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7-9 乱戦(1)

 グリムは着替えると、時計を見た。

(7時50分。 ボス達はもう入った頃だろう。 そろそろ始まるな) グリムはマスクを被ったままで、行動を開始した。 控え室を出ると、壁沿いに幹部達が控えているだろう二階の事務所へ向った。 観客達もスタッフも次の試合に気がとられて、誰もグリムを気にかけなかった。


 グリムが倉庫の中ほどまで来た時、外のどこかで爆発の音がした。

(始まったな) カエンがこの会場の近くに、爆弾を仕掛けて爆破したのだった。 これを合図にクレイ達が攻撃を開始するはずだ。


 会場は騒然となった。 サイクロプスの者達は銃を持って倉庫の外へ走り、観客は我先に逃げようとして出口に押し寄せた。 二階の事務所からも何人かが武器を持って降りてきた。 グリムは銃を持って側を走り抜けようとする男を呼び止めた。


「おい、ちょっと待ってくれ!」

「ああん、なんだテメエ」男が足を止めた。

「こっちに怪しい奴がいる」 グリムはトイレに通じる通路を指さした。 男が警戒しながら通路へ入ると、グリムは男の後頭部を殴った。 男はその場に崩れ落ちた。 グリムは拳銃を奪うと、男のポケットから二つの予備弾倉も手に入れた。


 外のあちこちから銃声も聞こえ始めた。

(早くしないと、幹部達が逃げ出すかも知れない) グリムは二階へ通じる階段を駆け上がった。 慎重にドアを開けると、突然内部からグリムに向って銃弾が放たれた。 グリムは内部の人の動きに違和感があったので、撃たれることはなかった。

(中にいるのは1人か。 他の連中は奥の部屋だな) グリムは男がいる方へ向けて2発撃つと、中へ転がり込んだ。 そして柱の陰に隠れた。 男も部屋の反対側の柱の陰に隠れていた。


「ほう、さっきの試合に出ていた奴じゃないか。 素人には受けが良くないが、なかなか面白い試合だったぜ」 男が話しかけた。

「・・・・・・」

「つれないな。 少し話をしようぜ。 アンタ、エクリプスの者だろう?」

(話をして、幹部達の逃げる時間を稼ごうと言うことか?)

「悪いが、おしゃべりに付き合う気はない」 グリムはそう言うと立ち上がり、男へ向ってまた2発撃った。 弾はいずれも男の顔の側の柱に当たった。 男も反撃に撃ってきた。 グリムはまた柱に身を隠した。


「アンタ、同業者だろう? ギャングのやり口じゃねえ。 俺の部下達が昨夜、ナンバーツーの邸を襲ったが全滅させられた。 アンタの仕業だろう?」

「・・・・・・・」

(ニック・ジェラルドか。 厄介だな・・・)

「アンタ何者だ。 これだけの戦闘力を持つ兵士なら、俺の耳に入らないはずがない」

「名無しだ」

「名のりたくないか・・・。 なるほど、それでアンタが誰か分かったぜ。 死神だろう?」

「・・・・・・・」

「一人で、指揮所を潰したそうじゃないか。 それを聞いた時、驚いたぜ」

「・・・・・」

「否定しないってことは、正解かな?」

(何を狙っている? 何かやろうとしているな・・・)

「つまらんな。 話が出来ないんじゃあ、そろそろ終わりにするか」 そう言うとニックは、手榴弾のピンを抜きグリムの方へ投げた。 手榴弾はグリムの側に転がってきた。 グリムは反射的に手榴弾に飛びつき、そのまま空いていたドアから放り投げた。 そしてその瞬間横目にニックを見ると、グリムに向って拳銃を構えていた。

「あばよ!」 手榴弾の爆発と拳銃の発砲が同時だった。

(しまった!)


 グリムの目が金色に変わった。 グリムは時間の流れがゆっくりになったように感じた。 銃弾が顔面に迫ってくるのも見えた。 グリムは空中で顔面をひねった。 そして銃弾が顔面をかすって行くのが分かった。 その時間はコンマ何秒かだったのだろう。 グリムは床を転がり、壁にぶつかった。 そしてすかさずそのままの体制で拳銃を連射した。 グリムの撃った弾はニックの胸に3発撃ち込まれた。

「グハッ!」 ニックは前のめりに床に倒れた。


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