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6-5 グリムの憂鬱

 翌日、グリムが事務所に行くと、早速クレイに昨日の出来事を報告した。 全てが事実の通り話した訳ではないが、サイクロプスから逃げている男を成り行きで助けたこと、逃げる途中で一人撃ったことを伝えた。 カエンのことは伏せておいた。


「このままでは、あんたに迷惑をかけることになるかも知れない。 俺を解雇してくれ」

「何を言うか。 これでお前はもう逃げられないぞ。 自分で撒いた種は自分で刈るんだな」 クレイは黙って話を聞いていたが、怒り出すかと思ったが突然笑い出した。

「・・・・・」

「サイクロプスが、仲間を撃った奴がお前だと言うことにたどり着くまでにそう時間はかからないだろう。 そしてお前はエクリプスの一員と見なされるだろう。 そうなれば、奴らが攻撃してくる口実になるぞ」

「・・・・・・」

「もうお前は、俺の護衛だけやっていればいいなんて言っていられないんだ。 これは戦争だ。 我々は勝たなければならない。 手を貸せ」

(クソッ、何てことだ。 どんどん俺の望まない方向に進んでしまう)

「諦めろ、もうこれはお前の戦争でもあるんだ!」

「どうしろと言うんだ? 俺にマシンガン持って奴らの所へ突入しろとでも?」

「ハ、ハ、ハ、それも悪くないな。 だがそれじゃあ、スマートじゃない。 まずは考えよう。 奴らはどう出ると思う?」

 グリムはしばらく考えた。


「奴らはボスのゲイツとあんたの命を取りに来るだろう。 組織同士の全面戦争になれば、街中のあちこちで銃撃戦が始まる。 そうなれば向こうの被害も大きくなるし、第一街の住人に被害者が出れば警察も動かざるを得なくなる。 最悪は軍が鎮圧に出てくるかもしれない。 それは向こうも望まないだろうし、その隙を狙ってケルベロスが襲ってくるかも知れないからだ。 電撃的に行動し、頭を失って右往左往している所を、一気に呑み込もうとするだろう」

「なるほど。 具体的にはどうしかけてくる?」

「例えば、向かいのビルからの狙撃、車に爆弾、移動中の車をロケットランチャーで襲う、就寝中の邸に武装集団が襲いかかるなどが考えられる」

「分かった。 それの対応策は?」

「この窓からは離れてもらう。 この席にはマネキンに服を着せて置いておく。 執務は、他の階の窓の無い部屋でやってもらう。 街には出ない。 部下への指示は電話で行なう。 自宅の警護人数を増やす。 取りあえずはそんなところだな」

「街へ出ないと言うのは却下だ。 怖じ気づいていると見られるからな」

「しかしそれでは、いつ襲われるか分からないぞ」

「それを何とかするが、お前の役目だ。 それと、守るだけでは勝てない。 こちらはどう攻める?」

「ふうっ、無理を言ってくれる。 攻めについてはまだ案はない。 敵の弱い所を突くのが戦いの鉄則だ。 情報が足りない」

「分かった。 取りあえず出来るところから初めてくれ。 ゲイツにはこの事を伝えて警護を強化するように言っておく。 それからこの車を使って良いぞ」 クレイが車のキーを投げてよこした。

「分かった。 ありがとう」


 クレイの執務室はその日のうちに替えた。 またグリムが動きやすいようにと言うことで、クレイの警護の人数も5人増やし24時間体制にした。


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