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